第72回 花粉症について
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<質問>
本羅先生、今年の花粉、凄くないですか?
私は、これまで「花粉症じゃない」と言い続けて、薬にも頼らず何とか耐えてきました。今年も、家族や友達の様子が落ち着いてきて、何とかスギ花粉をやり過ごしたと思っていたんです。でも、ここに来て、私だけ、目のかゆみや喉のイガイガが酷くなってきて……。検査したらスギとヒノキの他に、ハンノキとカモガヤ、ブタクサにも反応が!?
とうとう花粉症と認めることになってしまいました。
ショックです。これまで特に持病もなく、健康だけが自慢だったのに。通院して、お薬を飲んだり、改めて色々と自分でも調べたり、友人たちとも情報交換したり、なのですが、イマイチしっくりこなくて……。本羅先生は花粉症、大丈夫ですか? 何か良い情報をご存じなら、教えてください。
(東京都 M.N.)
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<回答>
M.N.さん、なかなか辛そうですね。そう言えばスギ花粉のこと、シーズン中は、天気予報と一緒に毎朝、報道していましたね。実は、東京都におけるスギ/ヒノキの飛散花粉数データを調べてみると、やはりと言うべきか、一昨年からピークが倍に達する勢いでした(図1)。今まで耐えられた人たちが限界を超えてしまうのも、無理ないかもしれません。
花粉の種類と飛散時期
とは言え、M.N.さんはスギとヒノキが落ち着いてから、酷く発症したとのこと。検査結果からすると時期的に、今の症状はハンノキ(注1)とカモガヤ(注3)が原因でしょうか(図2)。さらに、ブタクサ(注5)にも、となると秋にも発症する恐れがありますね。これは辛い。
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(注1) |
ハンノキ(Japanese alder, 学名: Alnus japonica, 榛 / 榛木):
カバノキ科(Betulaceae)ハンノキ属(Alnus)の落葉高木で、樹高は4~20m、直径60cmほど。春から夏にかけて尾状に垂下して開花。湿地や水辺を好む。日本では歴史的に水田の畔に植栽された。材木は柔らかく加工が容易で、稲を天日干しする「はざ掛け」に用いた。また、建築材や家具、器具、鉛筆などにも利用され、紫褐色から暗灰褐色の樹皮や松かさ状の球果からは、タンニンや染料を得られる。油分が多く、生木でもよく燃える上、良質の木炭の材料となるため、かつては盛んに伐採された。古名の「榛(はり)」が「榛(はり)の木」「榛木(はんのき)」と転訛(てんか
/ 音が訛って変化すること)した。漢名での「榛」は、和名でのハシバミ(注2)を意味し、ハンノキの漢名に「赤楊(せきよう)」を充てることもあるが、誤用とのこと。 |
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(注2) |
ハシバミ(Asian Hazel, 学名:Corylus heterophylla var. thunbergii, 榛):
※”var. ”より後ろは学名としての「変種」の意。
ブナ目(Fagales)カバノキ科(Betulaceae)ハシバミ属(Corylus)の落葉低木で、樹高は1~5mほど。日当たり良い丘陵や山地に自生し、春に尾状に垂下して開花。果実は堅果(nut, glans / けんか)で、近縁種のセイヨウハシバミ(common hazel, 学名:Corylus avellana, 西洋榛)からは、ヘーゼルナッツ(Hazelnut)が得られ、食用として世界的に流通。和名の「ハシバミ」は、特徴的な葉の皺に由来して名付けられた「ハ・シワ・ミ」の転訛とされる。 |
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(注3) |
カモガヤ(orchard grass / cock's-foot / cat grass, 学名: Dactylis glomerata, 鴨茅):
イネ科(Poaceae)カモガヤ属(Dactylis)の多年草で、草丈は60~120cm。密集して群生し、春から夏にかけて開花。オオアワガエリ(注4)と共に世界的な牧草で、ユーラシア(Eurasia)原産。明治時代に導入され、帰化植物(naturalized plant, 植物の外来種)として全国で広く野生化。和名の「鴨茅」は、英名”cock's-foot(鶏の足)”の訳し間違いとされる。別名の絹糸草(キヌイトソウ)やオーチャードグラス(orchard grass, 果樹園の草)でも流通。英語の別名”cat grass”は、イエネコが好物とすることに由来。ただし日本語の「猫草」は総称で、猫が食す市販の草全般のこと。カモガヤは含まれない。 |
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(注4) |
オオアワガエリ(Timothy, 学名:Phleum pratense, 大粟還):
イネ科(Poaceae)アワガエリ属(Phleum)の多年草で、草丈は50cm~100cm。多数の茎が束状に直立し、春から夏にかけて開花。カモガヤ(注3)同様、ユーラシア(Eurasia)原産で、17世紀後半にアメリカで牧草として作物化。ヨーロッパにはアメリカからの再導入で広まり、日本にも明治時代にアメリカから導入されて野生化。英名のティモシー(Timothy)は、アメリカで普及に努めたティモシー・ハンソン(Timothy Hansen)氏に由来。英語の別名”cat's-tail”や”foxtail”は「猫じゃらし」の意。ただし、日本の「猫じゃらし」は、同じイネ科でもエノコログサ属(Setaria)のエノコログサ(狗尾草、学名:Setaria viridis)。とはいえ「エノコログサ」の英名は”green foxtail(緑色の狐の尾)”や”green bristlegrass(緑色の猫じゃらし”なので、ほぼ日本語と同じニュアンスである。 |
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(注5) |
ブタクサ(ragweed, 学名:Ambrosia artemisiifolia, 豚草):
キク科( Asteraceae)ブタクサ属(Ambrosia)の一年草(annual plant)で、草丈は30~120cm。夏から秋にかけて、キク科に特有の頭状花序(とうじょうかじょ, head inflorescence / capitulum)が咲く。一輪は花弁に見える小花の集合で、分解すると一つ一つに雄しべ(stamen)と雌しべ(Pistil)がある。北米原産だが、アフリカ以外の世界各地で帰化植物に。日本では、スギやヒノキより前から、ブタクサの花粉症が社会問題だった(後述)。現在「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年6月2日法律第78号、略称:外来生物法 / 外来種被害防止法)」に基づく「生態系被害防止外来種」に指定されている(平成27年3月以降「要注意外来生物」から呼称変更)。ちなみに、同じ北米原産キク科の帰化植物セイタカアワダチソウ(tall goldenrod / late goldenrod, 学名:Solidago altissima, 背高泡立草)は、虫媒花(entomophily,ちゅうばいか / 昆虫を媒介して受粉する花)なので花粉を飛ばさない。ブタクサと似た見た目で、花粉症の原因と疑われるが、誤解である。 |
かく言う私は、子供のころから喉や鼻が弱く(アレルギー性鼻炎)、ウン十年前に高校生で花粉症になりました。学校行事の合宿で、スギ花粉のシーズンに杉林の中で数日過ごし、止まらない咳で喉から出血するほどの酷い目にあいました。以降は毎シーズン、くしゃみと鼻水に翻弄されながら、キツイ薬をバンバン飲んでいました。それが、ある時を境にパッタリと収まり、花粉症を克服できたのです。ところが今年は、私も鼻をグスグスさせることに(苦笑)。幸い、二昼夜ほどの市販薬服用で収まり、軽く済みましたが、久々に花粉を感じた春でした。私が花粉症を克服した話は後述するとして、まずは花粉症について、生理学的に説明しましょう。
花粉症の免疫学的メカニズム
花粉症の正確な表記は季節性アレルギー(seasonal allergy)です。1年の内、特定の時期/季節に発症するアレルギー、という意味ですね。
実は、過去の本コラムで基本的な話に触れています(第16回)。そのときは、アレルギーを「本来、異物を排除することで身体を守る免疫機構が、逆に身体に悪い影響を与えている状態」と説明しました。免疫については、これまでのコラムで何度か触れましたが(第11回、第13回、第16回、第29回)、ここではザックリと、以下の抗原抗体反応(antigen-antibody reaction)を理解できていれば十分です。
1) |
リンパ球のT細胞が、異物に固有の断片である、抗原(antigen)を見つける。 |
2) |
同じくリンパ球のB細胞が、その抗原に結合する抗体(antibody)というタンパク質を作り、分泌する。 |
3) |
分泌された抗体が抗原(≒異物)に結びつく。 ※これが抗原抗体反応。 |
4) |
抗原に結びついた抗体は「これは排除すべき異物」という目印となる。 |
5) |
免疫系全体で、目印の付いた異物を排除する。 |
特に、アレルギー反応の抗原となる物質をアレルゲン(allergen)と言います。アレルギー(allergy)と抗原(antigen)の合成語ですね。花粉症の場合、「異物/アレルゲン」は「花粉」です。
ちなみに、英語では、一般的に「花粉症」のことを”hay fever”と言います。直訳すると「枯草熱/干し草熱」ですね。この場合の「干し草(hay)」は牧草で、先に挙げた、カモガヤ / オオアワガエリのことでしょう。日本語の「花粉症」に近い表記としては”pollen
allergy”、医学用語では”pollinosis”とも言います。
閑話休題。アレルギーは、Ⅰ型~Ⅳ型に病態を分類できるのですが(本コラム第16回)、花粉症は「Ⅰ型アレルギー」に属します。Ⅰ型の特徴は、アレルゲンを取り込んでからの反応が早いこと。多くは、15~20分で反応が最大になるので、別名「即時型アレルギー」とも呼ばれます。実際、花粉症の方なら、窓を開けた途端の「目のかゆみ」や「くしゃみ」「鼻水」で「即時型だ!」と納得されるのでは?
このとき花粉症の人たちに何が起こったのか、生理メカニズムをもう少し詳しく見ていきましょう。
肥満細胞とIgE抗体の関係
まず初めに、先の「抗原抗体反応」(1)と(2)。例えばスギ花粉を抗原として、スギ花粉の抗体を作る専用のB細胞ができます。このスギ花粉B細胞は、対応する抗原(スギ花粉)に触れるたびに、スギ花粉抗体を産生します。分泌されたスギ花粉抗体は、先の説明(3)のように、スギ花粉に結合するのですが、一部に特殊な働きもあります。実は、ごく微量ながら、抗体の中に、抗原ならぬ特殊な細胞に結合するものがあるのです。
その細胞は、末梢組織に含まれる「肥満細胞(Mast cell)」です。誤解しないでください! いわゆる「太りすぎ」の肥満(obesity)とは無関係です。”Mast”はドイツ語で「(家畜の)肥育/飼料」を意味するのですが、発見当時、見た目が「周囲の細胞よりも、ふっくらしている」ので、単純に「周囲の細胞に栄養を与えているのだろう」と推測され、名付けられたようです。実際は全く異なり、免疫系で重要な働きを持つ細胞でした。
話が前後して申し訳ないのですが、ここから先を説明する前に、抗体について、もう少しだけ説明を加えます。抗体(antibody)は、別名免疫グロブリン(immunoglobulin, 略語:Ig)と言います。先に、抗体は「B細胞の作るタンパク質で、特定の抗原(異物)に結合して、それを排除するための目印になる」と説明しました。言い換えると、抗体には「抗原と結合する部位」と「(免疫機能の)目印となる部位」があるのです。免疫学では、前者をFab領域 (Fragment,antigen binding) 、後者をFc領域 (Fragment, crystallizable) と名付けています。そして「目印」となるFc領域の種類で、抗体は大きく5種類のアイソタイプ(isotype)に分かれます(注6)。
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(注6) |
アイソタイプ(isotype):
”iso-”は、ギリシャ語に由来する「類似の~」「同一の~」を意味する接頭辞。生物学ではホロタイプ(holotype)の複製を意味するが(注7)、免役学では「Fc領域の違いによる抗体の種類」を表す。ちなみに、化学ではアイソモルフ(isomorph)の同義語で「結晶構造あるいは分子構造が類似している物質」を意味する。また、グラフィックデザインや社会学のような人文系では上記と異なり、大文字の”ISOTYPE”で、”Internationl System Of TYpographic Picture Education”の略語として使われる。詳細は専門書に譲るが、簡単に説明すると「事物の形状を簡略化ないし抽象化した、単純な画像記号(pictogram, ピクトグラム / 絵文字 / 絵ことば)あるいは図記号(graphical symbol, グラフィック・シンボル)による説明の体系」である。 オーストリア=ハンガリー帝国(現:オーストリア共和国)の科学哲学者オットー・ノイラート((独)Otto Neurath)の発明。事前の学習なく、専門内容を含む様々な意味概念を視覚的(≒非言語的かつ直観的)に理解できる、国際的な視覚言語が目指された。オットーは、19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパで、教育を受けておらず字が読めなくても、全ての人々が社会システムとシステムの変化を理解し、知識が共有されることを理想としたようだ。 |
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(注7) |
ホロタイプ(holotype):
正基準標本、あるいは正模式標本。生物学で「種」の学名を記載するときに使用した標本のこと。 |
つまり理論上、B細胞は、1つの抗原に対して、5種類の抗体(Ig)を作ります。血漿中で多い順に、免疫グロブリンG(IgG)、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、免疫グロブリンE(IgE)を分泌します。
それぞれの説明は、またの機会に譲るとして、花粉症を含むアレルギー全般に関わる抗体(Ig)は、血漿中に最も少ないIgEです(ヒト抗体全体の0.001%以下)。そして先に触れた、肥満細胞に結合する抗体が、IgEなのです。
IgEは、2人の日本人研究者、石坂公成と石坂照子ご夫婦によって、ブタクサのアレルギー患者から発見されました(1966年)。明治期に渡来し、昭和初期に定着したブタクサは、高度経済成長期(Japanese economic miracle:日本で実質経済成長率が年平均10%前後だった1955~1973年のこと)に大繁殖し、当時、その花粉アレルギーが問題だったのです。
ちなみに”E”は、IgEが紅斑(erythema, 毛細血管の拡張による皮膚の発赤 / 充血)を起こすことからの命名で、近年は1回の採血で、血中のIgEから多種類のアレルゲンを網羅的にチェックできる検査も開発されています(注8)。医師の診断が必要ですが、健康保険が使えます。
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(注8) |
特異的IgEの同時多項目測定(wide-range simultaneous determination of Allergen-Specific IgE):
アレルゲンの特定できない患者に対し、スクリーニング(screening, ふるい分け試験)目的で行う。ただし定量性が低く、陽性であっても、それを根拠に確定診断しない。特定には、対応するアレルゲン単体での検査が必要。代表的なスクリーニング試薬である、サーモフィッシャーサイエンティフィック社(Thermo
Fisher Scientific)の「Viewアレルギー39」で検出可能なアレルゲンは以下。
・樹木:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ
・草:カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリ
・室内関連:ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト
・動物:ネコ、イヌ、ガ、ゴキブリ
・カビ:アルテルナリア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア、ラテックス
・食べ物:卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、ピーナッツ、大豆、そば、ごま、米、エビ、カニ、キウイ、りんご、バナナ、マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉 |
さて、IgEは、そのFc領域で肥満細胞の表面に結合し、Fab領域を外に向けます。結合したIgEは、肥満細胞にとってのスイッチです。もちろん、そのスイッチを押すのは抗原、今回の場合は花粉です。
そもそも肥満細胞が見た目ふっくらしているのは、細胞内に顆粒を多く含んでいるからで、その顆粒にはサイトカイン(cytokine, 細胞の分泌する生理活性物質の総称)が入っています。スイッチが押される(表面に結合したIgEのFab領域に抗原が付く)と、肥満細胞は顆粒を押し出し、サイトカインを分泌します。
肥満細胞のサイトカインで代表的な2つが、ヒスタミン(histamine)とロイコトリエン(leukotriene)です。どちらも専門的な解説は省略して、ここでは簡単に「組織に炎症を起こす物質」とだけ理解してください。以前から、よく説明に使う、「鍵(生理活性物質)と鍵穴&スイッチ(細胞機能に紐づいた受容体(receptor, レセプター))」のイメージだと、ヒスタミンとロイコトリエンが「鍵」として、目の粘膜や鼻水の分泌腺にある「鍵穴」に刺さって炎症を起こします。
さらに、「鍵穴」は脳幹の「くしゃみ中枢」にもあり、これに刺さると咳が出ます。
つまり花粉症の場合、
1) |
花粉を抗原とする抗体(花粉IgE)に花粉が付く。 |
2) |
花粉IgEが肥満細胞のスイッチを入れる。 |
3) |
肥満細胞がヒスタミンやロイコトリエンを分泌する。 |
4) |
ヒスタミンやロイコトリエンが、目/鼻/喉に炎症を起こす。 |
5) |
花粉症の諸症状が出る。 |
という順番で、発症に至るのです。
花粉症を発症するかどうかの分かれ目
ここで改めて、花粉症に悩む方と平気な方の違いを見ておきましょう。花粉症の人は、花粉IgEが表面に結合した肥満細胞を持っています。逆に、平気な人は、花粉IgEの結合した肥満細胞が無い/少ないのです。
この違いから、分かることがあります。今は平気な人も、少しずつ花粉IgEを蓄えて、肥満細胞との結合が増えると、花粉症が発症するかもしれない、ということです。免疫学では、「特定物質(抗原)に対するIgEが肥満細胞に結合した状態」を「感作(sensitization, かんさ)」と言います。ようするに、特定物質に対するアレルギー発症の一歩手前なのです。
先の図1で見たように、ここ数年の花粉増量で、もしかするとM.N.さんも感作に至ったのかもしれませんね。
投薬治療とその原理
さて、私たちの身体の中で何が起きているのかをイメージできたら、次は治療と対策です。まず対症療法としての投薬治療から。そもそも花粉症は、ざっくり「粘膜の炎症」であり、その炎症は、ヒスタミンやロイコトリエンの「鍵と鍵穴」理論による、目/鼻/喉への作用です。
したがって、治療薬の原理は、内服薬と点眼/点鼻薬のいずれも「抗ヒスタミン剤 / 抗ロイコトリエン剤」、つまり「ヒスタミンやロイコトリエンの偽物で「鍵穴」を塞ぐこと」が有効です。つまり、ヒスタミンやロイコトリエンの邪魔をするわけです。ただし、原理的に、肥満細胞が花粉に反応するより前、つまり、予防薬としての服用が最適です。もちろん発症後の服用でも問題ありませんが、効果が出るまでに、多少、時間がかかります。
また、症状が強い場合には、ステロイド剤で消炎しますが、副作用の問題から、医師の処方は厳格です。副作用といえば、実は、ヒスタミンは脳内で「覚醒」に働く神経伝達物質でもあるため、抗ヒスタミン剤は「覚醒の阻害」、つまり「眠気」を誘発する副作用があります。最近の薬は、かなり改良されていますが、ご注意ください。
根本治療の可能性と今後の話
ところで、花粉症には根治療法があります。それは、花粉を除去することです!!
……いや、ゴメンなさい。それが簡単にできれば誰も苦労しませんよね。ただ「抗原を避けること」は、アレルギー反応を回避する鉄則です。
そして、原理としては「有 / 無」ではなく、「質 / 量」の問題です。つまり「ホンの一粒でもダメ」なのではなく「少しくらいなら大丈夫」を目指すのです。つまり「花粉に対する免疫反応を下げる」ことが花粉症の根治療法と言えます。
となると、理解を深めるには、もう少し身体の生理学的なメカニズムに触れたいところです。投薬治療に続く、他の治療と、そのメカニズムや、私が花粉症を克服したお話については、次回に持ち越すことにいたします。
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