信越化、米で1000億円投資・三井化はアジア強化

2007.5.30 NIKKEI NET

信越化学工業は水道管などに使う塩化ビニール樹脂で、1000億円を投じて米国に原料の工場を2010年にも新設する。最大市場の北米で原料からの一貫体制を築き、世界最大手の地位を固める。三井化学は自動車やパソコン向け耐熱性樹脂の原料の工場をシンガポールに300億円超をかけて新設する。国内化学大手が国際競争力の高い製品を軸にグローバル化を加速し始めた。

・・・・(記事の転載ここまで)

信越化学工業株式会社のホームページの2007年決算説明資料から拾ってきたデータです。

(セグメント別 連結売上高)
有機・無機化学品 7,084億円(11.3%増)
電子材料     4,794億円(32.6%増)
機能材料・その他 1,169億円(10.1%減)

(セグメント別 連結営業利益)
有機・無機化学品 1,067億円(10.9%増)
電子材料     1,066億円(63.4%増)
機能材料・その他  276億円(14.9%増)

と、電子材料部門の売上・営業利益の伸びが際立っています。
さらに、電子材料事業の推移・現況(連結)のページを見ると

・半導体シリコン
携帯電話、パソコン、デジタル家電、自動車など幅広い分野でデバイス需要が拡大し(中略)売上、営業利益とも大幅に増加した。

・電子産業用希土類磁石
パソコン、サーバー、映像記録機器用途等のハードディスクドライブ向けが好調で、売上は大幅に増加した。

・その他電子材料
フォトレジスト製品は、デバイスの微細化が進む中、ArFレジストの本格採用が進み、売上、営業利益を大幅に伸ばした。

とあります。電子材料部門の売上の85%を「半導体シリコン」が占めていて、会社全体の売上をみても「半導体シリコン」が稼ぎ頭であることがわかります。さすがに「半導体シリコン」世界No.1シェアを誇る企業だけのことはあります。

ただし、今回信越化学が米国に建設する工場は、「半導体シリコン」のためではなく、水道管などに使う「塩化ビニール樹脂」を製造するため、と記事にはあります。さすがに懐の深い企業です。

2006年の年初、日経新聞が上場企業のトップ相手に「今後最も発展する企業はどこか?」というアンケートを行いました。その際、No.1の地位を占めたのが信越化学だったと記憶しています。

いずれにせよ、企業が海外に工場を建設すると、膨大な量のドキュメントの翻訳需要が発生するものです。しばらくの間、信越化学が翻訳業界の目玉になるかもしれません。