日本の翻訳市場の規模は?(その1)

実は、翻訳業界の規模につき信憑性の高いデータは今まで存在せず、今回翻訳連盟によって行われた調査が初の統計データとなりました。

前述の「翻訳業界翻訳白書」からのデータです。

第1回 調査(2004年8月実施)
調査対象  1,909社
有効回答数  157社

第2回 調査(2005年12月実施)
調査対象  1,220社
有効回答数  137社

第2回の調査の中に翻訳の市場規模に関する記述があります。
下記にその要旨をまとめます。

(以下、要旨)
売上額に関する質問の有効回答は124社だった。
その中央値の合計237億円を124社で割ると、1社あたり1.9億円となる。
従って、そこから類推すると、日本の翻訳市場規模は、
1.9億円×2,000社(NTTタウンページからの社数)=3,800億円となる。

しかし、アンケートの回答に加わっていない売上高5,000万円以下の会社が圧倒的多数のはずなので、第1回調査で算出した推定業界規模2,000億円、多くて4,000億円という推定値は下方修正する必要がある。

売上高5,000万円以下の会社が圧倒的多数を占めるという根拠は、1997年に米国で行われた調査で、年商50万ドル以下の翻訳会社が90%を占めていたからである。
(以上、要旨終わり)

有効回答数が百数十社で、加えて米国の調査データを引用しているくらいですから、正直言ってこのデータも心もとないという感じです。加えて、各翻訳会社の売上額を単純に足し算するわけにはいきません。なぜなら翻訳会社間の取引もかなり含まれているはずだからです。まあ、ざっくり言って、多くても1,000億円程度といったところではないでしょうか?

ただし、これは純粋に「翻訳を企業から請け負った業務」のみと考えています。つまり「狭義の意味での翻訳市場」であって、「広義の意味での翻訳市場」はまた当然違ってくるはずです。

(この項続く)