優勝記念セール

プロ野球の「東北楽天ゴールデンイーグルス」が日本シリーズで優勝しましたが、この季節、いつも思う「素朴な疑問」があります。

優勝記念セール

(写真: 楽天の日本一を祝うセールでにぎわう百貨店 日本経済新聞より)

なんとも不思議な「優勝記念セール」という行事

私がこの「素朴な疑問」を最初に感じたのは20年ほど前のことだったでしょうか。

それは「福岡ダイエーホークス」が優勝を逃した時、福岡の街の様子を放映するテレビニュースを見た時のことでした。

地元のスーパーダイエーでは、店長はじめ多数の従業員たちが法被を着て、鉢巻を巻いて、テレビ画像の前で必死になって、ダイエーホークスを応援していました。しかし、結局ダイエーは試合に負けてしまいました。

そこでテレビのアナウンサーが店長めがけてインタビューを始めます。

アナウンサー: 「店長、残念でしたね」

店 長: 「とても悔しいです。優勝すれば、30%オフ、50%オフの優勝記念セールをやろうと準備していたのですが・・・。 非常に残念です。がっくりきました。」

目に涙をにじませて語る店長の様子を見て、私はふと「素朴な疑問」を感じたのです。

 なぜ、この店長は残念がっているのだろう?逆じゃないの?

ダイエーが優勝することによって、ファンの皆様が「ご祝儀」として、普段1,000円の商品を1,500円で買ってくれるから、「ぜひダイエー、優勝して」と願うならば話は分かります。

しかし、実際にはダイエーが優勝してしまったら30%引き、50%引きで商品を売らなければならないわけです。当然のこと、店長は「ダイエーが優勝しないように!」とお祈りするべきなのに、なぜ値引き販売したがるのでしょうか?

「値引き販売がそんなにうれしいなら、毎日30%引き、50%引きして売ればいいじゃない?」・・・こう考えるのがごく自然だと思います。

なぜ彼らは「優勝記念セール」という値引き販売をしたがるのか?

ズバリ、一言で言えば「儲かるから」です。

なぜ値引き販売して儲かるのか?

ズバリ、「不良在庫がさばけるから」です。

つまり、いくつかの目玉商品をエサにして、ふだん売れない商品も「勢い」で買わせてしまう。その最たるものが「お楽しみ袋」や「福袋」の類です。

「5万円相当の商品が5,000円で買えるお楽しみ袋!」と言っても、中身のほとんどは使えない不良在庫です。

「高級品をこんな安い値段で買った」という満足感に浸る客も、喜びはその一瞬だけで、結局は狭い家に新たなゴミの山が加わるだけの話です。

「高級品」であっても使わないモノは、結局ゴミ以外の何物でもないのです。

人は「群集心理」に陥ることにより、衝動的に興奮性が高まり、判断力や理性的思考が低下し、付和雷同しやすくなります。

「セール」は群集心理をたくみに利用した初歩的な金儲けの手段でしかありません。

悪いことは言いません。広い目、長い目で見れば、「セール」は結局損をするだけです。

決して「セール」には、近寄らないことです(笑)。