ソニー株、32年ぶり1000円割れ ソニー株が示すもの

2012.6.5 日本経済新聞朝刊

4日の東京株式市場でソニー株が1980年以来、32年ぶりの1000円割れ(過去の株式分割を考慮)となった。国際優良株として東京株式市場をけん引した面影は薄れ、一時は5割を超えた外国人持ち株比率も30%台半ばに低下した。ソニー株の歴史的安値は、日本株の低迷が欧州不安などによる単なる「リスクオフ」だけでは説明できないことを示す。

2012.6.5 日経
(以上で記事終わり)

この「ソニー株32年ぶりの1000円割れ」は、日本経済が再び大きな変化を迎える前兆なのでしょうか。

戦後の日本経済は、石炭、繊維、鉄鋼、造船、セメント、海運などの重厚長大産業が主役でした。

その後、自動車、電機、半導体、ITなどのハイテク産業へと主役交代する中、新興国の勃興需要により、日本の重厚長大産業も再び息を吹き返し始めます。

しかしその代りに、日本のハイテク産業は、今世紀に入り急速に新興国に追い上げられ、今や大変な窮地に陥っています。

もう日本のハイテク産業はダメなのでしょうか?

ハイテク産業だから、「奇想天外な発明ができなければダメだ」と思いがちですが、意外とそうでもなさそうです。

たとえば「掃除機」や「扇風機」・・・

そんな「ローテク製品は新興国に作らせておけばいい」と考えがちです。

しかし、英国のダイソンは、吸引力の衰えない「掃除機」や羽のない「扇風機」を開発して世界中で大ヒットしています。

米国のアイロボット社は、人口知能を使ったお掃除ロボット「ルンバ」で同じく世界中で大ヒットしています。

「ダイソン」も「ルンバ」も私の家で大活躍していますが、「なぜこれが日本製品でなかったのだろう」といつも残念でなりません。

新時代の産業というと、すぐにエネルギーや環境技術、医薬や福祉と考えがちですが、世界的大ヒットの芽は身近なところに潜んでいるのかもしれません。

かつて外国人に「だれか日本の有名人の名前を知っていますか?」と聞いても、ほとんどの人が誰の名前も知りませんでした。

しかし、“織田信長”も“坂本竜馬”も“総理大臣の名前”も知らなくても、「“SONY”や“Canon”や“TOYOTA”は素晴らしい」と口をそろえて讃えていたものです。

日本人は“個”よりも“全体”を重んじる国民性だからなのかもしれません。

世界を席巻した“SONY”も“Panasonic”も“Canon”も“TOYOTA”も“Honda”も、世界で活躍する日本の企業は、どれもが日本人ひとりひとりの誇りであったはずです。

強い日本企業の復活を願ってやみません。