生保、日本流生かす営業 アジア潜在需要に的

2014年3月25日 日経新聞朝刊

日本の大手生命・損害保険会社がアジアの生保市場開拓を急ピッチに進めている。経済成長や中間層の拡大が見込まれるインドやインドネシアなどで、潜在需要の掘り起こしに照準を定める。各社は日本流で押したり、現地の慣習も採り入れたりして営業手法を確立し、成長市場での上位進出に挑む。

2014年3月25日日経1

2014年3月25日日経2

(以上で日経新聞の記事終り)

インド、タイ、ベトナム、シンガポール、マレーシア、インドネシアなどの新興アジア各国で、日本の生保各社が日本式スタイルで営業を強化しているそうです。

日本式スタイルの生保販売とは、「日生のおばちゃん」に代表されるような、中高年の女性が企業や家庭を歩き回って生保を売りまくるという、あのスタイルのことです。

戦後ながらくのあいだ日本では、「生命保険はおばちゃん達が売り歩くもの」というイメージが定着していましたが、欧米諸国では、やり手の男性セールスマンが生命保険を売る方が主流だと聞いています。

(もっともここ数十年の間にすっかり事情は変わってきていて、日本でも欧米同様、やり手の男性セールスマンが生保を売るケースがかなり増えてきているように感じますが・・・・)。

さて、以前、生保の業界関係者に「日本の生保販売員は、なぜあんなにおばちゃんが多いのか」と聞いたことがあります。

その話によると終戦後、戦争未亡人が大量に国中に溢れかえり、なんとかして彼女らの仕事を作ってあげなければならなくなったとのことでした。

そして、この生保販売員のアイディアを思いついたとのことです。能力とやる気にあふれるハングリーな女性たちにとって、歩合給のセールスレディーの仕事は一発逆転の狙える夢のある仕事だったのかもしれません。

ちょっと話は脱線しますが、これに関連してゴルフ場のキャディーさんの話を思い出しました。

日本ではキャディーさんは、「おばちゃん」の仕事となっていますが、欧米では通常キャディーなどいませんし、いてもたいていは男性です。なぜならば、重労働だからです。

「日本ではなぜあんな中高年の女性に重労働の仕事をさせるのか?」「そもそもキャディーなど必要ないではないか?」「これは女性虐待ではないのか?」と欧米の人たちは思うそうです。

しかし、業界関係者に話を聞くと、田舎にはなかなか仕事がないため、おばちゃん達が働ける場所を提供するという条件でゴルフ場の建設が許可され、地元の住民達にも受け入れられてきた、という事情があったようです。

さて、話をアジアでの生保販売に戻しますが、日本の文化や風習、それに日本人の考え方などは、やはり欧米よりもアジアでのほうが、受け入れやすいと私は感じています。

従って、日本式営業で日本の生保各社は今後アジアにおいてもっともっと販売額を伸ばしていけると思っています。

また、上記の「世界の生命保険料収入のシェア」のグラフを見ると2012年の「先進アジア」のシェアが「北米・オセアニア」や「西欧」に比べて非常に大きいのに驚きました。

「先進アジア」というのは、日本と韓国の2国だけですから、いかに日本人や韓国人が保険好きなのかがわかります。

これから大きく発展するアジア市場ですから、生保・損保各社のアジア向け翻訳も増えていくことは間違いないでしょう。