海外進出しても、空洞化にはならない!

2012年1月号 日経トップリーダーに枝野幸男経済産業大臣のインタビュー記事が出ています。

その中から一部を抜粋して下記に記します。
(以下、日経トップリーダーの記事)

2012年1月号日経TL

— 中小企業の海外進出が進むことで国内産業は衰えませんか?

(以下、枝野経済産業大臣の回答)

海外に進出した中小企業と、国内に残った中小企業の雇用者数を比較した「中小企業白書」の調査があります(上記グラフ参照)。

海外に出た企業は、一時的に国内の雇用を減らしますが、およそ5年後には国内に留まっている企業より、むしろ従業員を増やしています。

海外の活力をうまく取り込むと、海外拠点はもちろん、日本の本社やマザー工場も発展するのです。そうしたことが10年ほど前から現実に起きています。

国内事業を放棄した企業は、進出先の海外でもあまり成功していません。そうではなくて国内事業がしっかりしているうちに、その足場を残しながら海外に展開する。

そういう中小企業の動きが、日本経済を発展させ、空洞化対策にもなります。

(以上で記事終わり)

私たち翻訳業界の人間にとって、大変うれしい調査結果がでています。日本企業がこぞって海外進出しても、それが産業の空洞化にはつながらない、逆に将来の日本国内の雇用を増やす要因になっている、というのです。

企業の海外進出のお手伝いをすることの多い私たち日本の翻訳業界は、

「これが日本の産業空洞化につながるのではないか?」

という懸念を抱きながら、仕事を受注してきたという側面もあったからです。

しかしこれからは、心配することなく海外進出のお手伝いをすることができます。

この話を書いていて1980年代の日米貿易摩擦の話を思い出しました。

当時アメリカ政府は、日本市場の閉鎖性や非関税障壁を激しく非難し、「もっとアメリカ製品を買え」と強く日本政府に迫りました。

その時、日本で活躍するある米国人経営者がこう話していました。

「日本市場で儲けている外国企業はたくさんある。IBM、コカコーラ、ペプシコ、プロクター&ギャンブル、ジョンソン&ジョンソン、ブラウン、マクドナルド、ヨーロッパのブランド品企業、などなど数え上げたらきりがない。彼らは何も言わない。なぜなら儲けていることを知られたくないからだ。日本で失敗した企業だけが自国に帰り、『日本はひどい国だ』と騒いでいる」・・・・・と。

これと同じことが、現在の日本と中国の間でもおこっていたのかもしれません。

中国へ進出し、失敗した企業が日本にもどり「中国はひどい国だ。中国人はひどいやつらだ」と騒ぐため、中国に対する悪いイメージだけが先行し、欧米企業に出遅れてしまいました。

実は、早い時期から中国へ進出し、しっかり儲けている企業は、大企業はもちろんのこと、中小企業でも少なくないのです。彼らは決して騒ぎません。なぜなら目立てば、ライバル企業に真似をされてしまうからです。

今からでも遅くはありません。海外進出(中国をはじめとする世界各国)を考えている企業がありましたら、ぜひ前向きにご検討ください。

そして翻訳の需要が発生したときに、ジェスコーポレーションの名前を思い出していただければ幸いです。