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JES History

2006年2月から4月にかけblogで連載したJES Historyの保存版です。

第30回 この世に人類が存在する限り・・・(最終回)
<2006/4/11>
1988(昭和63)年6月4日、私の父丸山藤男は59歳で永眠しました。

亡くなる2ヶ月前、会社の代表権を私に譲ると言う病床の父に聞いてみました

「翻訳業の将来をどう思いますか?」と。

返ってきた答えは

「この世に人類が存在する限り翻訳の仕事はなくならない」でした。

この言葉は私に勇気を与え、今でも与え続けてくれています。

「水平線の向こうは滝、行けば必ず死ぬ」と誰もが信じていた時代、コロンブスは「地球は丸い」と信じ、自らが海へ乗り出し、命を賭け、新大陸を発見しました。

そしてコロンブスが新大陸に一歩足を踏み入れたとたん、怒涛のごとくあとへ続けと、多くの人々が押し寄せてきました。

たった一人で荒海に出帆し、技術翻訳という新大陸を発見した父の勇気を誇りに思います。

未開の荒野を一歩一歩切り拓いて行った父の努力を誇りに思います。

絶え間なく襲う困難を乗り越え、常に希望を捨てなかった父は私の誇りです。


最後に一言だけ。出来の悪い息子ではありましたが、道を踏み外すこともなく、まがりなりにもまっとうな人生を歩むことができたのは母のおかげでした。幾度となく家族の危機を救ってくれた母の笑顔と愛情に深く感謝しております。

また長い間私を支えてきてくれた優秀なるジェスコーポレーションのスタッフの皆さんに心から感謝の気持ちを込めて、このJES Historyをひとまずここで終了させていただきます。

数十年後、私自身を題材にしたJES Historyを再び書ける日が来ることを願って。


<1987(昭和62)年1月1日>
亡くなる1年半前のお正月、家族と共に。
長崎から上京してきた一人の若者は4人の子供と8人の孫と、
ジェスコーポレーションをこの世に送り、そして逝った。