メール使う人ほど日本語力低い?

2007.5.1 産経新聞

大学生の1日平均の携帯メール送受信回数と日本語の基礎学力の相関関係を調べると、送受信回数が多い学生ほど日本語テストの点数が低いという結果が出たという。専門家は「携帯メールのコミュニケーションで新たな語彙を獲得するのは難しい」とみる。

・・・・(記事の転載ここまで)

確かにパソコンを使うことにより、漢字が書けなくなってきていることは事実です。やはり小学校・中学校までは、キーボードを使わずに手で漢字を書く訓練はどうしても必要でしょう。

だからといって、メールやパソコンそのものにまでネガティブな反応を示すのは考え物です。

私達の子供の頃は、「最近の若者はまったく手紙を書かなくなった。ラブレターも書かずに電話で済ませる。日本の将来が危ぶまれる」とよく言われたものです。

テレビが出てきたときには、「一億総白痴化」が叫ばれ、ファミコンが出てきた時には、「子供の人格障害」が叫ばれました。大正時代、電話が普及し始めた時には、「大量失業時代がやって来る」、と多くの人が心配したそうです。それまで「使い走り」をしていた「丁稚・小僧」が必要なくなるからです。

しかし、現実はその逆でした。電話の普及により、人間はより人間的な仕事に専念できるようになり、科学・社会の進歩に大いに貢献したのです。

世の中に何か新しい事象がはやると、有識者・評論家と呼ばれるご老人が現れて、必ずネガティブな発言をします。そして、世の中の悪い事象と無理やりに結びつけ、批判します。なぜもっとポジティブな考え方ができないのでしょうか?

私の知り合いの19歳の少年は、中学時代通信簿が1と2ばかりでしたが、今ではブログを使って、自分の考えをしっかりと発信しています。あれだけの文章力、表現力があればたいしたものです。インターネットやケータイを使って、若いベストセラー作家が生まれたり、若い芥川賞、直木賞作家が生まれる時代になってきているのです。

「先輩・後輩」、「年功序列」、「封建主義」、「男尊女卑」、そしてきわめつけが「世間様に笑われるからやめなさい」・・・・・・。

こんな世相の中で、才能の芽を摘まれて、朽ち果てていった多くの若者がいた、昔の日本などに戻りたくはありません。

通常人間の脳は時間の経過と共に、「良い思い出」を残し、「悪い思い出」を忘れるよう、記憶装置に働きかけます。そうしなければ脳が重圧に押しつぶされてしまうからです。

そのため、有識者や評論家の言う「昔の日本はよかった、だけど今の日本はダメ」という言葉には、たいていの場合賛同できません。

しかし、いずれにしても、新しい時代にあった、新しいルール作りは必要なものです。有識者の方々には、その方面で「良識」を発揮して欲しいと心から願っております。