人口減少と外国人労働者

2018年5月30日 日経新聞の1面TOPより

いよいよ日本はここまで追い込まれてきたのか、というのが率直な感想です。

国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、日本の人口ピラミッドは、1980年⇒ 2020年⇒ 2050年の間に下記のように変化していくそうです。

1980年_日本の人口(国立社会保障・人口問題研究所の資料より)

2020年_日本の人口(国立社会保障・人口問題研究所の資料より)

2050年_日本の人口(国立社会保障・人口問題研究所の資料より)

2050年代に日本の総人口は1億人を切り、生産年齢人口はピーク時より3,500万人も減少し、人類史上どの国も経験したことのない「棺桶型人口ピラミッド」になるそうです。

そのため将来的な生産年齢人口確保のためには、外国人労働者を積極的に移民として受け入れていこうということでしょう。

世界からさまざまな民族を受け入れ、異文化流入という摩擦や軋轢を乗り越えながらも、新しい活力を創造していくという試みはやはり必要でしょう。日本が他国との競争に打ち勝っていくためにもそのような姿勢はとても重要だと感じます。

しかしながら、日本語も満足に話せず、単純労働しかできない外国人もなりふり構わず受け入れてしまうという方針にはやはり相当な不安が残ります。

ヨーロッパ諸国の例を見てみると、その国の言葉を話せなくても構いません、というかなり寛容な態度で移民・難民を受け入れた国は、のちのちさまざまな問題に直面しているようです。

たとえば国民一人当たりのGDPで常に世界トップクラスにあるベルギーの場合、長い間政策として国境を越えた「多民族共存」という理想主義を掲げてきました。これは移民出身国の文化・習慣の維持を容認するという多文化主義です。

そのためベルギーの首都ブリュッセルの西郊にあるモレンベークという地区は、人口9万人のうち8割がイスラム教徒という「イスラム教徒の街」となっています。

2015年11月に起きた「パリ同時多発テロ」のあと、そのモレンベークという地区がIS(イスラム国)への戦闘員供給地区になっているということが広く知れわたりました。ベルギーでの差別に不満を持つ移民の子孫たちが「ホームグロウン・テロリスト」になっていったわけです。

それに対し、移民に対しての同化政策(出身国の言葉や文化を受け入れ国に合わさせる)を推し進めているフランスなどの国は、比較的そのようなことは少ないようです。

アメリカも建国以来、移民に対して同化政策をとってきたわけですし、日本も今までは移民に対してある意味同化政策とも言える姿勢を貫いてきました。

その日本が突如、単純労働しかできない移民を多く受け入れ、結果として「多民族共存」とも言える理想主義政策をとってしまうことに一抹の不安を覚えます。