新日鉄、太陽電池素材に参入・2010年にも新工場

2007.8.19 NIKKEI NET

新日本製鉄は太陽電池の基礎素材である多結晶シリコンを量産、同市場に本格参入する。生産コストを最大5割低減できる製法を開発、年産2000トン規模の新工場を2010年にも建設する方向で検討に入った。JFEスチールも今年度中に同300トンの量産プラントを建設する。太陽電池メーカーの相次ぐ増産で多結晶シリコンは品不足が深刻化。鉄鋼大手の量産開始で素材を含めた太陽電池の国内一貫生産体制が強化され、環境分野での日本企業の競争力が一段と高まることになる。

・・・・(記事の転載ここまで)

非営利団体『エネルギー財団』が2005年に発表した太陽エネルギーに関する報告書では、仮に化石燃料を使う火力発電並みにコスト競争力を持つようになれば、米国の太陽エネルギー業界は、毎年60億ドルを超えるペースで成長する可能性があるそうです。

このNIKKEI NETの記事の中では、「(新日鉄が)生産コストを最大5割低減できる製法を開発、年産2000トン規模の新工場を2010年にも建設する方向で検討に入った」とあります。

多結晶シリコンは現在需要が逼迫し、かつ「化石燃料を使う火力発電並みにコスト競争力を持つようになれば、米国の太陽エネルギー業界は、毎年60億ドルを超えるペースで成長する可能性がある」わけですから、大変な宝の原石ともなりうるわけです。

オイルショック以後、新興国とのコスト競争に明け暮れてきた日本の重厚長大産業が生み出してきた、超省エネ技術が、今や世界の環境問題の重要な鍵を握っていると、10年前、20年前にいったい誰が予想したでしょうか?

数十年前、新日鉄もJFE(旧日本鋼管)も鉄に見切りをつけ、いくつかの高炉を廃止し、数多くの新規事業に乗り出し、見事なまでに全ての分野で失敗しました。

ところが、現在では中国等新興国の鉄需要が急激に旺盛になり、今や世界的に深刻な鉄不足となっています。

つまり新規事業がすべて失敗し、結局本業の「鉄」に回帰してきたというわけです。まさに歴史の「皮肉」としか言いようがありません。

今回のこの「多結晶シリコン」だけは、「世界の環境保全」のためにも、ぜひ成功してほしいものです。いや、成功してもらわなければ困ります。