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技術翻訳プロフェッショナル講座 「翻訳の真髄」


48 自分の考えをドキュメントによって~
【問題】次の和文を英訳してください。

自分の考えをドキュメントによって他人に間違いなく伝えるということは、非常に難しいことである。たとえ完璧なドキュメントであっても、書き手と読み手の知識や考え方の相違、読み違いなどの原因によって正しく伝わるとは限らない。

【解 説】
自分の考え: one’s ideas, one’s thought

間違いなく: accurately

伝える: convey, report, deliver, communicate, transmit, tell, impart などとある中で、ここでは最初のconvey (one’s ideas) がよいです。

正しく伝わるとは限らない→ 「~が意思疎通をひずませることもあり得る」 ~にあたるところは、例えば・・・・・、misreading of it (may distort communication) です。

最初の文章は、ただ素直に英語に変換しても読むに耐える英文ができあがります(このようなときばかりであると翻訳には苦労はないのですが・・・・)。例えば、次のように;

“It is extremely difficult to convey one’s ideas accurately to others by means of documents.”

次の文書の副詞節にあたるところも、大方が受験英語でさんざん練習させられてきているのでやさしいでしょう。

“No matter how perfect the document itself may be” か “Even if ( またはIf ) the document itself is perfect” というような訳に誰が訳してもなるでしょう。

このうち筆者は後者を採ります。理由は、”perfect” に “how” (どのくらい)という程度をあらわす言葉を使うことに抵抗を感じるからです。

「完全はひとつ」という概念であって、それがどれくらい完全であるかと、「完全」がいくつもあるかのような印象を与えるのは論理的矛盾でしょうから。

ただこれにも自信はありません。今机上に The Random House College Dictionary という英英辞典があります。その表紙にある英句を見て、上記の筆者の考えは独断というものであろうかと一度は考えてみました。

その英句とは:

“The most complete, authoritative, up-to-date desk dictionary.”

“perfect” と “complete” は意味または使い方に相違があるのではと、「新英和中辞典」(研究社)を引いてみました。

perfect
1. 完全な (complete) 、申し分のない、理想的な
【語法】 通例perfect(ly) は、「完全な(に)」の意味では比較変化はないが、「完全に近い」あるいは単に「優秀な、すばらしい (excellent)」の意味のときには、比較級・最上級の形が用いられる:”a more perfect example” (より完全な「すばらしい」例)

一方、”complete” についても同じようなことが書いてありました。したがって「程度」を意識して表現したいときには、比較級・最上級を使えるということが言えます。本問の “content” では、”Even if the document itself is perfect” と表現した方がよいと判断しました。

次に移りましょう。「書き手と読み手の知識や考え方の相違、読み違いなどの原因によって」は、いわゆる副詞句です。

これをそのまま、”By reason of” とか “For reasons of “ とかで始めないで、副詞句を名詞にして書き始めたらうまくいきます。

“Rain prevents us from going on a picnic.” (雨が降っているのでピクニックに行けない)と同じことです。

さて、その名詞ですが、あとの方の「読み違い」を先に出して "misreading of it" とし、「書き手と読み手の知識や考え方の相違」は、

”differences in background knowledge and interpretation between the writer and the reader”

を接続詞 “or” でつなぎ、

“……, misreading of it, or differences in background knowledge and interpretation between the writer and the reader”

とこれを主語とします。

「正しく伝わるとは限らない」にあたるところは、”may distort communication” とすると、うまくきまります。

以上をまとめて訳文とします( “by means of” は “through the medium of” にかえる)。

【訳 文】
It is extremely difficult to convey one’s ideas accurately to others through the medium of documents. Even if the document itself is perfect, misreading of it, or differences in background knowledge and interpretation between the writer and the reader, may distort communication.