変わる「世界の利益地図」と翻訳業界

2009年5月20日の日本経済新聞の特集記事に「企業収益回復の条件(中)、変わる世界の利益地図 雪崩うち新興国シフト」があります。下記のグラフと文章はその日経新聞の記事から引用したものです。

2009.5.20日経

<以下、日経新聞の記事>

(前略)
「世界の利益地図」が大きく変わろうとしている。これまで成長を続けてきた欧米が大きく落ち込み、新興国の需要が企業収益を支える構図が鮮明になってきたからだ。

日本の主要輸出企業30社を分析すると、2009年3月期に欧米で稼いだ売上高は43兆円と22%減少した。「欧米の不振が本格化するのはこれから」(スズキの鈴木修会長兼社長)とも言われ、今期も大きく落ち込む懸念がある。

一方、新興国は底堅さが目立つ。同じ30社のアジア・オセアニアの売上高は26兆円(10%減)。全体の売上高に占める割合は23.1%に上昇し、欧州の15.5%、米州の22.7%を上回った。

典型はホンダの決算。2009年3月期にアジアなど新興国で2,400億円近い営業利益をあげた。中国が大半を占める持ち分法利益も加えると、新興国で稼いだ実質的な利益は3,000億円にのぼる。

これに対して(ホンダが日本であげた損益は)輸出不振や円高で1,616億円の営業赤字。北米と欧州は黒字だが、合計で900億円にすぎない。

「中国、アジアでどれだけ稼げるかが勝負の分かれ目」(コマツの野路国夫社長)――― 収益地図の激変を映し、今期は新興国シフトが一段と鮮明になる。

ブリジストンは「中長期的には中国が最も成長する」(高橋康紀執行役員)と判断、約100億円を投じ中国でタイヤの生産能力を1.5倍へ高める。日米欧の乗用車向け投資は減らすが、中国向けは増やす見通しだ。

中東に商機を見い出す動きもある。ユニ・チャームは昨年、サウジアラビアで生産能力を拡大。高機能の紙おむつや生理用品を拡販し、同国の事業は今期も増収増益を見込む。

<以上、日経新聞の記事終わり>

実際に財務省の貿易統計から、数字を拾ってきて下記に表にしてみました。2009年3月のデータですから、現在入手できる最新の情報です。

2009年5月20日

日本の全輸出の53%がアジア向けで、全輸入の45%がアジアからです。改めて日本の貿易相手国としてのアジアの存在に驚かされます。

現在(2009年5月20日)、「新型インフルエンザ」で日本は大騒ぎしていますが、私は、現時点においては、そう大騒ぎするべき問題ではないと考えています。むしろこれは日本政府が民衆の不満をかわすため、政策的にミニパニックを作り上げて利用している(ちょっとうがった見方で恐縮ですが)とさえ考えています。

なぜなら、現時点においては、まだ東南アジアに「新型インフルエンザ」はほとんど発生していないからです。

これが東南アジアにしっかり定着し、冬を向かえ、強毒性の「鳥インフルエンザ」と結合した新ウイルスが発生したら問題は大きくなるでしょう。

それこそアジア貿易はストップし、翻訳業界にもより深刻な打撃を与えかねません。

うがった見方のついでですが、今回メキシコで発生した「豚インフルエンザ」は、不況克服のため、欧米系の製薬会社が意図的にウイルスを作って流した、という説さえ流れています。

現在ウイルスのワクチンというのは製薬会社の重要な”知的財産”として、強力に保護されているため、発展途上国には決して行きわたらないそうです。従って未だに「鳥インフルエンザ」のワクチンはまったく数が足りません。

そこへ「鳥+豚インフルエンザ」が発生したらどうなるでしょうか?製薬会社は大喜びでしょう、・・・などと不謹慎なことを言ってはいけませんが、金儲けのために決して情報公開をしない一部の欧米系超大手製薬会社の姿勢には、いつも疑問を感じています。