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上場企業、経常益42%増 円安や海外需要追い風

2013年11月16日 日本経済新聞

4~9月、製造業は全業種増益 非製造業は最高益に

上場企業の業績回復が鮮明だ。2013年4~9月期連結決算は全産業ベースの経常利益が前年同期比42%増えた。業種別では31業種中、製造業は17業種すべてが増益となった。円安や海外需要の回復を追い風に自動車や鉄鋼の伸びが目立つ。非製造業は空運など4業種が減益だったが、通信などの伸びで合計額では過去最高を更新した。

15日までに4~9月期決算発表を終えた3月期決算企業1495社(金融、電力、新興などを除く)を集計した。

製造業は自動車やスマートフォン(スマホ)関連の増益額が大きい。リーマン・ショック前の07年4~9月期に比べ8割の水準まで回復した。

2013年11月19日日経2

2013年11月19日日経3

2013年11月19日 日本経済新聞

最高益企業 金融危機後で最多 今期経常益 6社に1社
自動車・スマホ関連がけん引

上場企業の収益回復の裾野が広がっている。2014年3月期の連結経常利益が過去最高となる企業は266社と、08年秋の金融危機後では最多になる見通しだ。6社に1社が最高益となる。円安や堅調な内需を追い風に自動車やスマートフォン(スマホ)関連企業の収益力が一段と上向き、全体をけん引する。

3月期決算企業1647社(新興・金融・電力など除く)を対象に集計した。全体に占める最高益見通しの企業の比率は16%強。金融危機が本格化する前で、上場企業の経常利益が最高となった08年3月期(約25%)以来の水準だ。08年3月期の利益水準を上回る企業も827社と、全体の5割を超す。

2013年11月19日日経1

(以上で日経新聞の記事終り)


帝国データバンク 景気動向調査(全国)
– 2013年10月調査 –

景気DIは46.8、小規模企業が2カ月連続で過去最高を更新
~ 全国10地域中6地域が過去最高となり、景気上昇が地方経済にも浸透 ~
(調査対象2万2,766社、有効回答1万769社、回答率47.3%、調査開始2002年5月)

2013年11月19日 帝国DB

(以上で帝国データバンクの資料終り)

これらの統計によると「日本は好景気に沸いている」そして「好景気に向かっている」ということのようです。

また、翻訳業界と関わりの深い貿易額そのものも順調に増えつつあるようです。⇒ 財務省貿易統計(速報値)

やはり日本経済の基本は「モノ作り」、つまり「製造業」と言えるでしょう。

その「製造業」のなかでも特に日本経済全体に大きな影響力のある業界は「電気機器」と「自動車・部品」ではないでしょうか。

上記「上場企業の主要業種別連結業績動向」の表をご覧ください。

「製造業」全体の売上合計額のうち、「電気機器」と「自動車・部品」の売り上げだけで48.4%、つまり約半分を占めています。

思えば、リーマン・ショック後、特に落ち込みの激しかった業界は、日本の「電気機器」業界でした。

アメリカのサブプライムローン問題に端を発したアメリカのバブル崩壊は、深刻な金融危機(2008年9月のリーマン・ショック)を招き、その後すぐにヨーロッパ全土へと飛び火しました。

しかしながら当初日本では、この金融危機は楽に乗り越えられると報じられていました。なぜなら日本のほとんどの金融機関はアメリカのサブプライムローンと関係を持っていなかったからです。

しかし、実際フタをあけて見るとこのショックで一番ダメージを蒙った国が日本だったのです。

アメリカ、ヨーロッパ諸国、中国の経済政策が迅速にして的確であり、日本の政策だけが最悪だったという理由もあるでしょう。

しかし、それだけが原因ではなかったと私は考えています。

このリーマン・ショックにより、日本の「自動車・部品」業界と「電気機器」業界が、いかに海外市場に寄りかかっていたかが明白となりました。

さらに、「自動車・部品」業界に大きく寄りかかる「電気機器」業界の傷口は、深く大きいものとなったのです。

そのため欧米の消費市場が落ち込むとまっさきに日本の「電気機器」業界の業績が落ち込み、危機が一段落してみれば、結局日本の「電気機器」業界だけが圧倒的な「一人負け」の状態で世界経済から取り残されてしまったのです。

私は、日本の「電気機器」業界の完全復活なくして、日本経済に夜明けは来ないと確信しています。

世界のどこにも負けない、圧倒的に強い日本の「電気機器」業界の復活を願ってやみません。

ソニー株、32年ぶり1000円割れ ソニー株が示すもの

2012.6.5 日本経済新聞朝刊

4日の東京株式市場でソニー株が1980年以来、32年ぶりの1000円割れ(過去の株式分割を考慮)となった。国際優良株として東京株式市場をけん引した面影は薄れ、一時は5割を超えた外国人持ち株比率も30%台半ばに低下した。ソニー株の歴史的安値は、日本株の低迷が欧州不安などによる単なる「リスクオフ」だけでは説明できないことを示す。

2012.6.5 日経
(以上で記事終わり)

この「ソニー株32年ぶりの1000円割れ」は、日本経済が再び大きな変化を迎える前兆なのでしょうか。

戦後の日本経済は、石炭、繊維、鉄鋼、造船、セメント、海運などの重厚長大産業が主役でした。

その後、自動車、電機、半導体、ITなどのハイテク産業へと主役交代する中、新興国の勃興需要により、日本の重厚長大産業も再び息を吹き返し始めます。

しかしその代りに、日本のハイテク産業は、今世紀に入り急速に新興国に追い上げられ、今や大変な窮地に陥っています。

もう日本のハイテク産業はダメなのでしょうか?

ハイテク産業だから、「奇想天外な発明ができなければダメだ」と思いがちですが、意外とそうでもなさそうです。

たとえば「掃除機」や「扇風機」・・・

そんな「ローテク製品は新興国に作らせておけばいい」と考えがちです。

しかし、英国のダイソンは、吸引力の衰えない「掃除機」や羽のない「扇風機」を開発して世界中で大ヒットしています。

米国のアイロボット社は、人口知能を使ったお掃除ロボット「ルンバ」で同じく世界中で大ヒットしています。

「ダイソン」も「ルンバ」も私の家で大活躍していますが、「なぜこれが日本製品でなかったのだろう」といつも残念でなりません。

新時代の産業というと、すぐにエネルギーや環境技術、医薬や福祉と考えがちですが、世界的大ヒットの芽は身近なところに潜んでいるのかもしれません。

かつて外国人に「だれか日本の有名人の名前を知っていますか?」と聞いても、ほとんどの人が誰の名前も知りませんでした。

しかし、“織田信長”も“坂本竜馬”も“総理大臣の名前”も知らなくても、「“SONY”や“Canon”や“TOYOTA”は素晴らしい」と口をそろえて讃えていたものです。

日本人は“個”よりも“全体”を重んじる国民性だからなのかもしれません。

世界を席巻した“SONY”も“Panasonic”も“Canon”も“TOYOTA”も“Honda”も、世界で活躍する日本の企業は、どれもが日本人ひとりひとりの誇りであったはずです。

強い日本企業の復活を願ってやみません。

マイクロソフト スカイプを買収

2011.5.11 日本経済新聞朝刊

米マイクロソフト(MS)は10日、インターネット通話大手スカイプ・テクノロジーズ(ルクセンブルク)を現金85億ドル(約6,850億円)で買収すると発表した。(中略)MSによる企業買収では過去最大の案件となる。(中略)

MSが今回の買収を決めた背景には、IT(情報技術)業界の主戦場となっているスマートフォン(高機能携帯電話)などの分野でMSが攻めあぐねている現状がある。同分野で先行する米アップルやグーグルとの競争がさらに激しくなりそうだ。(中略)

IT業界では「コミュニケーション」が次の成長分野と目され、グーグルや米フェイスブックなどもスカイプとの提携や買収に関心を示していたとされる。

アップルも最新スマートフォン「iPhone4」などに無料のテレビ電話機能「フェースタイム」を標準搭載し、スカイプと競合する関係にある。
(以上で記事終わり)

発表会場で握手するスティーブ・バルマー氏(左)とトニー・ベイツ氏
2011.05.11 skype
(以上で記事終り)

無料で世界中とテレビ電話ができるスカイプはとても魅力的なツールであることはいまさら言うまでもありませんが、従来はセキュリティに問題があり、なかなかビジネス上で使用することに問題がありました。

しかし今回のマイクロソフトの買収により、その点の改善が大きく進むと期待が持てます。

それにしても国際通話はもちろんのこと国内通話も全て無料のスカイプとフェースタイムになってしまったら、既存の通信キャリアは今後どうなるのでしょうか?

IT業界のみならず、世界のビジネスのあり方そのものを根本から変えるきっかけになるかもしれません。当然ながら私たち翻訳業界に与える影響も少なかろうはずはありません。

日産4工場で生産停止 日立エンジン部品納期遅れ

2010.7.13 日本経済新聞

日産自動車は12日、日立製作所から調達しているエンジン部品の入荷が遅れているため、国内4つの完成車工場で14日から3日間、操業を停止することを決めた。減産台数は約1万5,000台。日立はエンジン部品に欠かせない半導体の調達が不足した、と説明している。日産の4工場は来週から操業を再開するが、「8月半ば以降の半導体の調達は交渉中」(日立)としており、影響が拡大する可能性もある。

2010.7.13 朝日新聞

日立がECU用のICを1社だけに発注していたのは、特注品は調達先を絞った方がコストが安くなるため。こうした手法は自動車や電機業界で使われている。

(以上で記事おわり)

半導体メーカー ⇒ 日立製作所 ⇒ 日産自動車、という納入図式になっているようですが、日立製作所に半導体部品を納めている海外の半導体メーカーが、「一方的な通告による納期遅れ」をおこしたために、エンジン内の基幹部品である「エンジン制御ユニット(ECU)」を日産自動車に納品できなくなり、結局日産の4工場の操業ラインが突然ストップするという異常事態にまで発展してしまいました。

背景には現在の世界的な半導体の品不足という需給バランスの崩れがあるようですが、実際それだけでもなさそうです。

つまり「集中購買」の弊害が表面化したともいえます。「集中購買」とは、たとえば5社の下請けメーカーへ発注していた部品を、下位3社を切り捨て、上位の2社だけに集中的に発注することにより、納入コストを20%下げさせる、というようなやり方を言います。

近年の流行とも言える手法ですが、今回の日立製作所のケースで言うと、コストカットを究極まで追求したため、結局1社のICメーカーに絞りこまざるを得ず、このような非常事態を招いてしまったとも言えるでしょう。

しかしこのような動きは、部品メーカーのみならず、わが翻訳業界にも少なからず影響を与えています。「御社だけに集中的に翻訳を発注するから、何%コストを下げて欲しい・・・・・・」。

しかし、装置産業の場合は「1万個作ると1個あたりのコストは100万円だが、10万個作れば50万円になる」というような図式もあり得るでしょうが、翻訳業は装置産業ではないので、ある一定ラインを超えると量が増えることによりコストも増大する、ということに早く気がついて欲しいものです。

有力外資 相次ぎ日本撤退

2010年3月10日、日本経済新聞の朝刊から

「海外の有力企業が日本での生産や販売から相次ぎ撤退する。タイヤ大手の仏ミシュランは7月に日本での生産をやめ、韓国の現代自動車は乗用車の販売を中止。カナダの燃料電池大手も撤退する。国際収支統計によると2009年の対日直接投資は前年比で55.7%低下。外資大手は日本から新興国などへの投資先シフトを鮮明にしており、日本は法人税減税や規制緩和で投資環境を改善する必要がありそうだ」

2010.3.10-1 日経新聞
(以上で記事終り)

今まで日本人は外資が日本へ参入しようとするとすぐに「黒船来襲」と拒絶反応を示してきました。今回はその逆です。出て行く外資に「やっぱり出ていっちゃうの?」と寂しいラブコールを送っています。

問題は外資の「紙幣の色」や経営者の「目の色」ではありません。グローバルに(地球規模で)ものを考え、企業を発展させ、雇用を創造し、日本国に税金を支払う企業であれば、その国籍などどこでもよいのです。

日本人が「資本の紙幣の色」や「経営者の目の色」をとやかく問題にしている間は、相変わらずグローバル化の波に乗り遅れ続けていくのでしょう。

どんな色の紙幣でも、どんな目の色であろうと、どんな言葉をしゃべろうと、そんなことに一切頓着せず、見事に環境適応してしまう華僑の人たちにかなうわけがありません。

世界で活躍する華僑財閥と言われる人たちは、長い間外国で暮らしながら見事にその国の文化に適応しています。しかも自国の文化や風習を失うどころか逆に発展させつつ、結局は財をなしていくパワーはやはりすごいものがあります。

潜在的に「商才」を持つ中華人民13億人が、ここ数百年の間では初めて、国としてのまとまりを持ち、世界へ飛び出し始めました。

そう遠くない将来、日本にも中国資本の会社が多数現れ、当然中国人経営者の数も増えていくことでしょう。今から10年後、20年後、私たちが今想像している以上に、中国語の翻訳需要は増えているのかもしれません。

「純利益」 上位20社 20年前と今

2010.3.10 日経新聞

上場企業の2010年3月期は2期ぶりに最終黒字転換する見通しで、リーマン・ショック後の業績悪化からようやく立ち直ってきた。この20年間でバブル経済の崩壊、IT(情報技術)バブルの崩壊を経て、上場企業の勢力図は大きく変わった。電機など製造業が地盤沈下する一方、通信・商社が浮上した。ただ、新顔は少なく、日本経済の核となる成長業種の不在が浮き彫りになった。

(中略)

バブル崩壊が始まった1991年3月期は松下電器産業(現パナソニック)が首位。3位に日立製作所、5位に東芝など電機大手が6社入った。日本製の家電や半導体が世界市場を席巻していた時代だ。

しかし2010年3月期には上位20社から電機メーカーは姿を消した。韓国のサムスン電子に代表されるアジア勢に押され、低収益が常態化。かつての基幹産業の面影はない。

電機に限らず製造業は退潮ぶりが鮮明だ。上位20社のうち製造業は武田薬品工業、ホンダなど4社にとどまり、1991年3月期(9社)の半分以下。

(中略)

通信は携帯電話の普及、商社は原油など資源価格の高騰が追い風になった。だが、「両業種とも日本経済のけん引役になるのは難しい」(三井住友アセットマネジメントの宅森昭吉氏)。国内の携帯電話市場は飽和状態なうえ、資源ビジネスは自動車など製造業に比べ産業のすそ野の広がりが期待しにくいためだ。

(後略)

2010.3.10-2 日経新聞

・・・・(記事の転載ここまで)

ホンダの利益も新興国向けの二輪車販売が好調なためと聞いていますが、戦後の日本経済をけん引してきた「電機」と「自動車」業界の落ち込みには今更ながらに驚かされます。

日本の携帯電話業界は広く知られているようにガラバゴス化(日本市場でしか生存できない)していて、その出口戦略を描けずにいます。ソニーのトランジスタ・ラジオやウォークマンに代表されるように、小さく軽く高性能は日本のお家芸だったわけですが、その力を存分に発揮できる場がありません。かつてのビデオのベータマックスやパソコンのマッキントッシュの販売戦略の失敗に通じるものがあります。

一方の日本の商社は輸入した天然資源を日本市場に高く売ることにより儲けているわけですから、はたして本当に日本の国益にかなっているのでしょうか。

海外企業に負けないため、日本企業もこれからはもっと積極的に合併や買収を推し進め、豊富な資金力で新興国ビジネスのリスクを分散しながら取り込んでいって欲しいものです。

各企業が持つ個別の戦略だけでなく日本国全体の国家戦略がより重要になってくるはずです。

嗚呼、日本の電機業界、自動車業界 決算動向

2009年11月14日、日本経済新聞の朝刊から。

2009.11.16 日経新聞

(以上で記事終り)

今回の世界同時不況で一番ダメージを被った国は、米国でもなく、欧州でもなく、BRICsでもなく、まさに日本でした。

その日本のなかで圧倒的なダメージを被った産業は「製造業」でした(もっとも儲け頭の製造業の業績悪化に引っ張られて「金融業」も悪化しましたが、それでも製造業ほど悪くはありません)。

しかし、製造業の内訳をよく見てみるとその全てが悪いわけではありません。突出して悪い業種があるのです。

その第一が「電気機器業界」、第二が「自動車・部品業界」、第三位が「鉄鋼業界」です。特に「電気機業界」の悪さは、他と比較しても目を覆わんばかりです。

つまり日本の「電気機器業界」は、世界で最もダメージを被った産業だと言えます。

アメリカのバブル個人消費を当てにした、北米輸出に偏りすぎた企業方針の“つけ”が一挙に噴出したと言わざるを得ないでしょう。

来年3月期の決算予想では、他の産業が増益あるいは黒字転換を果たす中、「電気機器業界」だけは依然、巨額の赤字決算となる見通しです。

韓国企業等、他の新興国企業の追い上げも激しいため、今後も苦戦は避けられません。

欧州や韓国や台湾の企業に比べて日本は技術では決して負けてはいません。むしろ優秀な技術者の質と量では他国を凌駕しているはずです。それなのになぜ負けるのか?日本が今負けているのは、経営者の戦略だけでしょう。

今こそ再び日本の電機業界に“技術立国日本”の灯を点す、戦略的経営者の出現を強く望んでやみません。

銀行再編 業界再編

2009年11月15日(日)の日経新聞の記事から

2009.11.15日経新聞

上の図を見るとずいぶんと懐かしい名前がならんでいます。確かに昔は沢山の「大手銀行」がありましたね。

それも今や気がついてみると、たったの6グループに再編されてしまいました。これは欧米の金融機関が合併・買収を繰り返し、巨大化していく流れに対抗すべく、日本でもどんどん巨大化が進んでいったからでした。

しかし、日経新聞の記事によると昨今の欧米の金融機関では「昨秋以降の金融危機をきっかけに、金融機関の巨大化には見直しの動きが広がっている」そうです。

「組織が巨大化し過ぎて管理がしきれない」のだそうですが、あげくのはては政府にとって金融機関は「大き過ぎてつぶせない」組織になってしまったからだとは、あきれはててものが言えません。

日本でもアメリカでもそうですが、バブルがはじけて未曾有の経済危機に直面した時、自国の経済を守るためには、なにがなんでも自国の金融機関を守らねばならないと実に手厚い保護をし続けてきました。

そのうえ国際競争に勝ち、国内産業を守るためには巨大な金融機関が必要との理由でどんどん合併・買収を奨励してきました。

そのあげくのはてが「大き過ぎてつぶせない」から考え直そうとしている、とは実に無責任な話です。

「組織が巨大化し過ぎて管理がしきれない」などは最初からわかっていたはずですが、この見直しの動きが本格化すると他の産業への影響も出てくるかもしれません。

「大きいことはいいことだ」・・・・・・・、これは高度経済成長期の日本で流行ったキャッチコピーですが、未曾有の経済成長と未曾有の経済危機を迎えた21世紀初頭の世界経済に変化が現れるのでしょうか?

今後も「規模の利益の追求」と「グローバリゼーション」の流れは変わらないとは思いますが、それでもしっかり小規模ビジネスは生き続けるでしょう。

製造業等のモノを作る業界、小売業等のモノを売る業界、金融業等のカネを貸す業界においては、「規模の利益の追求」はある程度避けられないでしょうが、サービス(役務)を提供する事業においては、その流れはやはり限定されるでしょう。

30年も40年も昔から「業界再編」という言葉がささやかれてきました。印刷業界、出版業界、新聞業界、広告業界・・・・・・等々、いくらでもあります。翻訳業界もそうでした。しかし、大きな組織の枠に収まりきらない人間はいつの時代もどこの世界でも必ずいて、その数は決して少数派ではないからです。

電子部品 受注上向き IT景気復調示す

2009年10月8日、日本経済新聞の朝刊から。

「電子部品の受注が回復傾向にある。7~9月の京セラや村田製作所などの受注額は4~6月に比べ1~2割増加し、2四半期連続でのプラスとなった。日本電産の出荷数は過去最高。電子部品は景気の先行指標とされ、世界のデジタル景気が昨秋以降の落ち込みから脱しつつあることを示す。

(中略)

ただ先行きには不透明感が強い。日本経済新聞社が電子部品メーカーなど30社を対象にした『電子部品景況調査』では、10~12月の景況感が『良くなる』と答えた企業は40%にとどまる。(後略)」

2009.10.8 日経新聞

(以上で記事終り)

この記事によると京セラ、TDK、日本電産、村田製作所などの電子部品メーカーの7~9月期の受注額は回復傾向にあるが、それは主に中国向けの受注が増えているからであって、依然日本や米国市場向けは前年同期を割り込んでいる、とのことです。 

また、半導体需要が多く見込めるパソコンに関して言えば、ネットブックと呼ばれる低価格ノートパソコンの市場が拡大しているほか、マイクロソフトの新OSである、ウィンドウズ7の発売に備えて、メーカーが生産体制を拡充しているとのこです。

ただ「Microsoftの次期OS発売を目前に米eWEEKが行った聞き取り調査の結果は、誰もがWindows 7を待ちわびているといった状況ではなかった。」(この記事の詳細はこちら → ITmedia News)という声も聞かれるので、マイクロソフトの新OSが一挙に世界景気を盛り上げる、とはなかなか考えにくい状況です。

日本の翻訳業界への影響という点で考えれば、世界のデジタル景気は最悪期は脱したが、先行きは不透明で、結局は米国の景気回復次第というごく平凡な答えに行き着いてしまいます。

企業はPCを3年以内に買い換えるべき――報告書が指摘

2009.7.7 ITmedia News

古いPCを使い続けると、メンテナンスコストやセキュリティリスクの上昇、生産性の低下などで余分な経費が掛かることが明らかになった。

・・・・(記事の転載ここまで)

この調査は世界7カ国の630社の企業を対象として今年3月に実施されたものだそうですが、その報告書によると、「旧式のPCを使い続けた場合、エンドユーザーの生産性低下による損失は9600ドル(90万円)に上る」とのことです。

ここではこの9,600ドルが何に対してなのかが明確ではないのですが、恐らく1人のPCユーザーが、パフォーマンスの落ちたPCを使い続ける間に蒙る経済的損失のことでしょう。

3年以上使っているデスクトップは、3年未満のPCに比べて

・不正ソフトウェアやウイルスの攻撃にさらされやすい。
・ネットワークカードの故障を経験する回数が8倍近く多い
・電源の故障が多い
・マザーボードの故障が多い
・ソフトウェアのクラッシュが多い

また、「多くの企業では、買い換えコストの削減のために、ノートPCの使用寿命を推奨期間の3年間から5年間に延長している。ノートPCの使用期間を3年からさらに2年延長すれば、実際には1台当たり960ドルの追加費用が発生し、これは標準的な買い換えコストと変わらない」とあります。

実際、ほとんどのハードウェアは発展途上国で生産されているため、生産コストは安いのですが、その修理等のメンテナンス費用は、人件費の高い先進国で行うため、当初の機器全体の購入価格に比べて、メンテナンス費用が「バカ高く」なるのはもはや現代の常識でもあります。

また、PCのパフォーマンスが落ちたり、トラブルが発生すると、仕事の能率は急落し、思わぬ損失を蒙ります。これは仕事とPCが切っても切り離せない状態にある翻訳業界にあっては大変深刻な問題です。

一方、この調査を額面どおり受け取れない面もあります。本当にPCの寿命が3年なのかどうかは完全には納得はできません。PCをはじめとするOA機器・ソフトウェアの売上を伸ばし、ひいてはIT業界全体の経済不振を払拭したいという狙いも見え隠れするからです。

しかし、ここはあまり深く考えずに世界中が「騙されて」、どんどんPC、OA機器、ソフトウェアの買い替えを促進させていくべきでしょう。そうすれば、世界同時不況も少しは持ち直してくるというものです。弊社でも早速、3台のPCを新規購入し、また私個人としても1台のPCを新規購入しました。

「景気刺激のため、家を買い換えろ」とか「車を買い換えろ」というのは、ちょっと大変ですが、「仕事の能率アップのためにPCを買い換えろ」ということであれば、世界経済発展のために「大海の一滴」を投じる価値はあるのではないでしょうか?

上場企業の決算発表と翻訳業界

2009.6.9 NIKKEI NET

街角景気、5カ月連続で改善 5月、経済対策が下支え

内閣府が8日発表した5月の景気ウオッチャー調査によると、景気の実感を示す「街角景気」の現状判断指数は前月に比べ2.5ポイント高い36.7となり、5カ月連続で改善した。

・・・・(記事の転載ここまで)

昨年(2008年)9月のリーマンショック以降、急降下し続けた日本経済も多少の落ち着きをとりもどしたようです。しかしそれも政府による緊急経済対策のおかげでなんとか持ちこたえているという説が有力です。

昨年の秋、心臓マヒによる突然のショックでICU(集中治療室)へ担ぎ込まれた日本経済は、医師団の必死の介護により、最悪の時期を過ぎ、現在小康状態を保っている・・・・という感じでしょうか?

例年5月6月は、数多くの上場企業が決算発表と株主総会の時期を迎えるわけですが、今回はほとんどの大企業が大幅減益もしくは赤字となっています。なかでも製造業は目も当てられないほどひどく、戦後最悪の惨状となっています。それに引きづられて金融業も惨憺たる結果です。

ところが思い出してみてください。一昨年(2007年)の決算発表では、上場企業の経常利益は5年連続で過去最高益を記録し続けました。昨年でさえ、まだかなりの企業は6年連続で過去最高の利益をあげ、わが世の春を謳歌していたのです。

2002年の春から続いた”21世紀の日本好景気”は、1965年11月から1970年7月まで57ヶ月間続いた“いざなぎ景気”を期間において超えたのです。

人は「バブルの最中」にいる時は、決してバブルを実感しません。バブルは常に崩壊した後にわかるものです。どんなに科学や経済学が発達しても、不思議なことにバブルの発生とその崩壊についてだけはわからないのです。

あの金融・経済の神様と言われたグリーンスパン前FRB議長でさえ、「バブル経済を予見し、崩壊を食い止めることはできない」と発言していたくらいですから、われわれ凡人に予見できるはずもありません。

2002年以降続いた日本経済の景気拡大が”バブル”なのだとしたら、現在はやっと”平時”に戻りつつあると考えるのが妥当でしょう。

”お祭り”に浮かれていた時期が終わり、これから”平穏無事”な普通の生活に戻る時がやっと来たのです。企業においても個人においても、今を”通常”と捕らえられるか否かで今後の展開(個人においては生活)がかなり違ってくるでしょう。

ベルリンの壁が崩壊し、大きな戦争もない現在の平和な世界に、新興国が先進諸国の経済を猛追しているわけですから、”デフレ経済”は今後も先進諸国へ浸透していくはずです。

1,500兆円の個人金融資産を抱える日本人にとって、デフレ経済は必ずしも悪いものだとは、私は考えていません。ただ、”行け行けドンドン”の借金体質の企業や個人にとっては、つらい日々が続くでしょうね。デフレ社会においては、借金は早く返さなければいけません。特に会社運営に大きな資金を必要としない翻訳会社はなおさらのことです。

「国内工場閉鎖」と翻訳業界

2009年4月18日(土)、日経新聞1面トップ記事です。

2009.4.18日経新聞-1
2009.4.18日経新聞-2

(以下、記事からの引用)

「2008年度に国内工場の閉鎖を公表した大手企業を日本経済新聞が独自集計したところ、下期は計110ヶ所で上期の28ヶ所に比べ大幅に増えた。このうち2009年1月-3月は94ヶ所と全体の7割を占め、閉鎖の勢いは増している。

(中 略)

各社とも今後景気が回復し為替が円安に振れても、国内需要は大きな伸びが期待できないと判断。短期間で設備過剰を解消するとととに、海外の成長市場に経営資源をシフトすることで、景気回復時に世界で一気に攻勢をかけられるよう事業構造を転換する。

(中 略)

未曾有の不況に直面し、今回は『過去に例のないほど短期間にあらゆる業種が閉鎖を決めている』(ニッセイ基礎研究所の百嶋徹主任研究員)。

(中 略)

日本の製造業は主要製品を国内で開発・生産し、世界に輸出して事業を拡大してきた。国内市場が成熟する中、新興国を中心とする海外市場の開拓が収益力を左右するようになり、事業戦略の見直しを迫られている。

シャープは工場閉鎖はしないが、『液晶パネルや太陽電池は日本から世界へ輸出する事業モデルを変える』(片山幹雄社長)。国内生産を基本としてきた先端製品も現地企業と組み海外で生産・販売する方針だ。」

(以上で記事は終わり)

さて、リーマンショック以後、「派遣切り」を中心とする製造業の従業員削減策をマスコミが痛烈に批判するのを見ていて、私は以下のような心配をしていました。

「日本の製造業が日本国内で従業員を雇うことに嫌気が差し、どんどん国外脱出を試み、やがて産業の空洞化が加速していく・・・・・」

まさに私が恐れていたことが現実のものとなってきました。

さて、この現象がわが翻訳業界の今後にどのような影響を与えるのか考えてみました。

1. 近いうちに、工場移転に伴う膨大な文書(技術標準関連文書が中心)の翻訳需要が発生する。

2. 今後も引き続き開発・設計は日本国内で行われるため、コアとなる新技術の翻訳需要は、増えることはあっても減ることはない。

3. 新興国の現地企業と組み、生産・販売する日本企業が増えるので、機器の取扱説明書の類は、現地で翻訳、執筆される割合が増え、日本国内での翻訳需要は減少する可能性がある。

4. 新興国で作った製品を現地で販売あるいは他国へ輸出する(たとえば中国やベトナムやタイ、あるいは旧東欧諸国で生産し、米国や欧州へ輸出する)割合が一層増えるため、日本国内で英語へ翻訳した文書を現地で多国語化する傾向が増す。

5. 日本製造業の空洞化は加速し、知的財産戦略とグローバル化戦略に成功した製造業のみが生き残る。したがってその企業戦略に耐えうる翻訳事業者のみが必要とされる。

いずれにせよ、今世界の製造業地図は大きく塗り替えられようとしています。頼れるのは日本人の頭と心の中にある”技術者魂”だけなのですが、やっぱり”大和魂”だけでは勝てません。

電機8社、自己資本13%減

2009.2.23 日本経済新聞

2009.2.23日経新聞

上記新聞の切り抜きの中のグラフは、「前期末自己資本に対する今期予想赤字の比率」を表しています。そこで「2008年12月末の自己資本に対する今期予想赤字の比率」を下記に表にしてまとめてみました。

 

2008年12月末の自己資本に対する今期予想赤字の比率
日立 41%
NEC 36%
東芝 42%
三菱自 25%
パナソニック 11%
シャープ 9%
日産自 9%
富士通 6%
ソニー 5%
トヨタ 3%
マツダ 2%


日立、NEC,東芝の赤字比率の高さに愕然とします。特にこの3社は半導体を多く取り扱っているため、他の電機メーカーに比べて極端に業績が悪くなっています。

自己資本の減少は経営の足かせとなり、特に資金調達コストを割高にします。たとえば、東芝が今期計上している構造改革(リストラ)費用が150億円なのに対し、パナソニックは3,450億円を計上しています。

余裕のあるパナソニックが思い切った「リストラ」を行えるのに対し、東芝はお金がないため、思い切った手を打てません。そのぶん対応が後手後手に回る可能性があります。

1990年のバブル崩壊後、日本の銀行が不良債権の実態額をなかなか公表しなかったのは、恐ろしくて公表できなかったからでした。当時一番健全経営をしていると言われていた三菱銀行は、いち早く不良債権額を公表し、他行に先駆け一番最初にウミを出し切ってしまいました。公表しても「信用不安」に陥る心配がないと自信を持っていたからです。

それに比べて、今回の日立、NEC,東芝の三社はどうでしょうか?大変心配です。

自己資本がマイナスになれば債務超過となり、保有資産を全て売却しても負債が残ってしまう状態で、企業の存続そのものが危うくなってしまいます。

今の状態があと1年も続けば、上記の3社は本当に債務超過に陥りかねません。まさにアメリカ自動車産業ビッグスリーの二の舞となります。

日立やNECや東芝が倒産の危機にさらされるなど、ちょっと前の日本人には想像も出来ませんでした。

しかし、原子力発電という21世紀に最も有望な重電部門を持つ日立、東芝と違い、重電部門を持たないNECの次の戦略商品はいったい何なのでしょうか?

一時期,新卒就職人気ランキングで理科系大学生からの人気No.1の座をソニーと争っていたNECのことですから、若き優秀なエンジニア達が、世間を驚かすような何かをやってくれると期待しています。

10年後に過去を振り帰ったとき、2009年はわれわれ技術翻訳業界にも非常に重要な分岐点となる年になっているはずです。

自動車輸出23年ぶり最高 08年度計画700万台

2008.6.3 NIKKEINET

自動車メーカー12社合計の2008年度の輸出台数が約700万台に達し、23年ぶりに過去最高を更新する見通しになった。

・・・・(記事の転載ここまで)

日経新聞によると「輸出台数のこれまでのピークは日米自動車摩擦が激しくなった1985年度の685万台。2008年度の12社の輸出計画はこれを上回る」とのことです。

不思議な気がしませんか?急成長した日本の自動車産業の輸出台数が過去23年間低迷していたなんて。

この新聞記事ではとりあげていませんが、輸出台数が増えていないのに自動車メーカーの業績が伸びている理由は簡単に想像がつきますよね。

単純明快! 海外で生産した車を海外で販売しているワケです。これは翻訳会社にとってはあまりうれしくない話なのですが・・・・。

日本自動車工業会の資料によると、日本の自動車メーカーの海外生産台数は1985年に約90万台だったものが、2006年には約1,100万台へと実に12倍以上にも拡大しています。

つまり1980年代初め、日米貿易摩擦でバッシングを受けた日本の自動車メーカーは、一所懸命に現地に工場を建て、現地の従業員を雇用し、米国に税金を支払って共存共栄をはかってきたわけです。

ところで、「日本の貿易摩擦の元凶は自動車輸出」と思っている人は多いのではないでしょうか?

私は過去にこのブログの中でも何度かこの話題を取り上げてきましたが、日本の輸出の主役は自動車や家電品などの耐久消費財ではなく、資本財(クレーン、金属・工作機械など設備投資に向けられる機材)なのです。

2007年の日本の全輸出に占める耐久消費財の割合は19.4%で、うち乗用車の比率は15.1%にすぎません(⇒JETROの統計より)

日本の輸出拡大や貿易黒字が問題になるたびにテレビのニュース番組は、必ず港で船積みされる乗用車の映像を繰り返し背景に流します。

まるで「日本の貿易摩擦の元凶は自動車輸出」だと言わんばかりです。

これはデータの裏づけもなく、感覚で大衆をミスリードする日本のマスコミの象徴だと私は考えています。

2008年、対海外の観点から見た企業経営の展望(その2)

異才経営者による2008年大予測

日経ベンチャー(日経BP社)2008年1月号の記事から抜粋しました。

飯田 亮 (セコム取締役最高顧問)
「中国の発展で日本経済も明るい」

2008年は基本的にはいい年だと思います。大きな流れとして、やはりアジアの発展があります。その点、日本は地政学的に非常いい場所にあるから恩恵を受けやすい。
中国から距離が近いというのもあるが、それは大したことじゃない。一番は人種的に近いこと。アジアの人間は、アジアの考え方を理解できます。


青木定雄 (近畿産業信用組合会長、MKタクシー創業者)
「本気で戦う経営者に金が集まる」

小泉改革で規制緩和が大きな流れとなったのに、中小企業の経営者には、競争の時代だということをまだ理解していない人が少なくない。タクシー業界もそうだ。他社よりも少しでも努力して、「選ばれるタクシー会社」を目指せばいいのに、皆で足並みをそろえて「運賃を上げよう」なんてやっている。


土屋公三 (土屋ホーム会長)
「量を追う経営は成り立たない」

当社では1990年から、社内で大工を養成している。まず1年間は訓練生として、グループの認定職業訓練校「土屋アーキテクチュアカレッジ」に通ってもらう。その後2年間は見習いとして現場に出て、4年目から棟梁の下で、本格的に建築技術を学ばせる。この間、もちろん給料は払い続ける。
一人前の大工を育てるには、15年、20年という長い年月と膨大な費用がかかる。工務店に任せておけばいいと考える人もいるが、一見遠回りのようでも、良質な住宅を確実に提供していくには、自前の大工を育てていくしかないと考えている。修了生は今までで、既に200人以上。その多くが会社の中核として活躍している。地道な活動ではあるが、着実に身を結んでいる。


三森久美 (大戸屋社長)
「市場縮小控え、大胆に戦略転換」

海外ではヘルシーな日本食の人気が高い。また、アジアでは食材の鮮度管理がまだ確立されていないから、そうした技術を持ち込めば、大きなビジネスチャンスが広がる。これまで日本企業は製造業を中心に技術移転をしてきたが、外食などのサービス業でも進むだろう。


大山健太郎 (アイリスオーヤマ社長)
「地方企業は『変革の年』」

中国人は日本人以上にブランド志向が強いから、日本語の取扱説明書とPOP広告をそのまま付け、「日本ブランド」をアピールしている。
中国の都市部と日本の地方都市の人件費の差は、年々縮まってきているから、今後はますます、地方企業が中国市場を狙いやすくなる。特に、九州の企業は地理的にも近いから有利だろう。誰も彼も、東京を向いて仕事をする時代ではない。
大体、政府が地方間格差を埋めようとするから、地方企業が努力しなくなる。


松井利夫 (アルプス技研最高顧問)
「中国人の雇用・活用が加速する」

当社では6年前から中国人の採用事業に乗り出したが、中国の学生は優秀だ。先日も、理工系の日本の大学生に出した入社試験を、中国人の新卒社員にやらせてみたら、中国人のほうが平均点が10点~15点も高かった。
私は年に何度も中国に足を運ぶが、今の中国は日本以上に激しい競争社会となっている。沿岸部は豊かになってきたが、それでも学生たちには日本の若者にはないガッツがある。地方へ行くとまだ貧しいから、ハングリー精神が強い。日本でニートやフリーターが増えるのも、この豊かさのためだろう。


田口 弘 (エムアウト社長)
「古い業界にビジネスの芽がある」

2008年は「オープン」がキーワードになるだろう。2007年、食品偽造や建材の耐火性偽造など、企業の不祥事が頻発したことで、消費者は猜疑心の固まりになっている。従来の日本企業は消費者に十分な情報を提供してこなかったが、内向きの経営ではもはや許されない時代に入った。
ここにビジネスチャンスが生まれる。隠すのが当たり前だった情報をオープンにすれば、新しい商売になる。
(中略)
私が創業した、金型部品などのカタログ販売会社ミスミも、業界では納入価格はクローズだったが、それをオープンにすることで成長したわけだ。
今後は、供給側の論理でビジネスを発想する「プロダクトアウト」から、顧客視点で商売をする「マーケットアウト」への転換が加速度的に進むだろう。


江副浩正 (ラ ヴォーチェ代表 リクルート創業者)
「不動産が値下がり、不況が来る」

国そのものが危機に立たされているのに、日本は依然、外国人労働者に対して閉鎖的だ。出稼ぎ労働者に厳しい規制をかけている。だから、外国人研修制度を悪用して外国人を低賃金で働かせるという企業も出てくる。
米国ではベトナムの難民を受け入れ、農業分野などの貴重な労働力にしてきた。多くの外国人に働いてもらえば、彼らからの税収入も得られる。外国人労働者の受け入れに門戸を開かなければ、日本は駄目になる。

鉄鋼4社、売上高2ケタ増・9月中間

2007.10.31 NIKKEI NET

新日本製鉄など鉄鋼大手4社の2007年9月中間決算が30日出そろった。自動車向けに高級鋼が増えるなどで、売上高は4社とも10%を超える伸びとなった。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本の鉄鋼各社の業績が好調です。

当然その背景には、中国をはじめとする新興国の旺盛な鉄需要があるわけですが、それに加えて、日本の製鉄業の超省エネ技術や高い製品性能を見逃すわけにはいきません。

たとえば、鉄の専門家から聞いたところによると、日本の製鉄会社では鋼(はがね)1トンを生産するのに必要な石炭の量は0.6トンだそうです。それに対して、米国では1トン、中国では1.5トンの石炭を使用します。

つまり、エネルギー消費の点で、日本は米国よりも1.7倍、中国よりも2.5倍の生産効率を誇っているわけです。

それともうひとつ、日本が世界に誇る”高い製品性能”があります。

特に自動車軽量化を支える高強度鋼板では、日本メーカーは圧倒的な強さを誇っているそうです。

日本車の信頼性の高さは、今さら言うまでもありませんが、たとえば、米国ではそれが顕著に表れています。

米国ではリース料が損金算入でき、税金対策上有利なため、新車の90%がリース契約で購入されています。

そして、リース会社が車のリース料を算定する際に、重要な指標の一つに、その車の5年後の中古価格があります。

米国でも人気の高い日本のハイブリッド車の場合、5年後の中古価格(オーバーホール後)は、新車価格の65%だそうです。それに対し、GM車だと、せいぜい40%とのことです。

当然、中古車として高く売れる日本車のリース料は安く設定されますから、リース料が安く、質の高い日本車は、ますます人気が高まっていくわけです。

どんな業界・世界でも、ユーザーに喜ばれ、かつ、ライバルと差別化できる”技術”がキーとなるわけです。この傾向は今後ますます高まっていくことでしょう。

米の三菱UFJ系銀行、課徴金36億円 資金洗浄見逃す

2007.9.18 asahi.com

米司法省と米銀行監督当局は17日、三菱東京UFJ銀行の米国子会社傘下の銀行「ユニオンバンク・オブ・カリフォルニア(UBOC)」に対して、資金洗浄(マネーロンダリング)にからむ口座とその取引を見逃した疑いで、課徴金と民事制裁金計3160万ドル(約36億5000万円)の支払いを命じた。同行は支払いに応じる方針。

邦銀や邦銀傘下の銀行が資金洗浄がらみで課徴金などを科されるのは初めて。

米司法省によると、UBOCは03年5月~04年4月の間、メキシコの両替商が開設した口座で、大量のコカインの売買で得たとみられる資金を預かるなどしていた疑い。01年9月の米同時多発テロをきっかけに、犯罪組織などにからむ資金洗浄を制限する目的で規制強化された米銀行秘密法に違反した疑いという。

・・・・(記事の転載ここまで)

1987年に起きた「 東芝機械ココム違反事件」が思い出されます。あの時は、東芝の子会社が、共産圏への輸出が禁止されているハイテク機械(潜水艦の部品)をソ連へ売ったことにより、ソ連の潜水艦のノイズが消え、探知が不可能になった、と米国政府から非難されたことから始まりました。

その後、東芝はアメリカ社会から袋叩きにあってしまったのですが、これには後日談があります。「ベルリンの壁が崩壊」した後に、情報が公開され、東芝機械の部品はソ連潜水艦のノイズ消却には、何も役立っていなかったことが明らかにされたからです。

結局「巨額の対米貿易黒字を出す日本企業へのいじめ」がその背景にあったと言われています。

さて、今回の三菱UFJ銀行の「事件」は、麻薬・覚せい剤販売組織の資金を洗浄したという「罪状」です。ターゲットとなる「敵」が「共産圏」から「麻薬組織」や「テロ組織」へと変わりはしましたが、相変わらず日本企業の「平和ボケ」を突かれた格好になります。

2001年の「9.11テロ」後、米国の「対テロ戦略」は激変しました。表の顔はご存知のとおり、アフガニスタンやイラクへの「軍事行動」です。

「裏の顔」は、世界中の資金の流れを把握する情報戦略です。

小規模テロを完全に防ぐことは不可能ですが、中規模から大規模のテロを封じ込める最大の手段は、ブラックマネーの流れを把握することだからです。

「9.11テロ」後、米国はスイスの各銀行に対し、全ての口座の情報公開を迫りました。もしそれに応じなければ、「米国との一切の取引を禁ずる」と脅しました。米国に見放された銀行は、「倒産」せざるをえないからです。

通常であれば、いかに米国であっても、そのような強硬手段をとれば、世界中の非難を浴び、実現できなかったでしょうが、なにせあの「9.11テロ」の直後だっただけに、徹底的な守秘義務を誇るスイスの銀行でさえも、応じざるを得なかったと言われています。

グローバリゼーションが進めば進むほど、このように米国主導の政治、軍事、経済の各戦略に振り回されることになります。

「平和ボケのまま、一生を終えたい」と願う日本人は多いでしょうが、グローバリゼーションを捨てない限り、日本を取り巻く状況がなかなかそうはさせてくれないようです。

伊勢丹“名より実”選択…三越、プライド捨て生き残り

2007.8.24 FujiSankei Business i.

三越と伊勢丹が23日、正式に経営統合で合意した。社風や企業文化が極端に異なるうえ、負け組と勝ち組の組み合わせに対し、業界関係者は交渉の難航を予想した。“百貨店衰退”への強い危機感が、予想を覆し、両社を歩み寄らせた。ただ、規模の面では勝ち残りの条件である「売上高1兆円クラブ」入りを果たしたが、交渉の過程でも顔をのぞかせた主導権争いを乗り越えて融和を図り、相乗効果を発揮していく作業は一筋縄ではいきそうもない。

・・・・(記事の転載ここまで)

意地もプライドも捨て、呉越同舟の道を選ばざるを得ないほど、この「百貨店」業界の競争も激しさを増している、ということでしょう。

実際、「百貨店」と書きましたが、現在のデパートの品揃えはすでにもう「百貨」ではなく「十貨」と呼んでもよいほど品数が激減しています。各分野の専門店にはとうていかなわないからです。

そこで、日本人の大好きなヨーロッパ高級ブランド品を目玉に客を呼び、衣料品を中心に販売する「洋服屋」さんに変貌しつつある、と言ったら少し言いすぎでしょうか?

実際米国の老舗デパートへ行くと、日本の「イトーヨーカドーの2階」のような雰囲気の中で、衣料品と日用雑貨品ばかりを売っています。

日本では、90年代以降、流通革命が始まり、大手デパート、スーパーにも大きな影響を与えました。当然、零細商店が寄せ集まる「地元商店街」へは、それ以上に影響が大きく、多くは「シャッター銀座」とか「ゴーストタウン」と呼ばれる悲惨な状況に陥っています。

しかし、日本の全ての流通業が悪いのかと言うと、そうではなく、急成長を続ける小売業や卸売業も数多くあるのです。戦後長きにわたり、規制で守られ続けてきた産業、つまり、金融業、流通業、建設業、運送業などに「勝ち組」と「負け組み」のコントラストがはっきりと現れています。

やはり、ここにも「グローバリゼーション」と「インターネット」の力が決定的な影響を与えているからです。

人々はもう「閉ざされた世界」より「情報のオープン化」を支持します。

「買わされていた時代」より「消費者が選ぶ時代」を支持します。

したがって、もうこの流れは変えようがありません。

ある地方都市の「シャッター銀座」商店街の本屋さんの話です。この埃の積もる小さな本屋さんには、一日にわずか5人ほどのお客さんしか訪れません。

それなのに、この本屋の店主は元気そうに仕事をしています。なぜなのでしょうか?

答えは、”Amazon.com”でした。「インターネット」の集客により、昔の本の在庫を多く持つ、その本屋さんは、見た目とは裏腹に商売を成り立たせています。なかには、1冊数十万円というプレミアムのつく古書もあるそうです。

実際これは私自身の経験ですが、私はある本を数十年間も探していたことがあります。その本は、どの大型書店にも図書館にもありませんでした。

しかし、アマゾンで検索すると、第1巻は山口県、第2巻は茨城県、第3巻は東京都の小さな本屋さんにあるということがわかり、それぞれ取り寄せ、無事読むことができました。あの本も私が読まなければ、ただの「燃えるゴミ」でしかなかったでしょう。

時代の変化を前向きに捕らえるか、後ろ向きに捕らえるかで、結果は大きく違ってきます。私はこの変化がおもしろくて仕方がありません。

新日鉄、太陽電池素材に参入・2010年にも新工場

2007.8.19 NIKKEI NET

新日本製鉄は太陽電池の基礎素材である多結晶シリコンを量産、同市場に本格参入する。生産コストを最大5割低減できる製法を開発、年産2000トン規模の新工場を2010年にも建設する方向で検討に入った。JFEスチールも今年度中に同300トンの量産プラントを建設する。太陽電池メーカーの相次ぐ増産で多結晶シリコンは品不足が深刻化。鉄鋼大手の量産開始で素材を含めた太陽電池の国内一貫生産体制が強化され、環境分野での日本企業の競争力が一段と高まることになる。

・・・・(記事の転載ここまで)

非営利団体『エネルギー財団』が2005年に発表した太陽エネルギーに関する報告書では、仮に化石燃料を使う火力発電並みにコスト競争力を持つようになれば、米国の太陽エネルギー業界は、毎年60億ドルを超えるペースで成長する可能性があるそうです。

このNIKKEI NETの記事の中では、「(新日鉄が)生産コストを最大5割低減できる製法を開発、年産2000トン規模の新工場を2010年にも建設する方向で検討に入った」とあります。

多結晶シリコンは現在需要が逼迫し、かつ「化石燃料を使う火力発電並みにコスト競争力を持つようになれば、米国の太陽エネルギー業界は、毎年60億ドルを超えるペースで成長する可能性がある」わけですから、大変な宝の原石ともなりうるわけです。

オイルショック以後、新興国とのコスト競争に明け暮れてきた日本の重厚長大産業が生み出してきた、超省エネ技術が、今や世界の環境問題の重要な鍵を握っていると、10年前、20年前にいったい誰が予想したでしょうか?

数十年前、新日鉄もJFE(旧日本鋼管)も鉄に見切りをつけ、いくつかの高炉を廃止し、数多くの新規事業に乗り出し、見事なまでに全ての分野で失敗しました。

ところが、現在では中国等新興国の鉄需要が急激に旺盛になり、今や世界的に深刻な鉄不足となっています。

つまり新規事業がすべて失敗し、結局本業の「鉄」に回帰してきたというわけです。まさに歴史の「皮肉」としか言いようがありません。

今回のこの「多結晶シリコン」だけは、「世界の環境保全」のためにも、ぜひ成功してほしいものです。いや、成功してもらわなければ困ります。

「ブルドック完勝」のウソ

2007.7.25 NBonline

ブルドックソースと米スティール・パートナーズとの買収防衛策を巡る法廷闘争で、東京地方裁判所と東京高等裁判所はブルドックの防衛策を容認した。「ブルドック、完勝」との見方が一般的だが、ニッポン放送の社外取締役としてライブドアとフジテレビジョンとの買収合戦にもかかわった久保利英明弁護士は「本当に勝ったのはスティールではないか」と指摘する。

・・・・(記事の転載ここまで)

この久保利弁護士の話の要旨は下記のとおりです。

(1)ブルドックがあの買収防衛策を発動したことで、スティールの持ち株比率は10%程度から3%弱に下がった。
  ↓
(2)しかし、スティールは予約権を約23億円という大金でブルドックに買い取ってもらうことになる。しかも、裁判所のお墨付きまでもらって堂々と胸を張って。
  ↓
(3)スティール側から見れば、総額約18億円の投資に対して、リターンが約23億円(儲けは5億円)。儲けたのは誰かと言えば、間違いなくスティール。
  ↓
(4)要するに、あの買収防衛策はブルドックがスティールに約23億円を支払うことによって、お帰りいただくための仕掛け。
  ↓
(5)こうした行為は企業による特定株主への“利益供与”と見ることができる。つまり総会屋に対する”利益供与”と同じ。

私の考えでは、「企業買収」には2つあって、一つは両社発展のための「前向きの買収」、もうひとつは、”売り抜け”や”たかり”を目的とした「脅しの買収」です。

本来「企業」は「株主」のものですが、同時に企業は「雇用の確保」と「税金を国家へ支払う」という重要な使命も持ちあわせています。したがって、雇用を確保し、税金を払える経営者であれば、その目の色が何色であろうと、資本の色が何色であろうと、一向にかまわないのです。

そのため今後増えるであろう「前向きの買収」に対しては、もっと日本企業は門戸を開かねばなりません。

一方、今回のブルドックのケースは、明らかに「脅しの買収」なので、対策としては、”したたかな”法による対抗手段を講じておかねばなりません。

一般に「ハゲタカファンド」と思われている、外資系ファンドのなかにも、日本の老舗旅館やバブルリゾートホテルを格安で買収し、みごとに再建させている例もあります。

2001年2月に負債3261億円で会社更生法が適用された宮崎県のシーガイアを格安で買収した、リップルウッドは、2007年3月期決算の営業利益を2億2200万円とし、93年の施設オープン以来初の営業黒字を達成しています。

研究開発、自動車3兆円・日経調査、環境技術に重点投資

2007.7.27 NIKKEI NET

日本経済新聞社が実施した「研究開発活動に関する調査」によると、主要企業264社が2007年度に計画する研究開発投資は前年度比6.37%増の11兆8409億円と8年連続の増額となった。

(中略)

業績回復が続く中で、激しくなるグローバル競争を勝ち抜くために資金を研究開発に重点的につぎ込む姿勢が鮮明になっている。

・・・・(記事の転載ここまで)

紙媒体の日本経済新聞の情報によると「TOP10」は下記のようになります。

1位 トヨタ自動車 9,400億円( 5.53%増)
2位 ホンダ    5,900億円( 6.92%増)
3位 ソニー    5,500億円( 1.11%増)
4位 日産自動車  4,900億円( 5.42%増)
5位 日立製作所  4,300億円( 4.24%増)
6位 東 芝    4,030億円( 2.28%増)
7位 キヤノン   3,600億円(16.77%増)
8位 NEC      3,400億円( 1.60%増)
9位 デンソー   3,050億円( 8.97%増)
10位 NTT      3,000億円(10.29%増)

10位のNTTを除けば、自動車・電機メーカーで占められています。ここでまた例によって「企業間格差」の問題がクローズアップされています。

「大企業と中小企業との格差がどんどん大きくなっていく」と一般には思われがちです。

しかし、「世界を制した中小企業、黒崎誠著、講談社現代新書」の中に下記の記述があります。

「『中小企業白書』が指摘するように、1960年以降、付加価値に占める中小企業のシェアは、35%前後で安定的に推移している。この40年間で、日本経済は実質国民生産で12倍、製造業出荷額で20倍になった。その間、中小企業の数は減っていない。大企業に駆逐されるどころか、存在感を強めている」

「世界一の中小企業」について、これからじっくりと研究を始めようと考えています。

新潟県中越沖地震 自動車生産、相次ぎ全面再開 トヨタなどきょうから

2007.7.25 FujiSankei Business i.

トヨタ自動車は24日、新潟県中越沖地震の影響で操業を停止していた工場を25日に全面再開することを明らかにした。被災した自動車部品大手リケンの柏崎工場が復旧し、安定的な部品調達が見込めると判断したため。スズキなども全面再開する。週内には全12メーカーで、一部の軽自動車工場を除く全工場で操業を再開できる見通しで、一連の“リケンショック”からの早期復旧が実現しそうだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

地震により”リケン株式会社”が部品を供給できなくなり、日本の全自動車メーカー(12社)の生産ラインがストップしました。

今回の操業停止による減産台数は、全メーカー合計で12万台超にも達するそうですから、まさに驚きです。

この”リケン”という会社はいったいどんな会社なのでしょう?

ホームページによると、連結売上高、912億円、従業員数1,545人という立派な上場大企業です。しかし、売上規模で比べれば、トヨタ(24兆円)のわずか0.4%にも満たない蟻んこ(失礼!)のような存在です。

その小さな企業が、マンモス企業、トヨタの全28工場の操業を停止させてしまったわけですからそのわけを知りたくなります。

”リケン”は、ピストンリングの国内シェアで50%以上、全世界でも20%を占めているそうです。

エンジンの”ピストン”を締める金属の”リング”、まさに指輪のような形をした、単純な金属の”わっか”にしか見えないのですが、この中にはきっと、素人にはわからない重要な技術が隠されているのでしょう。

そして”リケン”のピストンリングには、決定的に他社と差別化された高度な技術が潜んでいるのでしょう。

このように、日本には隠れた「超優良企業」がたくさんあります。特に一般には無名の中小企業の中に、驚くべき超優良企業があったりします。

まさに「なりは小さくとも百獣の王」と言う訳で、このような優秀な企業や技術者たちが、技術立国日本の技術を陰から支えているわけです。

今回の新潟県中越沖地震は不幸な天災ではありましたが、そのおかげで改めて、「企業にとっては技術力が命」を再認識することができました。

米ダウ・ジョーンズ取締役会、ニューズの買収提案を承認

2007.7.18 NIKKEI NET

米新聞大手のダウ・ジョーンズ(DJ)は米東部時間17日夕(日本時間18日午前)にニューヨークで取締役会を開き、米メディア大手のニューズ・コーポレーションによる買収提案を受け入れることを決めた。今後の焦点はDJ株の議決権64%を保有するオーナー一族の判断に移る。

・・・・(記事の転載ここまで)

ダウ・ジョーンズ社はあの有名な経済紙、ウォール・ストリート・ジャーナルを発行するアメリカの大手新聞社ですが、この件については、日本経済新聞が紙媒体の方で詳しく取り上げています。

「ウォール・ストリート・ジャーナルは単一の新聞としては発行部数で”USAトゥデー”に次ぐ米国二位。正確・公正な報道にも定評がある。ただ、インターネットメディアに広告収入を奪われ、今やダウ・ジョーンズ株はピーク時の半値以下」

「今回の合意はダウ・ジョーンズ社がメディア再編に背を向けては生き残れないとの覚悟を決めたことを示している」

私が2006年9月11日のブログでとりあげた、近未来のメディア業界を予想する“EPIC2014” の中で紹介したビデオムービー、“EPIC2014”の話がますます現実味を帯びてきています。

もちろんこの“EPIC2014”の中に出てくる、GoogleとAmazon.comの合併企業”Googlezon”は架空の企業ですが、問題は合併云々ではなく、“EPIC(進化型パーソナライズ情報構築網)”の方にあります。

いずれにせよ、今後”情報の伝達方法”や”情報の検索方法”や”情報の選別方法”が激しく変化していくことは、容易に想像できます。

しかし、一番重要である情報の中身、つまり”コンテンツ”は、人間にしか作れないものです。

ジャーナリズムの世界で言えば、取材して記事を書くのは”人間”であり、”人間にしかできない仕事”ですから、世の中がどう変わっても”人間にしかできない仕事”をしている人たちにとっては、仕事の根本に揺らぎはない、と言えるでしょう。それは翻訳業界においても同じです。

森トラスト、アイピーモバイル株を米通信企業に売却

2007.7.13 ケータイWatch

森トラストは、携帯電話事業への新規参入を計画しているアイピーモバイルの株式を米国の通信企業NextWave Wirelessに売却すると発表した。

・・・・(記事の転載ここまで)

昨日話題にした「iフォン」に続き、再びケータイ業界の話題です。

この買収が成功すれば、日本の携帯市場から昨年撤退した英ボーダフォングループ以来となる外資の参入となります。

ちなみに「この買収が成功すれば、」と書いたのは、「契約締結から2カ月間、NextWave Wirelessが森トラストに対して同じ条件で反対売買できるオプションが付帯している」ためです。

80年代以降、日本のコンピュータ・通信・半導体の技術は常に世界のトップクラスを走り、かつソニーのウォークマンに代表されるように、機器の最小化や最軽化の技術では常に他国を圧倒してきました。

特に家電品や音響機器では世界を席巻し、液晶パネルやデジタルカメラの技術でも常に世界をリードしてきました・・・・・・・。

なのにです。世界市場における日本メーカーのケータイのシェアは、ソニーエリクソンの8.5%を除けば、わずか数%にとどまります。あまりにもさびしい話です。

せっかく素晴らしい技術を持ちながら、独自の技術にこだわりすぎて、世界標準から村八分にされた、あのビデオデッキの「ベータマックス」やマイクロソフトのMS-DOSに叩きのめされた「マッキントッシュ」が思い出されます。

マーケティングを無視して、自らの技術に陶酔して自滅した企業の過去の教訓が生かされていないのは実に残念です。

これから何とか起死回生の逆転ホームランを打ってもらいたいものです。「マッキントッシュ」で失敗したアップルが「iPod」と「iフォン」で逆転満塁ホームランをかっ飛ばしたように。

携帯業界壊す黒船「iフォン」

2007.7.11 NBonline

アップルは今年中に欧州で、2008年にアジアでiフォンを発売する予定で、「2008年に世界で1000万台」と意欲的な販売目標を掲げている。全米での熱狂ぶりと、iPodが国内の携帯音楽プレーヤーでシェア5割近いことを考えると、日本でもiフォンが爆発的に売れる可能性は高い。ところが、iフォンは日本の携帯電話業界にとって、ビジネスモデルを大きく揺るがす「黒船」でもある。

・・・・(記事の転載ここまで)

どこが「黒船」なのでしょうか?

現在の日本のビジネスモデルでは、各メーカーが携帯電話会社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)へケータイ端末を納入し、その金額を受け取って、そこで全てが終了します。

つまり、ケータイ端末製造メーカーにとって、「納入したケータイ1台につきいくら」が大事なだけで、その後そのケータイ端末を使って、利用者がいくら電話料金やパケット通信料を支払ったか、などはどうでもよいことなのです。

しかし、「iフォン」は違います。「iフォン」は音声通信とデータ通信がセットになった独自の定額制料金プランを採用しているからです。

日本企業にとって、もはや「iフォン」は無視できない存在となっているため、「iフォン」の上陸により、きっと日本のケータイビジネスモデルが根底から覆されることになるでしょう。

私自身、数年前から「iPod」を愛用していて、今や手放すことができません。かつ最近は「SonicStage」からダウンロードしたデータや音楽を「ソニエリ」のケータイで聞いています。

同時に「お財布ケータイ」機能も使っているため、今後もし「iPod」と「ケータイ」を結合して「iフォン」ひとつにした時、「落としたらどうしよう」と今から心配しています。

外国人の株式売買シェア、最高の58.8%・1-6月

2007.7.7 NIKKEI NET

国内の主要株式市場で2007年上期(1―6月)の外国人投資家の売買シェアが58.8%と前年同期に比べて7.3ポイント増え、半期ベースで過去最高を更新した。世界的な株高で投資余力の増した海外勢の資金が日本の株式市場でも一段と存在感を増している。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本のバブルが絶頂だった1989年、三菱地所がニューヨークのロックフェラーセンタービルを2,000億円で買収した時は、アメリカ国民の反感を買い、アメリカで日本脅威論が広まるきっかけとなりました。

私はその当時、そのニュースを知ったアメリカ人から「日本人は月へ行け!」と指を指されたことを鮮明に覚えています。

しかし、その後の米国の不動産不況でロックフェラーセンタービルは莫大な赤字を出すことになり、運営会社は破産。三菱地所は莫大な損失を出して、泣く泣くビルを手放しました。

1990 年11 月には、松下電器が、アメリカの映画・エンタテイメント大手MCA を61 億ドル(約7800 億円)で買収。

アメリカでは、デトロイト(自動車)、ハリウッド(映画)、メジャー・リーグ(野球)の3 分野で、外国企業が買収することはタブーとされてきただけに、松下電器のMCA買収劇は、「日本がアメリカの魂を買った」と、センセーショナルにとりあげられました。

しかしその4年後、松下電器は大損失を抱えながら、MCAをカナダの会社へ売却することになります。

これ以外にもバブル期の日本企業は、オーストラリアのゴールドコーストやハワイのワイキキ等、外国不動産を大量に買いあさり、目も当てられないほどの損失を抱えて倒産しています。

日本の大手銀行の元役員だった方の話によると、買った後に現地の法律を変えられたことも、倒産の引き金になった大きな原因の一つと聞いています。

「日本人は金儲けはうまいが、金使いが下手な恰好のカモ」と外国人から揶揄される所以です。

今、世界は空前絶後の「人類史上最大の好景気」を迎えています。

IMF(国際通貨基金)の2007年4月の統計によると、
世界全体の経済成長率は、

2006年は、5.4%(実 績)
2007年は、4.9%(見通し)
2008年は、4.9%(見通し)

今こそ日本は、過去の失敗の教訓を生かして、バブルで失ったお金を ”したたかに取り戻して欲しい” ものです。

日新、バンコク―ハノイ間の輸送時間を4分の1に

2007.6.25 NIKKEI NET

国際物流中堅の日新はバンコクとハノイ間を66時間(2日と18時間)でつなぐコンテナの陸上輸送ルートを開発した。同区間の輸送時間では最短で、船便で10日前後かかる輸送時間を4分の1近くに短縮できる。アジア経済の一体化で課題とされたタイ―ベトナム間の高速陸上輸送が実用段階に入ることで、同地域に進出する日系企業の生産・販売の効率化につながる。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本からベトナムへの直接投資額も輸出入額もここ数年、急増してきています。

日本の対ベトナム直接投資(実行ベース)
(出所:外務省資料)
1999年 0.6億ドル
2000年 0.8億ドル
2001年 1.6億ドル
2002年 1.0億ドル
2003年 1.0億ドル
2004年 2.5億ドル
2005年 3.8億ドル
2006年 9.4億ドル (速報)

対ベトナム貿易
(出所:財務省貿易統計ほか)
輸 入(ベトナム→日本)
1999年 2,230億円
2000年 2,846億円
2001年 3,168億円
2002年 3,163億円
2003年 3,580億円
2004年 4,170億円
2005年 5,016億円
主な輸入品:水産物、縫製品、原油

輸出(日本→ベトナム)
1999年 1,851億円
2000年 2,129億円
2001年 2,164億円
2002年 2,663億円
2003年 3,033億円
2004年 3,438億円
2005年 3,963億円
主な輸出品:機械機器、電子機器、鉄鋼

上記資料の最近の伸び率を見ていると「中国の次はベトナム」という考え方が、現実に動き出しているのがよくわかります。

”中国リスク”を回避するために、ベトナムでの現地生産やオフショア開発に”保険”をかけている日本企業も多いと聞いています。

ベトナム語-日本語間の翻訳が、今後の翻訳業界にどれだけの影響を与えるようになるかは、ここ数年ではっきりしてくるでしょう。

携帯電話が手のひらサイズのプロジェクターに──TIのDLPピコ・プロジェクタ

2007.3.30 誠

米Texas Instrumentsは3月26日、米国フロリダ・オーランドで開催されている携帯電話や無線通信技術の展示会「CTIA Wireless 2007」で、同社が開発した超小型DLPプロジェクター「DLPピコ・プロジェクタ」の試作機を公開した。試作機は携帯電話に組み込まれており、携帯電話の画面をスクリーンなどに投影できる。
DLPピコ・プロジェクタは単独でも製品化は可能だが、携帯電話やポータブルメディアプレーヤーなどに組み込んでの利用も想定している
携帯電話からの投影イメージ。DLPピコ・プロジェクタのユニットは非常にコンパクトだ

・・・・(記事の転載ここまで)

ノートパソコンや重たいプロジェクターを持ち歩くことなく、ケータイ1個でプレゼンができるとは夢のような話です。大規模な会議には使えなくても、ちょっとした打合せの場で、会社案内や新製品の発表などに使えればとても便利です。

静画だけでなく動画にも使えるようになれば、音楽や音声をつけて、ちょっとしたミニシアターになるかもしれません。そうなれば、ビジネス用プレゼンはもちろんですが、もっとパーソナルな用途にも広がっていく可能性があります。

米Texas Instrumentsが今年の3月26日に発表した試作品なので、近々新製品として登場すると思いますが、日ごろ車で移動する米国社会よりも、電車での移動が多い日本社会により向いている、と言えるでしょう。日本での新製品発表の時期が楽しみです。

輸出単価わずか180円!廉価に泣く時計[製造]

2007.06.14 NNA

税関統計によると、今年1~4月に中国から輸出された各種時計製品が1億8,404万個であるのに対し、金額ベースでは2億8,200万米ドル(約338億円)と、1個当たりの輸出額はわずか1.5米ドル(約180円)程度にとどまっていることが分かった。国内市場でもシェア70%を占めるとされる中国製時計だが、販売額は全体の30%前後にすぎないとのデータもあり、中国製時計の飛び抜けた“チープさ”が改めて浮き彫りになった形。付加価値の低さと大量生産という中国製品独特の構図がこんなところにも表れているといえそうだ。中国消費者報が伝えた。

・・・・(記事の転載ここまで)

製造原価の安いモノのひとつに、「トナー」があります。コピーマシンやプリンターのあの「トナー」です。

電機メーカーC社やR社の業績が絶好調で、すさまじい利益をあげているときに、ある業界関係者が私にこうささやいてくれました。

「新聞報道では、デジカメが絶好調で利益倍増などと出ていますが、あれはウソですよ。本当の利益は、コピーマシンのトナーなんです。だって『砂』を売って毎月客先の1社1社から、何十万円・何百万円ものお金が自動的に入ってくるわけですから、笑いがとまりませんよ」と言っていました。

そこで良心の呵責でも感じたのか、すかさずこう付け加えました。

「でもね、コピーマシンの会社よりも、もっと儲けている会社があるんですよ。なにせ製造原価が1個1円以下のものを、何千円、何万円で販売しているんですから。わかりますか?コンタクトレンズです」

メガネとコンタクトレンズはべらぼうに儲かる、と昔あるメガネ製造業界の人間から聞いたことがありますが、きっと本当なんだろうと思います。化粧品会社も同様です。

残念ながら、翻訳業界は受注産業ですから、1万台売るつもりで作ったら1000万台売れてしまったというファミコンのようにはいきません。

翻訳した1ワードは1ワードであり、それが100ワードや1,000ワードに知らないうちに化ける、ということはありえないのですから。

でもそういえば、「翻訳したら36億円の所得になっちゃった」という翻訳者もいましたね。

隣の芝生は青く見えるものです。

傘の輸入がピーク/横浜

2007.6.1 神奈川新聞

梅雨入りを前に、横浜港で傘の輸入がピークを迎えている。横浜税関によると、国内で販売されている傘の約九割は輸入品で、輸入量は年々増加傾向にあるという。

・・・・(記事の転載ここまで)

100円ショップで初めて100円傘を見たときは、本当にびっくりしました。少々安っぽくはありますが、十分に使える傘だったからです。

傘の需要は雨季と乾季で大きく異なり、乾季前の傘工場では、遊休設備と遊休社員の処置に頭を抱えていたそうです。

そこに目をつけた日本の100円ショップの経営者が、中国奥地にある傘工場へ乗り込み、中国人経営者と交渉して「設備と人が空いている時のみ生産する」という条件で100円傘の生産を委託したそうです。

華僑に代表されるように、中国人の商魂はたくましいと思うのですが、その上を行く「燃える商魂」のような持ち主が、やはり日本人にもいるものなのですね。

おかげで私たちは、非常に安い傘を手に入れることができるようになりました。私が子供のころ傘は貴重品で、1本数千円しました。電車に置き忘れなどしたら、必ず遠くの駅まで受け取りに出かけたものです。

今の時代、傘を受け取るために電車で往復したら、その電車賃だけでいったい何本の傘が買えるでしょうか?いまや傘は「使い捨て」の時代となってしまいました。

それどころか傘を買う必要もありません。駅で雨に遭遇したら、遺失物預かり所へ行き、「先日傘を忘れました。黒のジャンプ傘です」と言えば、「好きなだけもって帰れ」と束で渡してくれるでしょう。

まあ、これは冗談ですが、それほど”モノ”の値段が安くなった、ということです。「使い捨てる」ことは決して本望ではないのですが、修理の費用と新品に買い換える費用とを比べると、どうしても二の足を踏んでしまいます。

傘、靴、自転車、スポーツ用具、その他の日用雑貨はもちろんのこと、洋服や家電品やパソコン、ケータイ等の電子機器類も、人件費の安い中国や東南アジアで生産しているため、本当に安く買えるようになりました。

しかし、それを日本国内で修理しようとすると、日本人の人件費がかかってくるため、ひどい場合は、新品を買い直すよりもお金がかかったりします。

これからは地球環境を保護するためにも、「モノのリサイクルを義務付ける法律」が、より強化されてくることでしょう。

そういえば、わが翻訳業界にも「翻訳メモリー」というリサイクル品が出回るようになりました。これは”モノ”ではないので、あまりありがたい話ではないのですが、やはり時代の流れなのでしょうね。

他社電子マネーも使えます──流通各社、共通端末で囲い込み本格化

2007.5.28 ITmedia News

イオンやセブン&アイ・ホールディングスなどの流通各社が、自社以外の電子マネーでも決済できる共通端末の導入を進めている。共通端末による顧客囲い込み競争の第1幕が本番を迎える。

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・・・・(記事の転載ここまで)

私もお財布ケータイ、”モバイルnanaco”を毎日愛用していますが、やはり使い出すと便利なので手放せません。

JRの”スイカ”の利用と共に、小銭を使う機会がめっきりと減りました。そのうちコインを見る日がほとんどなくなるのかもしれません。

通話、メール、デジカメ、ゲーム、検索、各種ダウンロード、ナビに続いて、お金の決済もケータイで行うとなると、次に求められるのは、やはり「翻訳」と「通訳」でしょう。

外国語の雑誌記事をケータイでスキャンすると瞬時に日本語へ翻訳されたり、ケータイに日本語で語りかけると、即座に外国語になって相手に伝わる、という夢のような時代がくるのかもしれません。

翻訳精度、通訳精度さえ問わなければ、技術的にはそう難しいことではないので、近い将来、海外旅行の必須アイテムとしてケータイが利用される日は近いでしょう。

しかし、ビジネスで使えるレベルの翻訳精度にまで上がっていくのかどうかは、難しいところです。その点に関してだけは、はたして、われわれが生きていいる間に実現するのでしょうか?

日の丸半導体、再生への最後の選択

2007.5.11 NB online (ドイツ証券:佐藤文昭)

電機業界というのは、1970年代から90年代にかけて日本の一流大学を出たものすごく優秀な人が大量に入社しましたよね。社員のクオリティーとかモチベーションの問題じゃないんです。構造を変えなければどうにもならないんですよ。手遅れにならないうちに。

今はまだ80年代、90年代前半ぐらいまでにやっていたR&D(研究開発)の蓄積があるから技術的な優位性もあります。R&Dというのは10年とか20年後に効いてくるからです。しかし、現在は各社R&Dを削り落としています。マージンを上げるためにはやめざるを得ないんです。10年後は技術的優位性すら失っているかもしれません。

・・・・(記事の転載ここまで)

韓国のサムスン電子では、世界の超一流大学の大学院修了生を破格の待遇で採用し、最先端の研究設備と潤沢な研究資金を与えて研究開発を行わせているそうです。もちろん日本からも、有名大学院の中から、さらにトップクラスの修了生らが多数採用されている、とその筋に詳しい方から聞いたことがあります。

加えて、現在成田空港、羽田空港では、金曜日の夜発、日曜日の深夜着のアジア向け航空チケットが常に満席だそうです。日本企業で”熟練工”だった人たちが、中国・韓国をはじめとするアジア諸国の企業からアドバイザーとして雇われている、とのことです。

”日当10万円”なので、土日で20万円の報酬を受け取れば、飛行機代プラス宿泊代を払っても、”儲け”が出る、とのことです。貴重な技術を持つ日本の熟練工が、日本企業では冷遇され、その技術を生かす場がありません。

その点、現在発展途上の新興国では、そのような重厚長大にかかわる技術者が”ひっぱりだこ”なのだそうです。教える側の日本の熟練工の人たちにとっても、熱意のない日本の若者よりも、目を輝かせて、熱心に耳を傾けるひたむきなアジア各国の青年達に、ついつい熱が入ってしまう、というのもうなずけます。

しかし、こんなことで日本製造業の未来は大丈夫なのでしょうか?

天然資源の”ない”日本国が世界に誇れるものは、”人材資源”だけです。「研究開発」と「技能の継承」に関し、国を挙げて対策を練るべき時期に来ている、とつくづく感じます。

もっとも、国では「中小企業の研究開発促進」と「人材の再雇用の促進」策を打ち出しているようですが、はたしてこれで効果は出てくるでしょうか?

トヨタ自動車 営業利益2兆円超

2007.5.10 asahi.com

トヨタ自動車の営業利益が日本企業で初めて2兆円を超えた。1兆円突破からわずか5年で倍増した。その規模は電力10社や大手家電6社の各業界の営業利益の合計をもしのぐ。売上高は約24兆円と、ほぼロシアの国家予算並みだ。利益世界ランキングでは超原油高や金融市場の膨張を背景に石油会社や金融会社が上位を占めるが、トヨタはものづくり企業としてトップ級の地位をしっかりと固めている。

・・・・(記事の転載ここまで)

米フォーブス誌の「世界の企業の当期利益ランキング」によると、トヨタがTOP15に入っていますが、トヨタと7位のファイザー(製薬会社)を除けば、残りは全て石油会社と金融会社です。

この石油会社と金融会社、正直なところ私はあまり良い印象は持っていません。米英系の大手石油会社が、過去と現在の軍事力をバックに発展途上国から利権を吸い取り、現代社会に不可欠の石油を独占して、大儲けしている構図が透けて見えるからです。

第6位のゼネラル・エレクトリック社(米)は、あの発明王エジソンが創立した電機メーカーであり、”世界一の経営者”の称号を得た、あのジャック・ウェルチ元会長が率いた会社でもあります。しかし、ウェルチ会長在任中に、ゼネラル・エレクトリック社は、電機メーカーから金融会社へと変貌し、現在では「総合」という奇妙な業種に分類されています。

「職業に貴賎はない」という言葉があります。しかし「他人のふんどしで相撲をとる」金融業者がこのような巨万の富を得ていることに、正直大いなる疑問を感じます。

前々年度、トヨタは8,023億円の営業利益を海外、つまり日本以外の国からあげていますから、昨年度はさらに多くの利益を海外から稼いでいることでしょう。しかし、トヨタは製造業であり、額に汗して働く”実業”企業です。

その他の企業は全てが”虚業”、とまでは言いませんが、やはり強大な政治力と軍事力をバックに持つ”武力軍団”に見えて仕方がありません。

”地に足のついた”日本の製造業が、今後も大いに発展していくことを願ってやみません。

化学・鉄鋼・セメントなど、新興国に省エネ技術

2007.4.26 NIKKEI NET

化学、鉄鋼、セメントなど国内素材業界がアジアを中心とする新興国への省エネルギー技術の移転を加速する。それぞれの業界団体を通じて移転可能な省エネ技術をリストアップし、導入を希望する国・地域や企業に有償で供与する。経済が急成長する新興国のエネルギー消費の抑制は世界的な課題になっている。日本が持つ最先端の省エネ技術をこうした課題の解決に役立てる狙いだ。

・・・・(記事の転載ここまで)

日本の誇る省エネ技術が、世界の環境保全へ向けて、まさに今、花開こうとしています。

現在、世界では水資源の問題が深刻化してきています。たとえば、飲料水や農業水の確保のために、チグリス・ユーフラテス川の権益を巡って、トルコとシリアとイラクがもめていると聞いています。

一方日本では、中国の温家宝(おんかほう)首相が今月来日しました。中国首脳の来日は、実に6年半ぶりのこととなります。

実は、現在中国では、深刻な水資源の不足に頭を抱えています。そのための環境保全にどうしても日本の技術が必要なのです。

温家宝首相は、日中両国の環境保全に関する技術提携議定書に調印し、今後、日本の知的財産を保護することを国会の場で公約しました。

また、中国が日本のコメを輸入することも約束しました。今後の日中関係はきっと好転して行くでしょう。2年前に上海で起きた反日暴動がウソのようです。

話は変わりますが、横浜市内を流れる、新田間川(あらたまがわ)は、私が子供の頃はゴミが大量に浮く、ヘドロだけの黒い川でした。それが今では、鯉やぼらがたくさん泳ぐきれいな川へと変貌しています。

東京都と川崎市の間を流れる多摩川(たまがわ)も、かつては「汚染された川」として有名でしたが、現在では、稚アユがどこでも泳いでいると聞いています。アユは水がきれいでなければ生きていけません。

札幌市内を流れる豊平川(とよひらがわ)では、昨年度、サケが遡上してきた数が、約1,640尾だったそうです。大都市の川にサケが遡上するなど、信じられないことですが、まさにそれが現実となってきているのです。

日本の省エネ技術と環境保全技術は世界に誇れる知的財産です。この技術は今後どんどん海外へ輸出され、世界へ大きく貢献することになるでしょう。

しかし、実は、そう喜んでもいられないデータがあります。日本人は以下のことを心しておかねばなりません。

日本エネルギー経済研究所の2007年版「エネルギー・経済要覧」によれば、2004年時点で世界の二酸化炭素の排出量は72億3500万トン。そのうち中国の排出量は13億1100万トンです。日本は中国の約4分の1に当たる3億4900万トンです。

絶対量では中国の方が多いですが、2004年時点で、中国の人口は12億9600万人で、日本は1億2800万人。これらから計算すれば、日本の1人当たりのCO2排出量は2.7トンで、中国は1.0トンになります。ちなみに世界の平均は1.14トンで、インドは0.3トンになります。

また、CO2を吸収する森林資源の消費についても、日本は多いのです。日本製紙連合会の資料では、日本人1人あたりの紙及び板紙の消費量は2004年時点で247キログラムです。世界の平均は56キログラムで、参考までに中国は42キログラム、インドは7キログラムです。

日本はすばらしい省エネ技術を持っているくせに、無駄な消費が多すぎる、ということでしょうか?

少なくとも、「環境破壊しているのは、隣国中国だ」と名指しで非難することが、まちがっていることだけは、確かのようです。

【動き出す三角合併・上】内外から買収の脅威

2007.4.24 YOMIURI ONLINE

合併相手の株主に、対価として親会社の株を割り当てる「三角合併」が5月から解禁される。外国企業が自社株を使って日本企業を買収できるようになる。新たなM&A(企業の合併・買収)手法で、外資による買収攻勢が強まるのか、企業経営はどう変わるのか。

・・・・(記事の転載ここまで)

この手の話が出てくるたびに、私はいつも不思議に思うことがあります。

「企業防衛」とは「いったい誰が、何から何を守るのでしょう?」と・・・・・・・。

私から言わせれば、日本の「企業防衛」とは、「日本人経営者が自分の立場と給料を守ること」にすぎないと思っています。

また、企業にとって、特に上場企業にとって、一番大切なことは「雇用の確保」であり、次が「税金を支払うこと」だと私は考えています。

従って、経営者の「目の色」が何色なのか、とか、「資本の色」が何色なのか、とかはどうでもよいことなのです。

山一證券のように倒産して、従業員が路頭に迷うのと、ゴーンさんのように倒産寸前の日産を建て直し、雇用を確保し、日本国にたくさん税金を支払っている企業のどちらが国家国民にとって有益なのでしょうか?

雇用を確保し、税金を支払える優秀な経営者であれば、国籍などどうでもよいのです。現に日本にもたくさんの外資系企業が、日本国内に会社を設立し、工場を建て、雇用を確保しています。日本からもトヨタ、ホンダ、ソニー、パナソニック、その他数多くの企業が海外に進出し、現地企業を買収したり、新規に企業を設立したりして、多くの雇用を創造しています。

何がいけないのでしょうか?

日本人は、「外資」というとすぐに「ハゲタカファンド」と結びつけ拒絶反応を示します。

確かに「売り抜け」だけを狙った投資ファンドも存在します。しかし、それは、その会社の資産を有効利用できていない、日本人経営者の怠慢や無能を指摘され、狙われているだけのこと、と私は考えます。

どこの国の人であれ、自分が大金を出して買った”もの”が、買った直後に価値が暴落することなど望むでしょうか?

つまり反株主・反従業員・反社会の行動をとって、トラブルを起こし、会社の価値を半減させることを「買った本人」が望むでしょうか?

長い間、「鎖国」をしていた日本の”会社市場”にも黒船が到来し、真のグローバリゼーションの波に揉まれる時代がやって来た、ということだと私は考えています。

ウォルマート、2年ぶり首位・米企業売上高ランキング

2007.4.18 NIKKEI NET

米経済誌フォーチュンは16日、2006年の売上高を基準にした米企業の上位500社を公表した。売上高が3511億ドル(約42兆円)の小売業最大手のウォルマート・ストアーズが前年首位のエクソンモービルを抜き、2年ぶりに首位に返り咲いた。

・・・・(記事の転載ここまで)

売上高42兆円を誇る世界最大の小売業、ウォルマートの最大の強みは、ライバルがマネのできない「究極の物流システム」と「究極の情報システム」を確立し、徹底した「ローコストオペレーション」を実現したため、と言われています。

小売業の門外漢である私にとっても「究極の物流システム」がいかなるものか、は興味がありますが、やはり、もう一つの「究極の情報システム」の方がより気になります。

特にかつてウォルマート最大のライバルと言われた、Kマートは情報システムへの投資に消極的だったため、ウォルマートに決定的な差をつけられ、2002年に破産してしまいました(その後、更正法により再建)。

今から1~2年前のことですが、アメリカの小売業を研究している専門家の方に、次のような話を聞いたことがあります。

「ウォルマートは情報投資に巨額を投じている。正式な額は公表されていないが、年間2兆円を投じている、という説もあるくらいだ。

全米店舗の商品の売れ行きと在庫をリアルタイムに把握し、過去のデータの蓄積から、予想される売上を算出し、即座にメーカーへ発注する。オーダーを受けたメーカーは、必要最小限の生産をして、即座に納品するので在庫の無駄がでない。

単価は極限まで買い叩かれるが、莫大な発注量を保障されているので、ウォルマートに従わざるを得ない。しかし、メーカーの意思による生産計画や商品開発などは、もはや存在せず、ただウォルマートの下請け生産工場と化しているだけ」とのことでした。

また、コストダウンの方策の一つが下記です。

「年間10万台の電子レンジを生産しているA社があるとします。1台3万円で卸しているとしたら、そこへウォルマートは話を持ちかけます。

『御社から年間100万台の電子レンジを購入する契約を結びましょう。その代わり単価を今の半分の15,000円にしてください』

A社の経営者はビックリして、『そんな無茶な』と一旦は断ります。そこでウォルマートはこう答えます。『わかりました、それではこの話はB社へもって行きます』。

ライバル会社B社の名前を出されたA社の経営者は、顔色を変えて考え直します。『もし今の半値の電子レンジが100万台、市場に出回ったらウチの会社はつぶされる。これはなにがなんでもやらねばならぬ』と。

こうやってガリバー、ウォルマートがますます巨大化していきます。

わが翻訳業は、このスケールを1万分の1くらいにした小さな世界で、小さなコスト競争をやっています。

しかし、当たり前のことですが、「小売業」と「翻訳業」とでは色々な面で違いがあります。単純にして決定的な違いは、「在庫がない」ということでしょう。

にもかかわらず、翻訳業界にも「ボリュームディスカウント」という習慣があります。

この「翻訳業界におけるボリュームディスカウント」に関しては、近々私が書いているもうひとつのブログ「翻訳業界徒然草」のなかでまた日を改めて、考えていきたと思っております。近いうちにアップしますので、ご興味のある方は是非訪れてみてください。

NEC、利用者の意図を推定して効率的に検索する技術を開発

2007.4.6 CNET Japan

NECは4月6日、利用者が情報検索時にシステムから提示される検索ルールの中から、検索時の意図に近いものを選択することにより、検索結果を効率的に抽出する技術を開発したと発表した。

(中略)

これにより、たとえば「新製品」の「発売」に関する検索などといった単語の使われ方を特定した検索や、あるいは、「歯磨き粉」「口臭消臭剤」「デンタルフロス」といった「オーラルケア製品」の一括検索のような、その単語の上位概念も含めた包括的な検索など、従来は不可能とされていた検索方法が可能となった。利用者のイメージにあった、柔軟な検索が容易に実行できる。

(中略)

NECでは、この技術を同社の検索ソリューション、ドキュメント管理ソリューションなどの競争力を向上させるものと考えている。今後は、本システムの社内利用による導入効果の実証と改良をすすめ、ドキュメント管理製品・ソリューション、検索サービスなどでの早期の実用化を目指して研究開発活動を推進していくとしている。

・・・・(記事の転載ここまで)

今回のこの記事の説明では、あまりに抽象的すぎて、どこがどう画期的なのか、がよくわかりません。


どうやら、ある単語の「関連概念」や「上位概念」をも判断して、人間の行う検索をヘルプする機能のようです。

それが事実であるとすれば、検索時のみならず、ワープロの文字変換や機械翻訳の精度向上にも一役買うことになるでしょう。

ただし、今までの機械翻訳の進歩の度合いを見ていると、機械が言葉の「関連概念」や「上位概念」を判断できる能力を持つことは”至難のわざ”であると言わざるを得ません。

人間にとっては、誰もが知っていることが「常識」なのですが、機械に人間の「常識」を覚えさせることは大変です。まず、膨大な量の単語の概念を、ひとつひとつ覚えさせていかねばならないからです。

たとえば、「妻を食べた」と言うと、ホラー映画になりますが、「妻のさしみを食べた」後に「さしみの妻を食べた」のであれば、普通の会話となります。

通常、人間は常識で「妻」は「人」であることを誰もが知っています。しかし、機械がその常識を持つことは至難のわざでしょう。これ以外にも、建築用語で使う「妻」は、「建物の長手方向のはし」とか「切妻」などの意味も持っています。

機械が常識を持つようになると、そのうち機械にも感情が生まれてくるのでしょうか?

人間の脳を研究している学者によると、脳の細胞数と同じだけの部品を使い、同じアルゴリズムのプログラムを組めば、微生物から進化してきた動物や人間の脳と同様、機械(コンピュータ)が感情を持つことになるそうですが・・・・。

Wikipediaライバル「Citizendium」、パブリックベータ開始

2007.3.28 CNET Japan

Wikipediaの新しいライバルが米国時間3月25日、パブリックベータを開始した。

Citizendiumは一般的な知識に関する「市民による概説書」を自称している。誰でも情報を登録できる点で、Wikipediaとよく似ている。ただし、ユーザーには実名による登録が求められ、編集委員会が記事を管理する。

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不特定多数の人間が自由に参加して、Web上で何かを作り上げていく、という意味では、OSの”Linux”や百科事典の”Wikipedia”が有名です。日本では、英語辞書の”英辞朗”なんかも有名です。

ただ”Wiki”を利用した情報源に関しては、出所が明確ではないため、書かれている内容の信憑性が必ずしも高いとは言えない、という声があるのも事実です。その点を解消しようとして新しく生まれたのが、この”Citizendium”なのでしょう。

かつては、限られた人間しか書物を出版できませんでした。しかし、インターネットの出現により、世界に発信される情報量は、天文学的数字の倍率で増えたのです。なにしろ、人類が今までに産み出してきた書籍情報量の300万倍が、去年のたった一年間で産み出されたわけですから→世界のデジタル情報量、4年後には6倍に

それでは、紙の情報は信憑性が高く、Web情報は信憑性が低いと言えるのでしょうか?私は必ずしもそうとは思いません。いつの時代も情報の質は玉石混交です。それでも、情報統制され”大本営発表”しか聞けなかった時代を思えば、たとえ洪水のような情報量であっても、ないよりはあったほうが良いに決まっているのです。したがって、これからの時代は、情報量が増えた分、情報を利用する側の選択眼や洞察力がより重要になってくる、と言えるでしょう。

いずれにせよ、この”Citizendium”の話は、利用者にとって、良いことはあっても、悪いことはないので、どんどん発展させていってもらいたいものです。

「端末メーカーは世界市場に挑戦する気はあるのか?」–第3回モバイル研

2007.2.16 CNET Japan

2月15日に開催した第3回「モバイルビジネス研究会」では、前回、キャリアの姿勢に非難が集中したように、国内端末メーカーの姿勢が厳しく問い質された。

「メーカーは世界市場に挑戦する気はあるのか?」「あるに決まっている」――。

携帯電話における国際競争力低下を背景に、販売奨励金制度やSIMロックの是非など業界の根幹を見つめ直す目的の同研究会。今回も激しい議論がやり取りされ、業界の主要プレイヤーの内向き姿勢が鮮明に浮きぼられる結果となった。

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総務省主催の「モバイルビジネス研究会」でのやりとりですが、これが日本のケータイビジネスの今後の行方を決める大事な会議になっているわけです。

ケータイの第3世代を導入する際、弊社も多少関わったので興味のあるところです。

しかし、日本は世界有数のIT関連機器メーカーを抱えながら、パソコンやケータイではなかなか世界をリードすることができずにここまで来ました。

「メーカーは世界市場に挑戦する気はあるのか?」という質問に対して、「もちろんあるが、リスクとのかねあい」との回答なので、今後にはあまり期待は持てそうにありません。

ただ、世界中どの国においても、「通信」の方向性はその国の国家戦略と密接に関わっているので、民間企業の技術力だけでなく、日本の政治力そのものも、実は深く関係していると思います。