翻訳会社 ジェスコーポレーション

技術翻訳 特許翻訳 法務・法律翻訳 生命科学翻訳 マンガ翻訳 多言語翻訳   
翻訳会社JES HOME > 生命科学翻訳

生命科学翻訳


生命科学の各分野で経験豊富な翻訳者が多数在籍しています

ジェスコーポレーションの「生命科学翻訳」は、バイオテクノロジー、医薬、医療機器、農学、保健学、栄養学、森林科学、海洋学等、それぞれの分野に経験豊富な翻訳者が担当いたします。
また言語に関しても、英語のみならず、中国語、韓国語、ベトナム語、インドネシア語等、多様な言語の経験があります。
生命科学に関する翻訳は、ジェスコーポレーションの翻訳スペシャリストにおまかせください。

<生命科学翻訳の取扱分野>
農業資材技術(育種、肥料、農薬)、農業関連技術(土木、機械、情報)、栽培、農業バイテク製品、遺伝子組み換え農産物、人口呼吸器、麻酔器、内視鏡、血圧計、ゲノム創薬、抗体医薬、アンチセンス医薬品、分子標的薬、分子生物学、腫瘍学、臨床試験、生物学、畜産学、植物、作物生産管理システム、生化学、生態学、水、加工食品、漢方薬など



生命科学の翻訳実績


 過去の翻訳実績の一部を下記にご紹介させていただきます。
<日本語⇒英語>
精密農業への取り組みとその実際例
接ぎ木の技法と応用例
タンザニア研修資料
解説書 -生物多様性編-
超高速ゲノム解読装置の開発
生命プログラム再現科学技術推進に関して
イネゲノム解析
ジャポニカアレイ設計
ヒトゲノムDNAアレイ
医療用電子機器および医療用電子機器の制御方法
欧米業界手術器具レーザー刻印の概要
大学院医学研究論文
蛍光顕微鏡システム比較表
体外循環症例データベース
無線伝送式pHメーター
MEDICA報告書
健康関連ディスカッション
コホート説明書/コホート同意書
MRI 説明書/MRI 同意書
インフルエンザの流行に備え
歯科と健康管理
公衆衛生リーフ
塩試験方法
安全衛生監査規程
安全衛生管理資料
吸汗速乾
<中国語⇒日本語>
医薬包装規程一覧
禁止されている食品添加物について
化学肥料と農作物に関する報告書
農業関連技術向上へ向けて
農薬と遺伝子組換え技術について
精密農業の実態調査
土壌環境制御技術
遺伝子組み換え農産物、水産物の安全性に関する論文集
果実栽培における農薬の使用に関する各種規則及び通達等
遺伝子組み換えベクターとしての大腸菌及びレトロウイルスの可能性
農薬の製造方法
遺伝子組み換え作物の安全性に関する各種規定及び通達等
動物用医薬品のGMP
各種農薬等に関する国家標準
人獣共通感染症に関する論文
脱毛予防効果試験規定
<日本語⇒韓国語>
医療器具(歯科・医科製品)カタログ
カプセル内視鏡カタログ
工業用内視鏡・X線カタログ
外国人結核患者の看護と外国語対応
結核への外国語対応に関するアンケート
 日本語⇒ベトナム語>
外国人結核患者の看護と外国語対応
結核への外国語対応に関するアンケート
衛生管理マニュアル
<日本語⇒フランス語>
日本の医療保険制度について
保湿した皮膚の摩擦特性評価
<日本語⇒スペイン語>
バイオの研究開発と予算について
精密農業の作業サイクル
可変農作業機等の開発と農作業機械の自動化
農地利用集積の進行と経営規模の拡大
有機農法、自然農法、減農薬農産物
<日本語⇒ポルトガル語>
形態に合わせた農業技術のパッケージ化の必要性について
農業経営規模の拡大と労働時間の短縮
地下水位の設定と農作物
精密農業によるコスト低減効果
稲作復興研修コース資料
生長管理のためのITの活用
<日本語⇒ドイツ語>
バイオテクノロジーフレームワーク
農薬と遺伝子組み換え食品に対する意識調査
<デンマーク語⇒日本語>
医薬品カタログ
食肉の安全管理について
<ウクライナ語⇒日本語>
 ウクライナの穀物生産調査報告書
<日本語⇒ブルガリア語>
健康診断書
<ハンガリー語⇒日本語>
食肉の衛生管理について
ブタペストにおける食の嗜好調査
<英語⇒日本語>
農業用フィルム資料
種子カウンター操作マニュアル
圃場内のばらつきと収穫との相関関係
ハイブリッドコーン
初乳後に最適な子豚用ミルク
給餌システム
農業施設用ヒーター 取扱説明書
ヨーロッパにおける三圃式農法の歴史と日本への影響
米国農務省牛海綿状脳症(BSE)関連文書
遺伝子組み換え作物の普及率詳細
DNA マーカー育種の工程
バイオマス燃料報告書
医療用ソフトウェアのご紹介
食品の国際規格
新型インフルエンザ
ライフサイエンス産業向けソリューション
ライフサイエンス関連Webサイト
<英文校閲>
〝塩”に関連する研究論文・・・多数
<日本語⇒中国語>
15分でわかるセルフケア
PED商品一覧
結核への外国語対応に関するアンケート
ピロリ菌に対する検査結果
プロポリス 最新研究資料
ヘルペスについて
リュウマチに対する効果例
安全衛生規定
遺伝子診断によるゲ ノム創薬
医科大学付属病院文書
医療機器保守マニュアル
外国人結核患者の看護と外国語対応
看護師経験に関するアンケート
間質性肺炎に対する効果例
歯科用機器カタログ
重要遺伝子の特許化
体外循環症例データベース
中国のベビースキンケア市場
中国向け処方表 & 概要
内視鏡カタログ
日本のバイオテクノロジーにおける課題
入浴剤、育毛剤説明書
農業における無人可変作業ロボットの将来性
発酵技術と品種改良
美容関連機器説明書
末期ガン患者の症例
目のしくみと目の病気について
鑑別マーカー遺伝子セット
<英語⇒中国語>
医学的診断書
環境、健康、安全に関する宣言
<韓国語⇒日本語>
健康診断書
<日本語⇒インドネシア語>
外国人結核患者の看護と外国語対応
結核への外国語対応に関するアンケート
メンタルヘルスに関するアンケート
 <インドネシア語⇒日本語>
 メンタルヘルスに関するアンケート
<フランス語⇒日本語>
フランスにおける就農数の推移と今後の課題
フランス農業と穀物市場
ブルキナファソ農業・農村地域開発プロジェクト
<スペイン語⇒日本語>
農作物品質向上のための日々の取り組み
土木技術の改良による干拓事業の推進
バイオテクノロジーの農業への拡大
スペイン農業の競争力と就農者の所得について
植物工場への取り組みとその課題
<ポルトガル語⇒日本語>
マテ茶の効用
アサイーに関する報告書
有機肥料と化学肥料の実態調査
セラード地帯における穀物生産について
農作物の収量予測システム・装置
<オランダ語⇒英語>
産業医向け「ガンと職場復帰のガイドライン」
<スウェーデン語⇒日本語>
医薬品カタログ
<ノルウェー語⇒日本語>
水産物に関する調査報告書
魚介類の取扱いに関する注意事項
<ロシア語⇒日本語>
キルギスタン農協、食の安全
<クロアチア語⇒日本語>
クロマグロの実態調査報告書
<ギリシャ語⇒日本語>
医薬品説明書
果実と野菜に関する報告書


Column




 本コラムでは、皆様からの生命科学に関するあらゆる質問にお答えします。
 webへ掲載可能なお名前(ニックネーム)にて、ご質問お願いします。

作者名:本螺 新一郎(ほんら・しんいちろう)
作者略歴:
大阪大学大学院医学系研究科博士後期過程修了。医学博士(Ph.D.)。
理化学研究所などで研究員を務め、現在は民間の研究開発職。
専門は医学・生物学(生理学、病理学、栄養学、神経科学、医用工学、幹細胞工学など)。

第81回 ダイエット(痩身)薬について(前編)
<質問>
本羅先生、聞いてもいいですか? 最近、SNSやネットの広告動画で、ダイエットの薬が、やたらと出てくるようになりました。別に、何かダイエットについて検索した覚えもないのに。間違って、商品のリンクを踏んで、HPに飛んだのですけど、簡単!とか、すぐに痩せる!とか、良いことばかり書いてるんですよね。私だってスタイルとか体重とか気にしますし、というか「そんな簡単に痩せるなら、飲みたいけど?!」と、少しイラっとしました(苦笑)。でも、私の周囲で飲んでる子はいませんし。いや、もちろん内緒で飲んでるかも?ですけど。よく流れてくるダイエット薬は、「商品名A」や「商品名B」、「商品名C」の動画広告です(※)。嘘くさいなと思ってチラ見してますけど、もしかして、少しは効果があったりするんですかね? だったら、いっそのこと、病院でキチンと処方される薬の方が良いですよね。保険は効かないから高いけど、ちゃんと痩せる薬があると聞いたことがあります。嘘っぽいものから、ちゃんとしたものまで、それぞれのダイエット薬がどんなものか、教えてもらってもいいですか?(東京都 Y.M.)
(2026年3月)
※具体的な商品名は伏せました。
<回答>
Y.M.さん、こんにちは。質問ありがとうございます。その手のアヤしい広告ですが、「昭和オジさん世代」の私が子供の時分から見かけます。手を変え品を変え、いつまでも無くなりませんね(苦笑)。本コラムでも、非科学的な食品/栄養の問題行動であるフードファディズム(food faddism, 第22回)や、疑似科学的な毒素(toxin, ※)を解毒(detoxification)する「デトックス(略語:detox, 第24回)」に触れたことがありました。まぁ、他人に迷惑をかけない、趣味の延長程度なら良いのですが、消費者の劣等感(Inferiority complex)を過剰に煽(あお)って購入させる「コンプレックス商法(注1)」になると、ちょっと悪質かなぁ、と個人的には思います。
※「農薬」や「食品添加物」「重金属」など、感覚的に「何となく身体に溜まりそう/健康に悪そうな物質」の意で使われるが、どれも「身体に溜まる/デトックスできる」というエビデンス(科学的根拠, scientific evidence)はない。そもそも、本来「毒素」は「生物由来の毒」の意。


(注1) コンプレックス(ドイツ語:Komplex /英語:complex):
心理学/精神医学の用語。日本語では、主に「劣等感」の意味で用いられるが、逆の意味となる「優越感(a superiority complex)」も、コンプレックスである。「愛着/執着/憎悪/嫌悪/対抗/葛藤」といった、様々な「心の要素」が組み合わさった「意識下の複雑な複合体(subconscious complicated complex)」を意味し、「現実の行動に影響する無意識」を説明する概念。俗な和製英語かつ略語として多用される。例として、以下に幾つか挙げる。
 ・マザコン(マザーコンプレックス):主に母親(mother)に対する男性の執着
 ・ファザコン(ファーザーコンプレックス):主に父親(father)に対する女性の執着
 ・ブラコン(ブラザーコンプレックス):兄弟(brother)に対する執着
 ・シスコン(シスターコンプレックス):姉妹(sister)に対する執着
 ・ロリコン(ロリータコンプレックス):男性による少女性愛が主題の小説「ロリータ(Lolita)」に由来
 ・ショタコン(shotacon, 正太郎コンプレックス):女性による思春期前少年が対象の性愛で、命名は「鉄人28号」の主人公・金田正太郎に由来し、アニメ等を通じて英単語化している。


”美しさ”を煽る悪質な商法

質問にあるダイエット(diet, ※)しかり、美容医療(二重まぶた/シミ・シワ取り/脱毛/脂肪吸引/包茎手術など)しかり、アンチエイジング(anti-aging, 抗老化 / 抗加齢)も、そうですよね。安価で心理的に負担の軽い商品から、普通の勤め人には手の届かぬ「高値(たかね)の花(注2)」まで、様々な商品や施術(せじゅつ)があります。もちろん、それら全てを否定するわけではないのですが、いずれにせよ科学的な根拠(scientific evidence)の無いものは、非科学的(non-scientific / unscientific)/疑似科学(pseudoscience)と、切り捨てて良いです。どうせ、効きませんからね(笑)。
※日本における「ダイエット(diet)」は、「食事制限」を含む「痩身(そうしん, weight loss/weight reduction/slim figure/slimming(down))行為全般」を意味することが多いが、本来は「日常の飲食物/食生活」。医療では「治療や体調を維持するための食事療法」としての「特別食/規定食」。以下、本コラムでは「瘦身行為」で使用。

とはいえ、どの辺りから説得力(persuasive / convincing)が醸(かも)し出されるのか?を分析しておくことは、悪質な商法で鴨(かも)にされないために
(注3)、重要かもしれません。つまり、商材情報の中にある虚実(true or false/fact or fiction)を見極める、ということですね。


(注2) 正しくは「高嶺(たかね)の花」。遥か彼方の山頂に咲く美しい花の如(ごと)く、安易に手が届かないと思わせるほどに「魅力的/格上な存在(out of my league / too good for me)」の比喩表現。

(注3) 鴨(かも)にする:
容易(たやす)く金銭を失うほど賭け事(gamble, ギャンブル/博打(ばくち)/賭博(とばく))に弱い者、転じて「騙(だま)しやすい/与(くみ)しやすい/簡単に利用できる」相手の比喩(ひゆ)表現。鴨(duck)が簡単に罠にかかることが由来。日没から食餌に飛び立ち、明け方に群れて同じ場所へ戻るため、夜の内その場所に罠を設置するだけで翌朝に捕獲(ほかく)できる。ちなみに、鴨は、カモ目カモ科(Anseriformes Anatidae)に属する、小型鳥類の総称で、以下の「種(しゅ, species, 分類学上の基本単位)」を含む。
  ・マガモ(真鴨 /学名:Anas platyrhynchos)
  ・カルガモ(軽鴨 /学名:Anas zonorhyncha)
  ・オシドリ(鴛鴦 /学名:Aix galericulata)
  ・コガモ(小鴨 /学名: Anas crecca)
  ・オナガガモ(尾長鴨 /学名:Anas acuta)
  ・スズガモ(鈴鴨 /学名:Aythya marila L.)
  など。

  アヒル(鶩 / 家鴨, domestic duck)も含むが、家禽(かきん, Poultry)であり、生物学上はマガモ。欧州では野生の鴨(wild duck)と区別せず、文脈で訳し分けが必要。家禽は「鳥類の家畜(かちく, domesticated animal)」で、家畜は「飼育(しいく, breeding)される動物種」のこと。
 ちなみに「家畜化/家禽化(domestication)」は、対応する英語のニュアンス(仏語:nuance, 微妙な意味合い)は「(野生から)飼いならす」に近いが、日本語だと、衣食の素材や用務目的(伝書/防犯/害虫獣駆除/生活補助/癒しなど)に沿った「品種改良(selective breeding, 人為選択(じんいせんたく)とも)」の意味を含む。


流行りのダイエット薬、その正体?!

そもそも、Y.M.さんが列挙してくれた流行りの(?)ダイエット薬、正確には「薬」ではなく「機能性表示食品(※)」でした。HPを拝見しましたが、広告表現としては「サプリメント(supplement, 栄養補助食品, 本コラム第61回参照)」ですから、以下の本コラムでは「ダイエットサプリ」と表記します。ただ、Y.M.さんが訝(いぶか)しむように、薬機法(消費者に対する機能性の訴求内容)や景表法(優良誤認などの不当表示)に触れる表現かもしれず、ちょっと心配になります(本コラム第17回)。広告の法規制については、私の専門外ですので言及を避けるとして、本コラムでは、各製品に含まれる(とされる)化学成分に注目して、その生理学的な薬効を考察し、商品の虚実を見極める糧(かて)といたしましょう。
保健機能食品(food with health claims, FHC)の1つ。「科学的根拠を基にパッケージに機能性を表示する製品」として、事業者が消費者庁に根拠となる資料を届け出た食品のこと。本来、人体への効果効能、つまり生理学的な機能性の表示は、「薬機法」の定める「医薬品(medication)/ 医薬部外品(quasi drug)」と、保健機能食品以外では厳しく禁じられているが、保健機能食品の内、「特定保健用食品(略語:トクホ/特保, 健康増進法)」や「栄養機能食品(食品衛生法)」に定められた、安全性や有効性についての法的な基準やルールが、「機能性表示食品」にはなく、「食品表示法」で「届け出の手続き(ガイドライン)」を示すのみ。本コラム第60回/第61回参照。

今回は、Y.M.さんの教えてくれた、流行ダイエットサプリに表示された、以下の「機能性関与成分」を考察します。

 ・ブラックジンジャー(black ginger)
 ・エラグ酸(Ellagic acid)
 ・ターミナリアベリリカ由来没食子酸(Gallic acid, ぼっしょくしさん/もっしょくしさん)

では、それぞれ解説しますね。

まずは、ブラックジンジャーから。「黒ショウガ/黒ウコン」の別名がありますが、いずれも日本での呼び名です。正式には「クラチャイダム(タイ語英音訳:krachai dum /学名:Kaempferia parviflora)」と言います。ショウガ科バンウコン属(Zingiberaceae Kaempferia)の多年草で、見た目(根や葉)は一般的な生姜(しょうが, Ginger)に似ていますが、可食部である根茎(こんけい, rhizome/root stock)の皮を剝(む)くと中が紫色なのが特徴です。タイ王国(Kingdom of Thailand /タイ語:Ratcha-anachak Thai)の原産で、滋養強壮や精力増強、疲労回復に効くとされる伝統的な薬効植物です。近年の研究では、褐色脂肪細胞Brown Adipose Tissue /略語:BAT, ※)の活性化を通じて、身体のエネルギー消費量(≒基礎代謝)を増やすのでは?という仮説(hypothesis)があります。一般に基礎代謝率Basal metabolic rate /略語:BMR)が高いと痩せるので、これを期待したダイエット薬なのでしょう。ただし、基本的には動物実験(an animal study/testing)培養細胞による実験(experiments using cultured cells)、少人数での簡易的な試験からの仮説で、エビデンスレベルは低いです。つまり「それなりの説得力」はあっても、「生理学的な事実」とまでは言えません。得てして「機能性表示食品」の多くは、こういうものです。
※ヒトでは、肩甲骨周囲/腎臓/首から鎖骨周囲/脊柱周囲に存在する、「熱産生」に特化した組織。温度(寒冷)や化学物質(ノルアドレナリンなど)の刺激で、熱を発する。筋肉の震えによる熱産生能力が弱い乳児に豊富で(体重の5%)、年齢とともに減少する。

ブラックジンジャー(クラチャイダム)の薬効成分 その1 ~ よく聞く化学物質名のまとめ ~

クラチャイダムの薬効成分は、ポリメトキシフラボン(polymethoxyflavone) や各種のアミノ酸と考えられています。ポリメトキシフラボンは、フラボノイド(flavonoid)の仲間で、一部の柑橘類(かんきつるい, citrus fruit, ※)の果皮に多く含まれます。国内で有名なのは、沖縄の在来種「シークヮーサー」ですね。ちなみに、元は沖縄方言で、「酢っぱいものを(シー)食わせる(クヮーサー)」という意味だそう。ただし方言(話し言葉)だからか、書き言葉では表記揺れが多く、「シークヮーサー(日本果汁協会/日本食品標準成分表)」「シイクワシャー(食品表示基準(食品表示法)/日本農林規格/特産果樹生産動態等調査)」「シークァーサー(沖縄県中央卸売市場)」など、各団体で標準表記が異なります。「同じく」と言ってよいのか、英音訳でも、”shikwasa / seaquarser / shiikuwasha / shequasar ”など表記揺れがあるようですね。正式な和名(日本の学名)は「ヒラミレモン(平実檸檬)」、学名は”Citrus × depressa Hayata”です。ここでの「 × (times, 掛算記号)」は「複数種との種間雑種」であること、” Hayata”は命名が植物学者「早田 文藏(はやた ぶんぞう)」に由来することを意味します。
※「柑橘類」は学術用語ではなく日用語。慣習的にミカン科(Rutaceae)の、ミカン(カンキツ)属(Citrus, シトラス)/キンカン属(Fortunella)/カラタチ属(Poncirus)などを合わせた総称。

話を戻して、フラボノイドは、植物の持つ特徴的な有機化合物のグループ「ポリフェノール(polyphenol)」に含まれるサブグループ「二次代謝産物(secondary metabolite)」の総称です。「二次~」とは、「細胞の発生/成長/生殖などに『無関係』」であることを意味します。ちなみに、『関係する』のは「一次代謝産物(primary metabolite)」です。二次とはいえ、特有の生理活性を持つことが多いため、近年は「特化代謝物 (specialized metabolites) 」とも言うようです。

そもそも、フェノール(phenol, 石炭酸 /分子式:C6H5-OH)は、ベンゼン(benzene /分子式:
C6H6)に、ヒドロキシ基(hydroxy group, 別名:水酸基 )が置換(ちかん, Substitution)した分子のことです。ちなみにヒドロキシ基は、”-OH” という官能基(functional group, ※)で、官能基が他の官能基と入れ替わることを「置換(ちかん)」と言います。一般に、「ベンゼン環(benzene ring, 分子内のベンゼン構造)」の水素と置換したヒドロキシ基は、「フェノール性ヒドロキシ基(phenolic hydroxy group)」と呼ばれます(図1)。さらに言うと、ベンゼン環を含む有機化合物は、初期の化学史で良い香りのする分子が多かったことから「芳香族化合物(aromatic compounds)」というグループ名が付いています。実際は、多くの分子が無臭なのですが。
※化学反応する原子/原子団のこと。

 図1.ベンゼンとフェノール
A. ベンゼンの分子構造。6つの炭素原子(C)が環状に連なって、一重結合(-)と二重結合(=)が互い違いに並び、各炭素に水素原子(H)が結合している。
B. 有機化合物を表記するとき、炭素に結合する水素原子は省略することが多い。また、ベンゼン環の一重結合(-)と二重結合(=)は、交互に入れ替わるので、表記は、どちらでも良い。
C. ベンゼンの別表記。二重結合の位置を無視している。
D. フェノールの分子構造。ベンゼンの水素原子が、ヒドロキシ基(-OH)に置換している。ベンゼン環につながるものは「フェノール性ヒドロキシ基」という。
E. エタノール(CH3-CH2-OH)やメタノール(CH3-OH)のような分子のヒドロキシ基は、「アルコール性~」という。「フェノール性」と「アルコール性」は、「イオン化する / しない」という違い。

狭義のフェノールは図1Dの分子ですが、フェノールの構造を含む芳香族化合物を広義のフェノール、「フェノール類(phenols)」と言います。さらに、分子構造に広義のフェノールが幾つもある場合、「複数あること」を意味する接頭辞「ポリ(poly-)」を付けたのが、「ポリフェノール」なのです。赤ワインや緑茶に含まれますし(後述)、最近は健康食品の広告などで、ご存じの方は多いかもしれません。

ここまでを簡単にまとめると、植物が生み出す有機化合物の大きなグループ「ポリフェノール」の中に、特異な生理活性を持つグループ「フラボノイド」があって、そのメンバーが、クラチャイダムの有効成分「ポリメトキシフラボン」ということになります。

ブラックジンジャー(クラチャイダム)の薬効成分 その2 ~ 基本の分子構造 ~

高校化学が得意でなかった皆さんも、ざっくり「たくさん(ポリ)、メトキシが付いたフラボン」という意味だろうな、でも「メトキシ」や「フラボン」って何なの?「フラボノイド」に似ているね!くらいは追いついているかと思います。まず「メトキシ(methoxy)」は、「メチル(methyl-, CH3-)」と「オキシ(oxy-, -O-)」の合成語で、”CH3O-” という官能基のことです。フラボン(flavone)は、フラボノイド・グループのメンバーの一人です。よく似た分子と一緒に、図2でまとめてみました。

 図2.フラボンと類似の分子
A. フラボンの基本構造。官能基の置換する位置は、数字(1~8、1'~6')を付けて表す。
B. アントシアニジンの基本構造。数字(3、5~7、3'~5')のどこかに、ヒドロキシ基かメトキシ基が置換する。官能基が水素だけの場合は、フラバン(flavan)という。
C. イソフラボン(※)。フラボンの構造異性体(原子の種類と数は同じだが、形の違う分子)。
続くDとEは、クラチャイダムの主要なポリメトキシフラボンである。
D. 5,7-ジメトキシフラボン(5,7-dimethoxyflavone)。5位と7位に2つの(di-, ※※)メトキシ基が置換しているフラボン。
E. 5,7,4'-トリメトキシフラボン(5,7,4'-trimethoxyflavone)。 5位、7位と4'位に3つの(tri-, ※※)メトキシ基が置換しているフラボン。
※イソ(iso-)は「同じの」を意味するギリシア語由来の化学接頭語。
有機化学では、構造異性体が2つのとき、1つを他と区別するために用いる。
※※ギリシア語由来の「数」を表す接頭語。

色とりどりの花や果実は、私たちの目を和(なご)ませます。ですが、実のところ、当の植物たちにとって、自らの彩(いろど)りは、太陽の紫外線から身を守るための手段です。フラボンは、そうした色素として進化した物質と考えられています。

様々な高等植物を飾(かざ)る色素と言えば、アントシアニン(anthocyanin)が有名ですが、その基になる分子のアントシアニジン(anthocyanidin)の基本構造は、ほとんどフラボンと同じで、4位の酸素原子(=O)が無いだけです(図2B)。

もちろん先に述べたように、フラボノイドは「特化代謝物」です。鮮(あざ)やかな着色にとどまらず、フラボンに類似した構造の分子は、特有の生理活性を持つことがあります。例えば、フラボンの構造異性体イソフラボン(isoflavone)です(図2C)。ダイズ(Soybean /学名:Glycine max)など、マメ科(Fabaceae)に含まれることで、ご存知の方もおられるでしょうが、ヒトの女性ホルモンである、エストロゲン様に作用することで有名です。これはイソフラボンが、エストロゲンの受容体に結合するためです(性ホルモンについては、本コラム第43回を参照)。ちなみに、ダイズの英語 ”Soy” は、中世から近代のヨーロッパでは東洋の調味料「醤油」を意味していたようで、20世紀になって栽培が広まり、醤油の原料である大豆に意味が転じたのだとか。

閑話休題。そんな、有名な化学物質たちと分子の形が似ているポリメトキシフラボンですが、先に解説したように、今のところはダイエットに効くか否か、エビデンスが揃(そろ)っているとは言えなさそうです。研究者的には、面白そうではありますが、はてさて。

エラグ酸と没食子酸 ~意外な歴史~

次に、エラグ酸と没食子酸です。ブラックジンジャーは、原料となる植物のことでしたが、この2つは、化学物質の名前で、しかも化学史上の関係が深いのです。実は、エラグ酸は、没食子(Gallnuts / Oak apple / Oak gall /フランス語:galle/ラテン語:galla)から抽出されました。もちろん、没食子酸が先に見つかっています。そこで2つを区別するべく、抽出したフランス人研究者が、命名にあたって綴(つづ)りを反転させたのでした(フランス語:galle → ellag)。

没食子は、木本植物ナラ(楢, Oak)の虫瘤(むしこぶ, gall)です。虫瘤とは、昆虫の寄生(きせい)や細菌の感染が原因で異常発達した、植物の瘤状突起のこと。中でも、没食子は、インクタマバチ(Gall wasp /学名:Cynips gallaetinctoriae)が卵を産み付けた、ナラの若芽(わかめ)や稚枝(わかえ)です。孵化(ふか)して寄生した幼虫の成長につれ数cmほどの瘤状になります。

この没食子、かなり古い歴史があります。というのも、古代に始まり、中世から近代にかけて、ヨーロッパ社会で最も使われた筆記/描画用インク(ink, 洋墨)の原料だったのです(だから、蜂の名前が!)。話がズレるので深入りは避けますが、没食子インク(iron gall ink / oak gall ink / iron gall nut ink)は、西欧社会で千年以上も ”standard ink /common ink” と称される存在でした。現代でも「古典インク」と呼ばれて、一部の趣味人や芸術家が愛用しているとか。その色味(濃い紫黒色)の素は、「タンニン(Tannin, 単寧)」です。没食子は、このタンニンを豊富に含んでいました。同じタンニンを含むことで、五倍子(ふし, 附子/付子とも)も、よく使われました。ウルシ科(Anacardiaceae)のヌルデ(白膠木/塩膚木, japanese sumac /学名:Rhus javanica)の翼葉(よくよう, ※)に寄生する、ヌルデシロアブラムシ(Schlechtendalia chinensis)が作る虫瘤で、タマバチの別名である「フシバチ(五倍子蜂)」の由来となっています。日本では、こちらの方が多用されて「お歯黒(おはぐろ, ※※)」や「白髪染め」に使われていました。ちなみに、附子を「ぶし/ぶす」と読むのは、お控え下さい。なぜか、有毒植物の代名詞「トリカブト(鳥兜/草鳥頭)の毒」という、物騒な意味になってしまいます(※※※)。
※葉の付け根と茎の間から左右に左右に張り出した、平たい翼状の組織。
※※歯を黒く染める、かつての風習/化粧。
※※※英名は「僧侶の被りもの(monkshood)」。洋の東西とも、花の形による命名か。
毒の成分「
アコニチン(aconitine)」は、学名”Aconitum”に由来。

私たち日本人にとって、タンニンは、インクの原料というより、もっと身近な存在でしょう。緑茶や、甘くなる前の柿の渋み。これ、タンニンです。さらに言うと、お酒が好きな方は、ご存じかもしれませんが、赤ワインの渋みもそうですし、熟成したウイスキーの香りや色合いもオーク樽から染み出たタンニンに由来します。あまりに多様すぎて驚きますが、そもそもタンニンは、特定の化学物質ではありませんでした。ざっくり、ポリフェノールではあるのですけど。

タンニンのアレコレ

命名の歴史を辿れば、動物の皮(skin / hide)を「鞣(なめ)す」、つまり「防腐(ぼうふ)して柔軟な革(leather)に加工する」ことを意味する英語 ”tan” が由来です。つまり、「鞣し」で使う薬剤に「タンニン」と名付けたわけです。鞣すことで、皮のタンパク質を変性(つまりアミノ酸が連なる立体構造の変化)させて、水分/油脂を除去し、乾燥しても柔軟になります。この一連の反応を収斂作用(しゅうれんさよう, astringent)と言います。しかし残念ながら、収斂作用は、簡単な分子構造による化学反応ではありませんでした。

複雑も複雑、ひとくくりに「タンニン」としていた植物由来の薬剤、その分子構造は、巨大な高分子ポリマー(polymer, 重合体/多量体)だったのです。ただし、基本構造は、大きく2種類でした。1つは「縮合型タンニン(condensed tannins)」、もう1つは、この後に説明する没食子酸やエラグ酸などを含む「加水分解性タンニン(hydrolyzable tannins)」です。縮合型タンニンは、お茶のカテキン(catechin)が基本構造で、先に説明したフラボンに近い、通称「フラバノール(flavanol)」、正確には「フラバン-3-オール(flavan-3-ol)」を基とする分子が、たくさん結合した高分子でした。没食子に含まれるタンニンは、後者の加水分解性~で、「タンニン酸(tannic acid)」という巨大分子であることが分かりました。ここまでを図3に、まとめてみましょう。

 図3.カテキンとタンニン酸、エラグ酸と没食子酸
A. フラバン-3-オール。フラバン(図2B)の3位が、ヒドロキシ基に置換。
B. カテキンの基本構造。実際は、4種類の立体異性体があるが省略。
C. 没食子酸。フラボンの基本構造が、ベンゼン環を残して壊れ、3位と6~8位にヒドロキシ基が置換。
D. エラグ酸。2つの没食子酸が、互い違いの向かい合わせ(↓↑)に並んで結合。
E. タンニン酸。グルコース(glucose, ブドウ糖/分子式:C6H12O6)の周囲を、2個1組の没食子酸が5組、計10個が囲んで結合。

こうして眺めると、始めに説明したフラボンを基礎として、複雑ではありつつ、どこか面影(おもかげ)を残した分子ばかりだと思いませんか?

いずれにせよ、古くからタンニンとして使われてきた、没食子や五倍子。そこから抽出された、主な成分であるタンニン酸。そして、研究過程で、タンニン酸を分解して見つかったのが、没食子酸やエラグ酸です。

ある意味、現代化学の黎明期(early years / dawn(夜明け))から研究者には知られる化学物質でしたが、どうやら近年は「特化代謝物」としても注目されているようです。今回のダイエットサプリに入っているとされる没食子酸は、ターミナリアベリリカ(Terminalia bellirica)の果実に由来するとされます。そのターミナリアベリリカは、シクンシ科(Combretaceae)に属する熱帯/亜熱帯の木本植物で、インド伝統医学の「アーユルヴェーダ(本コラム第76回参照)」でも使われていたのだとか。

とはいえ、没食子酸やエラグ酸は、先に触れたポリメトキシフラボンと同様、まだまだエビデンスが充実したとは言えません。どうやら、動物や細胞を使った非臨床試験で、脂質を消化する酵素である「リパーゼ(lipase)」の邪魔をするのでは?と言われているようです。

つまり、食事に含まれる油脂を腸から吸収できなくすることで、ダイエット効果を期待するのでしょう。ただし、効果が本当だとしたら、副作用が心配になります。というのも、腸で消化/吸収されなかった油脂は、どうなるでしょうか。尾籠(びろう)な話で恐縮ですが、大きい方がユルユルになって、トイレに駆け込むことになると思います。そこまで極端な効果は無かったとしても、なにせダイエット効果のエビデンスレベルは低いですし、期待するのは時期尚早かと思われます。

流行りのダイエットサプリについては、こんなところです。

続いて、医薬品でのダイエット……と行きたいところですが、化学の話が長くなり過ぎました。期待を募(つの)らせて申し訳ありませんが、「本当に痩せる医薬品」については、後編で解説いたします。