上場企業の決算発表と翻訳業界

2009.6.9 NIKKEI NET

街角景気、5カ月連続で改善 5月、経済対策が下支え

内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査によると、景気の実感を示す「街角景気」の現状判断指数は前月に比べ2.5ポイント高い36.7となり、5カ月連続で改善した。

・・・・(記事の転載ここまで)

昨年(2008年)9月のリーマンショック以降、急降下し続けた日本経済も多少の落ち着きをとりもどしたようです。しかしそれも政府による緊急経済対策のおかげでなんとか持ちこたえているという説が有力です。

昨年の秋、心臓マヒによる突然のショックでICU(集中治療室)へ担ぎ込まれた日本経済は、医師団の必死の介護により、最悪の時期を過ぎ、現在小康状態を保っている・・・・という感じでしょうか?

例年5月6月は、数多くの上場企業が決算発表と株主総会の時期を迎えるわけですが、今回はほとんどの大企業が大幅減益もしくは赤字となっています。なかでも製造業は目も当てられないほどひどく、戦後最悪の惨状となっています。それに引きづられて金融業も惨憺たる結果です。

ところが思い出してみてください。一昨年(2007年)の決算発表では、上場企業の経常利益は5年連続で過去最高益を記録し続けました。昨年でさえ、まだかなりの企業は6年連続で過去最高の利益をあげ、わが世の春を謳歌していたのです。

2002年の春から続いた”21世紀の日本好景気”は、1965年11月から1970年7月まで57ヶ月間続いた“いざなぎ景気”を期間において超えたのです。

人は「バブルの最中」にいる時は、決してバブルを実感しません。バブルは常に崩壊した後にわかるものです。どんなに科学や経済学が発達しても、不思議なことにバブルの発生とその崩壊についてだけはわからないのです。

あの金融・経済の神様と言われたグリーンスパン前FRB議長でさえ、「バブル経済を予見し、崩壊を食い止めることはできない」と発言していたくらいですから、われわれ凡人に予見できるはずもありません。

2002年以降続いた日本経済の景気拡大が”バブル”なのだとしたら、現在はやっと”平時”に戻りつつあると考えるのが妥当でしょう。

”お祭り”に浮かれていた時期が終わり、これから”平穏無事”な普通の生活に戻る時がやっと来たのです。企業においても個人においても、今を”通常”と捕らえられるか否かで今後の展開(個人においては生活)がかなり違ってくるでしょう。

ベルリンの壁が崩壊し、大きな戦争もない現在の平和な世界に、新興国が先進諸国の経済を猛追しているわけですから、”デフレ経済”は今後も先進諸国へ浸透していくはずです。

1,500兆円の個人金融資産を抱える日本人にとって、デフレ経済は必ずしも悪いものだとは、私は考えていません。ただ、”行け行けドンドン”の借金体質の企業や個人にとっては、つらい日々が続くでしょうね。デフレ社会においては、借金は早く返さなければいけません。特に会社運営に大きな資金を必要としない翻訳会社はなおさらのことです。