危険な新局面

2011年9月21日 日本経済新聞朝刊より

国際通貨基金(IMF)は20日、世界経済見通しを改定した。米国とユーロ圏の実質成長率を6月時点から大幅下方修正し、2011年、2012年ともに実質成長率が1%台にとどまると予測した。世界経済は「危険な新局面にある」と表現したうえで「リスクは明らかに下を向いている」と分析した。

(中略)

IMFは「万一の事態が(米欧の)どちらかでも起きれば世界の成長に深刻な影響を与える」と指摘した。

(後略)

(以上で記事終わり)

2011.9.21 日経新聞

IMFの経済見通しは、主に欧米経済の危険度とその影響に関して触れていますが、新興国、特に中国に関しては比較的楽観的な見方をしているようです。

しかし、中国経済の見通しについてかなりネガティブな見方をする経済の専門家もいるようです。下記は「日経トップリーダー 2011年8月号」の講演CDの要旨を私が書き取ったものです。

日経トップリーダー 2011年8月号
経済評論家 今井徴氏の講演CDから

中国経済崩壊の警告
リーマン・ショックを予見したことで有名な、ニューヨーク大学のノリエル・ルービニ教授が自身のブログのなかで、こう予見している。

「GDPの50%を開発に投下している中国はソ連の末期と同じ状況なので、2013年に中国経済はハードランディングする。その根拠は中国が鳴り物入りで開発した中国版新幹線に上海から広州まで50分間乗ったが、乗客は半分もいなかった。各駅の3分の1は乗客が無人だった。並行して走るハイウェイは3分の2がガラガラだった。これは1960年代のソビエトや1997年アジア通貨危機前のアジアと同じ状況だ」(ルービニ教授が新幹線に乗ったのはあの中国版新幹線大事故の前のこと)

もう一人は、キニコス・アソシエイツの創立者で、大変に有名なヘッジファンドのマネージャー、ジェームス・シャノス氏が「中国を株式会社にたとえれば、史上最大のいかさま企業で今や崩壊しつつある」と指摘。ニューヨーク証券取引所の中国企業や中国が銅、セメント、鉄鉱石などを買っている中国関連企業の株を全て売り浴びせている。去年くらいから「チャイナ」と名のついた銘柄は全て「売り」と言い出している。

このシャノス氏は2001年にエンロンの粉飾決算を見抜き、エンロン株を80ドルで空売りし、下落後2ドルで買い戻し78ドルを儲けたということで非常に有名な人

中国は「逆さ合併」や「裏口上場」という手法で米国企業を買収し、上場審査をすり抜けてきたため、いかさまを摘発され、すでに20を超える銘柄が上場廃止もしくは売買停止においこまれている。そのため中国の「逆さ上場株」は年初来44%の下落をしている。

またさらに中国の住宅バブルが終わったという話もよく聞く。一時期は1ヶ月に10%、年間100数十パーセントも上がっていたマンション類だが、それが売れなくなった。それは中国政府が厳しい規制を始めたから。たとえば3件目のマンションは頭金50%が必要だとか、金利は基準金利の3割から4割増しにするとかだ。

以上から現在の中国は1990年から1991年の日本経済に似ている。あと1年~2年で中国のバブルは崩壊する。

(以上で講演CD終り)

現在の中国経済が世界に与える影響、特に日本に対する影響を考えるととても怖い内容となっています。

欧州経済(ギリシャ問題)、アメリカ経済(残されたサブプライム問題)、中国経済(バブル崩壊)の全てがうまくソフトランディングすることをただただ祈るばかりです。