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技術翻訳プロフェッショナル講座 「翻訳の真髄」


29 音声入力 和文英訳
【問題】次の和文を英訳してください。

音声入力
日常の人間相互の情報の交換は、音声による会話が主流であることからも分かるように、人間にとって一番抵抗の少ない情報伝達手段は音声であろう。


【解 説】

・ 音声入力:
 vocal entry, voice input

・ 日常の:
 daily routine となるのかもしれませんが、最初の文章を「人間は通常~により情報を交換する」と表現する方がよいと思いますので、副詞にして normally ( or usually ) とします。なお、少し横道にそれますが「日本語が形容詞であるから、英語も形容詞として訳す」というような翻訳論は nonsense です。「意味をとって訳す」ということに徹しなければなりません。

・ 音声による会話:
 spoken conversation

・ 主流:
 ここでは意味をとって訳そうとしているため、すなわち、さきの「日常の」と考えわせて normally とし、また動詞も直説法・現在で事実を述べるというような形を使いますので、あえて「主流」(= the mainstream, the leading ~ )という言葉は表面には出さないようにしました。

・ 一番抵抗の少ない:
 the most natural

・ 手段:
 means

・ 情報伝達:
 data transmission

・ ~は・・・・であることからわかるように:
 
As can be seen from the fact that ~ is ………となるのですが、このように形式的な変換では、どうも natural English を生み出さないことが多いものです。既に書きましたが、文章の意味を良く考えて、すなわち、原文執筆者の意図を察知して、その人の心の中にあったもの ( meaning ) を表現することが、真の翻訳であると思います。

このように考えると「人間は通常音声による会話により情報を交換する、そこで ( = and ) 人間にとって・・・・」と和文を書き直したとしても、原作者の意図を歪曲したことにはなりません。いや、かえって正確に表現したことになるのではないでしょうか。筆者は、翻訳とは「語句の変換ではなく、意味を object language で表現することだ」と理解しているからです。

・ 人間にとって一番抵抗の少ない情報伝達手段は音声であろう:
 Their most natural means of data transmission is the voice. でよさそうですが、このように主部が長い場合には、The voice is their most natural means of data transmission. と逆にします。(A=BはB=Aとしても、同じことですから、数学では確か交換法則 commutative law と言っています)。

なお、「人間にとって」という副詞句は、their という所有形容詞( possessive adjective )で表現できます。「翻訳とは語句の変換だ」と考えていては、いつまでたってもよい英文は書けません。まして「品詞までも同じように訳さなければ正しい訳ではない」などと考えていては、よい英文を書けるわけがありません。

[訳 文]
Voice entry
Human beings normally exchange information by spoken conversation, and the voice is their most natural means of data transmission.