36億申告漏れ指摘のハリポタ翻訳者、日本課税で当局合意

2007.6.12 YOMIURI ONLINE

ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの日本語版翻訳者の松岡佑子さん(63)が翻訳料など約36億円の申告漏れを指摘された問題で、日本とスイスの両税務当局が、松岡さんの居住地は日本にあり、日本で納税すべきであると合意したことがわかった。

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松岡佑子さんの「ハリ・ポタ脱税」事件は、このブログでも昨年の7月にとりあげましたが、なにはともあれ、36億円の申告漏れという額の大きさにまずは驚きました。翻訳者が”翻訳をして”ここまで所得をあげたということ自体、前代未聞でしょう。

今回、東京国税局と松岡さんとの間で問題となった争点は、松岡さんの移住地は、「日本なのか」あるいは「海外なのか」ということでした。

結局、今回の「合意」により、松岡さんの「移住地は日本」ということに落ち着き、東京国税局は「所得約36億円から源泉徴収分を引き、過少申告加算税を含め約8億円を追徴課税した」とのことです。

しかし、各メディアの情報を調べてみても、相互協議の詳しい合意内容は明らかにされていません。

やはり東京国税局は今回の判断基準を公にするべきでしょう。常々思うことですが、国税局の判断基準は常にあいまいで、行政側の裁量権が強過ぎるからです。

「税法」というものは国会で承認された「法律」ですが、財務省の官僚が作る「通達」は「法律」でもなんでもありません。

しかし、国税当局はその「通達」をあたかも「法律」であるかのごとく振り回してきます。しかもたいていの場合は具体性がなく、結果として税務署担当者の裁量に負うところが大きくなり、判断基準もあいまいになりがちです。

経済のグローバル化が進み、このような「事件」も今後ますます増えていくでしょうから、その意味からも具体的な基準を今のうちにはっきりとさせてもらいたいものです。