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技術翻訳プロフェッショナル講座 「翻訳の真髄」


34 IPFの利用 和文英訳
【問題】次の和文を英訳してください。

従来、TSS配下で動作する応用プログラムを開発しようと思えば、マンマシンインターフェースを犠牲にして高級言語で作成するか、あるいは生産性を犠牲にしてアセンブラ言語でマクロを用いて作成するかのどちらかであった。IPF(Interactive Programming Facility)を利用することにより、これらを両立させることができる。

【解 説】

・ TSS ( time sharing system ) 配下で動作する~:
 ~that run(s) under TSS

・ 応用プログラム:
 application program

・ マンマシンインターフェース:
 man-machine interface

人間は人間の言語(英語や日本語、etc.)しか理解できないのに対し、機械は0と1の羅列である機械語しか理解できません。このギャップを埋める( bridging the gap )ため、interface(接触点とか嵌合部分と訳せばよいのでしょうか)があります。

高級言語(正確には高級プログラム言語 high-level programming language と言われています)で書かれたプログラム(source program)はコンパイル(compile)されて、すなわち翻訳されて機械語のプログラム(object program)となります。

この翻訳のために computer (普通は処理用コンピュータと同一のもの)と compiler というプログラムを使います。問題処理の前にこの翻訳という過程が入るため「マンマシンインターフェースを犠牲にして」という表現になったのでしょう。もっと簡単な例で言うと、keyboard も man-machine interface の一つです。

・ 生産性を犠牲にして:
 アセンブラ言語は、プログラム言語の中では一番機械語に近い、ということは、人間にはそれだけ抵抗があります。すなわち使いにくいということです。使いにくければ、プログラム作成の生産性が低下することになります。

・ これらを両立させることができる:
 these can be made compatible と訳すことはできますが、その意味は(筆者には)抽象的で漠然としています。そこで、意味をはっきり伝えるために、和文をもう一度読み直し、原作者が何を言おうとしているかをつきとめなければなりません。しかし、このところの筆者の解釈は、訳文のなかで示すことにします。

以上でこれまでに検討してきたことを反映させずに「原文がそこにあるから、翻訳なんて簡単だよ」という態度(方針)で訳した訳例1をまず示し、次にそれを三人称的に書き直した訳例2を、そして最後に「訳文」を示します。比較検討してください。同時に「翻訳とは単に語句の変換ではない。そこには創造的な何か(+α)がある」ということがお分かりいただければ幸いです。

[訳例1]

If you intend to develop application programs that operate under control of TSS, so far you have had to write them either in a high-level language, sacrificing man-machine interface, or in assembly language using macros, sacrificing productivity. Using the IPF ( interactive programming facility ) you can make both of these compatible.

[訳例2]

When application programs that operate under control of TSS are desired to be developed, they have so far had to be written either in a high-level language, sacrificing man-machine interface, or in assembly language ( using macros ), sacrificing productivity. Using the IPF, both of these can be made compatible.


【訳 文】
TSS users who generate application programs under TSS control using IPF now get both the high productivity associated with high-level languages and the excellent man-machine interface formerly associated only with assembly language.