ヨーロッパ言語とGoogle翻訳(その6)

最後に他のヨーロッパ諸語から距離を置く言語、つまり言語学的にグループを形成していない独立した状態の言語を試してみます。具体的にはギリシャ語とアルバニア語がそれにあたります。また、リトアニア語はバルト語派に属する言語でお隣の国の言葉、ラトビア語と同じ語派ですが、バルト語派自体が他のヨーロッパ諸語とは少し距離をおく位置にあります。

ギリシャ語派
<ギリシャ語 原文①>
Πού είναι η ιαπωνική πρεσβεία;
(人間訳)
日本大使館はどこですか?
(Google訳 日本語)
日本大使館はどこにありますか?
(Google訳 英語)
Where is the Japanese embassy?

日本語も英語もきちんと訳されています(英語の方は “embassy” が “Embassy” になっていればより良かったという細かい問題はありますが)。


<ギリシャ語 原文②>
Τι μέρα είναι σήμερα;
(人間訳)
今日は何曜日ですか?
(Google訳 日本語)
今日は何の日です
(Google訳 英語)
What day is today;

日本語は「何曜日」が「何の日」になってしまい最後の「か?」も抜けているため使えません。英語は最後につける ”?” が ”;” になってしまったところが残念です。


アルバニア語派
<アルバニア語 原文①>
Ku është nevojtorja?
(人間訳)
トイレはどこですか?
(Google訳 日本語)
トイレはどこですか?
(Google訳 英語)
Where is the needle?

日本語の方はきちんと訳されていますが、なぜか英語のほうは唐突に “needle” (針)が現れてきます。完全に誤訳です。ただ不思議なことにGoogle翻訳に ”nevojtorja? だけを入力するとちゃんと「toilet?」と訳されます。ちなみに日本語の方も「トイレ?」となります。


<アルバニア語 原文②>
Mund të përdorni telefonin tuaj?
(人間訳)
あなたの電話を使ってもよろしいですか?
(Google訳 日本語)
あなたの携帯電話を使用することができますか?
(Google訳 英語)
Can you use your phone?

日本語の方は意図するところは伝わりますが、英語の方は “I” とすべきが “you” となり意味が逆になっています。


<アルバニア語 原文③>
A mund të më ndihmoni ju lutem.
(人間訳)
助けてください。
(Google訳 日本語)
あなたは私を助けてくださいすることができます。
(Google訳 英語)
Can you help me please.

日本語では話者の意図するところは伝わりませんが、英語の方では伝わるでしょう。


<アルバニア語 原文④>
Unë kam nevojë për një doktor.
(人間訳)
医者が必要です。
(Google訳 日本語)
私は医者を必要とします。
(Google訳 英語)
I need a doctor.

日本語も英語もきちんと訳されています。


バルト語派
<リトアニア語 原文①>
Ką jūs studijuojate? Studijuoju lietuvių kalbą.
(人間訳)
あなたは何を学んでいるのですか? リトアニア語を学んでいます。
(Google訳 日本語)
あなたは何を教えていますか? リトアニア語を学びます。
(Google訳 英語)
What are you studying?  I study Lithuanian language.

日本語の方は、なぜか「学ぶ」が「教える」と意味が真逆になっています。英語の方は話者の意図するところは伝わっています。


<リトアニア語 原文②>
Man parėjus namo, paskambino draugė.
(人間訳)
私が家へ帰ると、女友達が電話してきました。
(Google訳 日本語)
私は友人を呼び出し、家に帰りました。
(Google訳 英語)
When I got home, a girlfriend called.

日本語の方は完全な誤訳ですが、英語の方は話者の意図するところはちゃんと伝わるでしょう。


<リトアニア語 原文③>
Atsiprašau, gal galite pasakyti, kur yra knygynas?
(人間訳)
すみません、本屋がどこにあるか教えてもらえますか?
(Google訳 日本語)
本屋がどこ申し訳ありませんが、あなたは私を伝えることができますか?
(Google訳 英語)
Sorry, can you tell me where is the bookstore?

日本語の方はまるで意味不明です。英語の方は “is” の位置がおかしいですし、もちろん”Sorry,” は “Excuse me,” にすべきですが、とりあえず相手に意味は通じるでしょう。


さて、ここまで17のヨーロッパ言語をGoogle翻訳で試してきましたが、この辺でこのシリーズを終了したいと思います。

全体を通して感じたことは、文章がシンプルであったり、定形表現であったりすれば、かなりきちんと訳されているということでした。

また、中には驚くほど見事に訳されている文章があるかと思えば、トンチンカンな訳になっていたり、意味が真逆に訳されていたりというケースもありました。

試した言語がどれもヨーロッパ言語の中では比較的マイナーな言語だったので、コーパスの少なさゆえにこのようなギャップが生じたのでしょうか。

また「日本語への翻訳」と「英語への翻訳」はどちらがより正確か、という観点から考えるとやはり「英語への翻訳」の方がずっと正確に訳されているという印象があります。

これは英語がヨーロッパ言語のひとつであるという理由に加えて、世界最大の流通言語である英語への翻訳ほうが、日本語への翻訳よりもより多くのコーパスが存在しているからということなのかもしれません。

今後良質のコーパスが蓄積されていくことによりGoogle翻訳の品質も徐々に向上していくことでしょう。しかし、現状においては、意味が正反対に訳されたり、まったく意味不明の訳になったりするので、人間によるチェックはまだまだ必須と言わざるを得ません。

(この項終わり)