化学・鉄鋼・セメントなど、新興国に省エネ技術

2007.4.26 NIKKEI NET

化学、鉄鋼、セメントなど国内素材業界がアジアを中心とする新興国への省エネルギー技術の移転を加速する。それぞれの業界団体を通じて移転可能な省エネ技術をリストアップし、導入を希望する国・地域や企業に有償で供与する。経済が急成長する新興国のエネルギー消費の抑制は世界的な課題になっている。日本が持つ最先端の省エネ技術をこうした課題の解決に役立てる狙いだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本の誇る省エネ技術が、世界の環境保全へ向けて、まさに今、花開こうとしています。

現在、世界では水資源の問題が深刻化してきています。たとえば、飲料水や農業水の確保のために、チグリス・ユーフラテス川の権益を巡って、トルコとシリアとイラクがもめていると聞いています。

一方日本では、中国の温家宝(おんかほう)首相が今月来日しました。中国首脳の来日は、実に6年半ぶりのこととなります。

実は、現在中国では、深刻な水資源の不足に頭を抱えています。そのための環境保全にどうしても日本の技術が必要なのです。

温家宝首相は、日中両国の環境保全に関する技術提携議定書に調印し、今後、日本の知的財産を保護することを国会の場で公約しました。

また、中国が日本のコメを輸入することも約束しました。今後の日中関係はきっと好転して行くでしょう。2年前に上海で起きた反日暴動がウソのようです。

話は変わりますが、横浜市内を流れる、新田間川(あらたまがわ)は、私が子供の頃はゴミが大量に浮く、ヘドロだけの黒い川でした。それが今では、鯉やぼらがたくさん泳ぐきれいな川へと変貌しています。

東京都と川崎市の間を流れる多摩川(たまがわ)も、かつては「汚染された川」として有名でしたが、現在では、稚アユがどこでも泳いでいると聞いています。アユは水がきれいでなければ生きていけません。

札幌市内を流れる豊平川(とよひらがわ)では、昨年度、サケが遡上してきた数が、約1,640尾だったそうです。大都市の川にサケが遡上するなど、信じられないことですが、まさにそれが現実となってきているのです。

日本の省エネ技術と環境保全技術は世界に誇れる知的財産です。この技術は今後どんどん海外へ輸出され、世界へ大きく貢献することになるでしょう。

しかし、実は、そう喜んでもいられないデータがあります。日本人は以下のことを心しておかねばなりません。

日本エネルギー経済研究所の2007年版「エネルギー・経済要覧」によれば、2004年時点で世界の二酸化炭素の排出量は72億3500万トン。そのうち中国の排出量は13億1100万トンです。日本は中国の約4分の1に当たる3億4900万トンです。

絶対量では中国の方が多いですが、2004年時点で、中国の人口は12億9600万人で、日本は1億2800万人。これらから計算すれば、日本の1人当たりのCO2排出量は2.7トンで、中国は1.0トンになります。ちなみに世界の平均は1.14トンで、インドは0.3トンになります。

また、CO2を吸収する森林資源の消費についても、日本は多いのです。日本製紙連合会の資料では、日本人1人あたりの紙及び板紙の消費量は2004年時点で247キログラムです。世界の平均は56キログラムで、参考までに中国は42キログラム、インドは7キログラムです。

日本はすばらしい省エネ技術を持っているくせに、無駄な消費が多すぎる、ということでしょうか?

少なくとも、「環境破壊しているのは、隣国中国だ」と名指しで非難することが、まちがっていることだけは、確かのようです。