来日外国人復調の兆し

2011.6.17 日本経済新聞朝刊

東日本大震災後に激減した来日外国人の動向に持ち直しの兆しが出てきた。6月に入り、都心の家電量販店には団体客が相次ぎ来店。大手ホテルでは外国人宿泊客が前年の8割の水準まで戻したところもある。ただ原発事故の影響もあって本格回復にはなお遠く、安全をアピールする政府の情報発信の強化が一段と求められる。

(以上で記事終わり)

日経新聞によると、秋葉原のヨドバシカメラでは、震災直後に半分に減った外国人観光客向けコーナーの客足が、5月下旬以降は、震災前の8割~9割に戻ったそうです。東京都中央区のロイヤル・パークホテルでは、一時は20人ほどだった外国人宿泊客が、多い日で200人程度に回復。「特に欧米の製薬会社や金融機関系などのビジネス客が目立つ」と前年の8割程度の水準にもどっているそうです。

確かに一時期激減した外国人の姿が、少しずつ街に復活しているような気がします。観光客ももちろんですが、なんといってもビジネスマンの出張が増えなければ、とにかく貿易額は増えません。いかにネット社会になったとは言え、やはりFace to Faceでの商談がなければ、商売も大きくは動かないものです。そういう意味ではすこしずつ良い方向に向かっていると言えるでしょう。

また、企業の生産活動もサプライチェーンの復旧が予想以上に進み、エコノミストの間でも「秋には震災前の水準に戻る」との声が広がってきているとの報道がなされています。

となると明るい兆しばかり、と言いたいところですが、やはりいまだに日本に残る「原発と電力の供給不足問題」が頭痛の種です。

国際協力銀行のデータによると、日本企業の海外生産比率は2000年度の23%から2010年度は31.8%に高まったとのこと。また、第一生命経済研究所の試算では、海外生産比率が1%上がると製造業の就業者数が28万人減るとのことです。となるとこの10年で28万人×8.8=246.4万人もの雇用が日本から失われたことになります。

電力不足は製造業の国外脱出を加速させます。結局は、下記の2つの問題を、これから国家がどう対処していくか、にすべてがかかっているということです。

1.原発事故の当面の危機状態をまずは沈静化させる。
2.電力供給安定化へ向けての、短期、中期の道筋を作る。

日本の翻訳業界に限らず、日本経済の未来が全てここにかかっているといっても過言ではないでしょう。