貿易統計:輸出総額45%増 回復基調裏付け--2月

2010.3.24 毎日新聞

財務省が24日発表した2月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出総額は前年同月比45・3%増の5兆1287億円で、3カ月連続で前年同月の水準を上回り、世界景気の持ち直しを背景とした回復基調を裏付けた。輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、約9・2倍の6510億円の黒字だった。輸入総額は、原油輸入価格が前年同月から74・5%も急伸した影響で、29・5%増の4兆4777億円となり、2カ月連続で前年同月を上回った。

輸出品目別では前年2月は大幅に落ち込んでいた自動車が105%増、自動車部品が121・7%増の大幅な伸びとなり、全体をけん引した。トヨタ自動車のリコール問題の影響が懸念されたが、同省は「マイナス要因は見られなかった」(関税局)と分析している。

・・・・(記事の転載ここまで)

さて、例によって「財務省貿易統計」のホームページから該当する数字を拾ってきて検証してみましょう。

【過去3年間の日本の2月の輸出入総額】 (単位:百万円)

2008年2月

2009年2月

伸び率

2010年2月

伸び率

輸出

6,973,675

3,529,575

-49.4%

5,127,898

+45.3%

輸入

6,037,854

3,458,728

-42.7%

4,478,346

+29.5%

新聞記事が出た時の2010年2月の数字は「速報値」だったため、現在の数字と若干の違いはありますが、伸び率に変化はありません。確かに対前年同月に比べれば、輸出が45.3%伸び、輸入も29.5%伸びています。

しかし、伸びたとはいえピーク時の2008年2月に比べれば、輸出は26.5%のマイナスで輸入も25.8%のマイナスとなっています。数字の「率」だけを追い、新聞の見出しだけでイメージしてしまうと、輸出は49.4%下がって、45.3%上がったわけですから、ほぼピーク時の状態に近づいたようにも感じますが、実際にはピーク時の4分の3のレベルに戻ったにすぎない、ということがわかります。

また、翻訳業界から見れば、「輸出の増加」は日英翻訳や日中翻訳の増加を意味し、「輸入の増加」は英日翻訳の増加を意味するのですが、「輸出が増えなければ輸入も増えない」、あるいは「輸出が減れば、輸入も減る」ということがわかります。つまり、日本経済も翻訳業界も「輸出」次第ということなのです。